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その76〜その80

 人気のない昼下がりの住宅街を通りかかると、どの家の玄関も少しだけ開いて、ドアの隙間から伸びた手だけがおいでおいでと招いている。






 地震かと思って外に出てみたら、自分の家だけが激しく揺れていた。






 ホームで自殺者が出た時に必ず目撃される「あの人物」について、騒ぎ立てたり深く追求しないことが、駅員達の不文律になっている。






 べったりと笑顔を貼り付けて車の中からこちらを見ている親子連れの口元が、明らかに「助けて」と動いている。






 先程から、アリのような小さいものが、横たわる私の左眼にしきりに入り込もうとしている。


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