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その531〜その535

 先年死んだ読書家の彼が今もなおあちこちの図書館や古書店に現れるのは、前編しか残っていない古い私家版の推理小説の結末が知りたい一心なのだという。






 広い池の一方の岸から漕ぎ出したボートが対岸に着くと、乗っていた者の姿はなく、中は血で満たされている。






 詰め物の取れた奥歯の穴から長い長い髪の毛が出て来て、手繰っても手繰っても途切れそうにない。






 街のあちこちに、「探してください」という言葉と共に自分の写真が貼り出されている。






 道の真ん中に不自然に置かれていた三角コーンがひとりでにわずかに持ち上がり、下から何か目のようなものが見えたかと思うと、すぐにカサカサと音を立ててどこかに行ってしまった。


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