目次 次へ PR 1/6 :1 ドサ回り系女性バンドを乗せたバンは、西へ向かっている― 雨がフロントガラスを執拗に叩く。 車内は、湿った重い空気が滞留していた。 リーダーのベースさんは強くハンドルを握り、前を見やる。 助手席では、ドラムさんがポテチを食べる。 その後ろでは、ボーカルさんが外を見ながら歌を口ずさみ、 となりでは、ギターさんが誰にも聞こえないような声で、何かつぶやいた。 バンは、国境をこえた。 もう誰も、彼女たちを甘やかしてはくれない。 エンジンの音だけが、夏の空気をゆらしていた―