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83 決める
夜。
見慣れた帰り道。
街灯の光が、規則的に足元を照らしては消えていく。
その繰り返しの中で、
二人の影も、伸びては離れる。
並んで歩く。
距離は、もう変わらない。
埋めようとする気配も、ない。
「ねえ」
凛が言う。
風に溶けそうな、小さな声。
「なに」
視線は前のまま。
「終わりにしよっか」
あまりにも自然で、
あまりにも静かだった。
重いはずの言葉なのに、
どこにも引っかからずに、胸に落ちてくる。
「……」
足音だけが続く。
驚いているはずなのに、
どこかで納得している。
(ああ、やっぱり)
そう思ってしまう自分がいる。
「……ああ」
短く返す。
否定できなかった。
引き止める理由も、
言葉も、
もう、残っていなかった。




