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Lesson.5 『人間以外の種族』

 はい、皆さんこんにちは!講師役を務めさせて頂くアイリスです。


 今回は私達の世界に存在している人間以外の種族について説明させて頂きますね。

 と言っても、私達人類が宇宙に出てもう何千年――ひょっとしたらそれ以上――経過していますが、未だ知的生命体……いわゆる宇宙人やエイリアンとの接触はありません。これは直接的なコンタクトだけでなく、惑星上の遺跡などの痕跡も含めてなので、もしかしたらこの宇宙には人類由来の知的生命体しか存在しないのかもしれませんね。え?惑星外の痕跡ですか?それは、まだ秘密です!


 では今日ご紹介する人類以外の種族とは何か、なのですが……これはすでに本編でも名前が出ている「機族(マシナリィ)」と「長命種(テロマー)」の2種族です。


 まず最初は機族(マシナリィ)についてです。本編ではまだ名前しか登場していませんが、今回先行して解説しておきますね。機族はその名前の通り機械をベースとした存在で、人類が造ったと言われています。存在としては……皆さんの言葉でいうと「ロボット」とか「アンドロイド」と言うのが近いかもしれませんね。ただ、機族は機械でありながら意思や自我を持つ存在であるため、私達の社会では機械ではなく「ヒト」として扱われています。


 彼らが人類種族の中で暮らす事は少なくて、軌道ステーションや人工天体、機動要塞などの拠点に独自のコミュニティを形成していることが多いです。なので、人間社会では彼らのことを見たことが無い人も多いみたいですね。実のところ「私」も旅に出るまでは機族の人に会ったことがありませんでしたし。まぁ、ギルドはシンガーの遺伝子を持つ人しか所属できないので、当然のことながら遺伝子を持たない機族のメンバーはギルドに存在しないというのもあるんですけどね。

 そして人類種族との交流が少ない理由については、彼らの言葉によると人類との不用意な接触が軋轢を生みかねないから、らしいです。ただ全く交流が無いわけでもなくて、人類との商取引や外交はある程度行われています。彼らは人類よりも進んだ技術力……というか、大空白以前の技術に由来する古い技術の一部を保有しているとも言われていて、それを活かした航宙船の新造などを行っていますから、人類側からお願いして取引して貰っているというのが正直なところなようですけど。


 機族の外見については…………ギルドの文献によると、第1世代と第2世代で大きく変化するそうです。第1世代と呼ばれている人達は完全に機械ベースだそうで、ギルドの古い記録にだけ、その存在が記されています。金属のボディに「電子頭脳」と呼ばれる、心というか魂を持っていたそうで、見た目は私達の世界に存在する自律稼働する機械、ドローンと似た金属的な外見だったそうです。

 第2世代は現在活動している機族の人達です。内部構造が機械であるところは同じなんですが、C3が魂の依り代になっていることと、人間と似た形状のシリコンで造った外皮を纏っているところがが第1世代との違いになります。なので、彼らはパッと見には人間に結構似ています。

 ただ、瞳がカメラアイになっていたり、瞳の中に所属を示すエンブレムが見えたりしていますし、あとは胸部や頭部、特に額等にコアとなるC3が埋め込まれていたりするので、機族の存在を知っている人は見間違えたりはしませんけどね。


 あと機族の特徴としては寿命が非常に長い……というか、物理的に破壊されない限りは存在し続けるということが挙げられます。ただし現在では機族を新しく産み出す技術がありませんから、普通に考えれば事故や闘争で個体数は減少の一途をたどるはずですよね。なのに彼らが絶滅しそうだという話は聞きませんので、もしかしたら修理というか再生というか、そういう技術を彼らは持っているのかもしれません。

 まぁ人類にも医療技術がある訳ですから、当然と言えば当然なんですけどね。


 あとは……そうですね、人類種族の中で活動している珍しいケースとして「機姫」が……あっ!そういえば「私」、トワにクレリスに行くことは伝えてるけど「機姫」の話はしてなかった気がする……!「私」がクレリスを目的地に決めた理由がその機族なので、たぶんトワの物語において彼女が皆さんが目にする最初の機族になるんじゃないかと思います。



 さて、次はもう一つの種族、長命種「テロマー」についてです。ただ、テロマーは種族と言っても人類種族の一員で……人との交配が可能なので厳密には「人間以外」じゃないですけどね。

 本編で登場した「アリサ・シノノメ」がテロマー種族の代表……と言う訳でもないんですけど、ともかく、彼女はテロマーの1人です。宇宙という環境に適合するべく人類が進化した姿こそがテロマーだというのが通説なので、おそらく人類種族が起源となる星(オリジンスター)から巣立った後に、自然発生した存在なんだと思います

 ただテロマーについては記録が殆ど残っていないこともあって正確なところは全く判っていません。一節によると外的要因、例えば天界やら高次存在やらの影響によって変異した人類「落ちてきた者達」の血を受け継ぐ者達こそがテロマーである……なんていう神話みたいなヨタ話もあったりするぐらいですし。



 そんな謎多きテロマーですが、特徴はなんといっても人類種族を遙かに超えた長寿ですね。例えばアリサ。彼女の外見年齢は私達と同じミドルティーンの少女ですが、アリサの実年齢は既に40歳を超えています。今後彼女が何百年生きるのかは判りませんが、少なく見積もっても人類の数十倍の寿命がありそうですし、文献によっては永遠の命を持つとまで言われていたりもします。


 ですが不思議な事に現在、長らく公式にテロマーの存在は確認されていのです。そのためアリサは化け物呼ばわりされる事になったのですが……。

 では長寿を誇るテロマー達はどうなったのでしょうか?一説によると進化の袋小路に入り込んで絶滅したとも、人類と袂を分かって何処かへ去って行ったとも言われていますが正確なことは判っていません。ですが、テロマーは人類の内から発生した存在です。いまでも人類種族の両親からテロマーの子供が産まれるケースも極希に存在するようです。いえ、ようですというか実際にアリサがそうでしたからね。


 ただアリサのようにそれを公表すると大抵はろくな事になりませんから、きっと現代のテロマー達は正体を隠して、ひっそりと人間社会で生活しているんじゃないかと思います。惑星上で生活するとアリサの様な目に遭ってしまいますが、たとえば航宙船(ふな)乗りなら、普通の人類でも戸籍年齢と見た目が一致しませんからね。あとは定期的に惑星を移住するというのもテロマー達が身を隠すにはきっと最適な方法だと思います。


 長寿以外にテロマーが持つ特性としては治癒力、つまり傷の治りが早いというものがあります。人間よりも高い治癒力を持っているので、よほど酷い傷でもなければ1・2日で治るのだとか。また病気からの回復も早いうえにそもそも完全耐性に近いレベルで病気になりにくい特徴があるので、代謝や免疫が人類種族よりも活性化されているのかもしれませんね。

 なのに、アリサがあれだけ傷だらけだったのは……再生するまもなく傷つけられ続けたということで……。後で再生能力と傷が残っていた理由を知ったトワがベルンハルトに怒り狂ってましたっけ。いえ、その時点では既に「私」が0号処分した後だったんですけどね。


 もっとも治癒能力といっても万能ではなく、欠損部位が生えてきたりはしませんし、完全に機能を喪失した部位が機能を取り戻すこともありません。なので再生ではなくあくまでも「人間が治る傷」の治癒が早いレベルなのですが、それでも有益な能力であることには違いないです。



 そうそう傷に関連して、私達の世界の医療技術についてもお話ししておきましょうか。私達の医療技術は皆さんの世界よりも進歩しています。アリサの足のような神経系の修復は難しいんですが、部位欠損ならクローン培養した部位を移植する形で「再生」する事もできるんですよ。

 なのにヘルミナったら……いえ、彼女のことはいいですね。ともあれ、表皮の傷ならテロマーでなくても比較的簡単に消すことが出来るんです。たとえばほら、私の右手。手のひらのここに火傷の痕があるでしょ?これぐらいの痕なら本当は簡単に消せるんですよ。

 ……えっ?じゃあなんで消さないのか、ですか?これは……私が戒めのためにのわざと残してるんです。なんの戒めかは……またいつかお話しする機会があるかもしれませんね。


 あと「私」が知らないテロマーの特徴としては身体能力の高さがあります。ペレジスで「私」が出会った時のアリサはとても身体能力が高いようには見えませんでしたが、あれはあの子のコンディションが最悪だったから。

 人間で言えば寝たきりの重病人のようなレベルの衰弱状態だったんですよ、あの子。ですが、それでも普通の人間を少し下回る程度で動けていましたから……完全な状態だと人間のアスリートを子供扱い出来るレベルじゃないかと思います。そんな風にはとても見えないんですけどね。

 あと、他にテロマーの知り合いがいないので確認できないのですが、もしかしたらアリサの美貌もテロマー由来なのかもしれません。あの子、普段は野暮ったい格好をしていますが、眼鏡を外して正装するととんでもないレベルで化けますから。代謝が良いのでお肌もつるつるすべすべですし。


 それからアリサはああ見えて結構大食いなんです。テロマーの肉体を維持するためには普通の人間よりもカロリーが大量に必要なんだと思いますが……本編中はアリサが食事しているシーンはあまりありませんでしたが、事件が落ち着いて私達と会食してたときなんて3人前ぐらい余裕で食べてましたからね。それであのスタイルなんて、正直うらやましすぎます。肌艶や美貌の件も併せると、全女性の憧れであり、敵みたいな存在ですよ、アリサは。


 さて、では少々僻みっぽくなってしまったので、今回のお話はここまでです。また次回お会いしましょう!


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