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Lesson.10 『ロストテクノロジー』

 はい、皆さんこんにちは!講師役を務めさせて頂くアイリスです。


 今回のお話はトワが謎の小惑星で遭遇した知性体、G15を擁する遺失文明に関するお話です!うう、「私」があの場にいればもっと色んな謎を解き明かせたかと思うと残念でなりませんが……。


 それはさておき、まず最初にお話ししておかないと行けないのが「遺失文明」と「古代文明」の違いについて。実はこの2つ、私達の世界では結構混同されているのですが、今回トワが遭遇したものは「遺失文明」です。遺失文明とは人類がかつて到達し、そして失った文明のことでロストテクノロジーの名の通り刻の流れの彼方へ失われたものです。一方で古代文明は古いもの……場合によっては人類に端を発しないもので、異星由来の文明もこの中に含まれます。


 今回お話しするのは遺失文明なのですが、実はこの話は古代文明にも通じる部分があります。そのお話しをするためにもまず遺失文明の中核について説明させて頂きますね。

 トワが謎の小惑星で手に入れた航宙船「アルカンシェル」。この船には超光速(FTL)航行の能力があります。いわゆるジャンプドライブと呼ばれるこの技術は重力制御によって実現されています。そう、重力制御……私達がレゾナンスフィールドの応用で擬似的にしか再現できていない超技術です。


 実際の所、遺失文明の中核となっている部分、すなわち私達の文明が「失った」ものは基本的にこの重力制御技術に連なるものなんです。例えばジャンプドライブは人工的に発生させた重力場によって空間をねじ曲げることでその名の通り空間を跳躍し、光よりも早く跳ぶことを実現しています。ええ、飛ぶのではなく跳ぶのです。

 そしてまだトワは気付いていませんが、アルカンシェルにも搭載されているトラクタービーム。今回G15の惑星に宇宙船を引き寄せるために使われていたアレですが、この技術も重力操作によるものです。その他にも重力波を使った超光速通信や、アルカンシェル船内での完璧な人工重力。アルカンシェルが大気圏突入や惑星上を飛行する能力を持つのも全て重力制御によるものです。


 私達の世界ではこの技術は既に失われていますが、各所に痕跡は残っているため多くの科学者や技術者は重力制御の再発見を目指して研究を行っています。……が、これまでのところ、レゾナンスフィールドを使った擬似的なものしか実現できていません。つまり、人類の科学力では重力制御には手が届かないのです。


 では人類はどこからこの技術を手に入れたのでしょうか?その答えが「古代文明」です。以前、惑星上には人類以外の知的生命体の痕跡は存在しない、とお話ししたと思います。そして、惑星外の痕跡ついては秘密だとも。そう、それです。惑星外には、知的生命体の痕跡があるんです、実は。


 スターゲート。


 そう呼ばれている、由来の不明な存在が宇宙の何カ所かに存在していて、少なくともギルドは2カ所の「スターゲート」を確認しています。もっともその存在自体は一般にも流布しているのですが、座標については最高クラスのギルド秘とされていて、ギルド外部どころか高位幹部以外のギルドメンバーに対しても一切公開されていませんけど。


 ここからはギルドの幹部も知らないお話ですから、秘密にしておいてくださいね?


 実は、起源の星(オリジンスター)を旅だった頃の人類は亜光速航行の技術すら持っていませんでした。長い長い冷凍睡眠による、目覚めの可能性すら薄い危険な航行。世代宇宙船のような大がかりな移民船団。何度も船団の派遣と失敗を繰り返し、ようやくたどり着いたフロンティア。そこで発見したのが、居住可能な新たな惑星と――スターゲートでした。


 驚きますよね、宇宙空間に人工物と思われる輪っかが浮いていたら。移民船団は発見した居住可能な惑星に根を下ろすと共に、スターゲートの研究に全力を挙げました。発見されたスターゲートは動作していませんでしたが、それでも長い時間を掛けてゲートを研究することで人類は多くの事を学びました。そしてその中の一つ、人類文明を飛躍的に発展させる鍵となったのが重力制御でした。そう、つまり重力制御は人類が見出したものではなく、お手本が存在していたことで初めて会得できた技術だったのです。


 この技術を元にして多くの派生技術が生み出されました。人工重力システムや重力波通信、グラビティドライブといったこれまで人類が夢見ながら手に入れることが叶わなかった技術が次々と開発されてゆきます。そして……やがてその技術はスターゲートを模した重力場を使う超光速航行、ジャンプドライブへと結実します。

 当時の人類は結局、スターゲートそのものがどのような原理で動作するのかは理解できませんでしたが、それでも先達(・・)の残したスターゲートを手がかりに、独力で星々の世界へ旅立つパスポートを手に入れたのです。


 ジャンプドライブを手に入れた移民船団の子孫達が最初に目指したのは星の彼方ではなく、祖先が旅立った起源の星(オリジンスター)だったそうです。それがどういう理由によるものだったのか――故郷への憧憬なのか、それとも優れた技術を誇示し、故郷の全てを支配するためだったのかは判りません。いずれにせよ、彼らはその技術を故郷の星である起源の星(オリジンスター)へともたらしました。

 技術が平和裏に広がったのか、それとも争いと奪い合いのなかで拡散していたのかは、私にも判りません。ですが、最終的に人類は共有財産として重力制御技術を得ることになりました。そして、ジャンプドライブを使って人類はその版図を銀河に広げていくことになりました。


 以上が――大空白の前の、人類が持っていた技術に関するお話です。ではなぜ、今の私達は超光速航行も、重力制御も持っていないのか?……これについては……そうですね、私の口から語るのはやめておきましょう。でも、きっと……いずれ、スゥ局長が皆さんに語ってくれると思いますから。


 そうそう。今回トワがG15の管理する小惑星に墜落することになった原因についてもお話ししておきましょうか。本編でも説明があったとおり、3段階のトラクタービームのうち最後の近距離誘導を担う装置の破損が多くの航宙船を墜落させる原因でしたが、あの原因は……実はG15にも影響を及ぼしていた「時間」の管理にまつわるシステムトラブルが原因でした。

 サブの、それも着陸時間を記録するだけの極小さな役割しか持たないシステム。そのシステムが管理できる、言い換えればシステムで扱える時間の範囲を超えてしまったことで処理が停止し、着陸管制全体が麻痺することになったんです。

 着陸時間が取得できなければ処理をスキップすれば良いと思うのですが、律儀にもタイムスタンプが戻ってくるのを待ち続けた結果、制御不能になってしまう。笑うに笑えない出来事が多くの悲劇を招き、そしてトワにアルカンシェルが託されることに繋がりました。


 ちなみにそのシステムは遠い昔に開発されたもので……確かMという企業が開発したWというOSという名前だったと聞いてます。レガシーシステムっていうらしいですけど、こういうのもロストテクノロジーの一種なのかもしれませんね。



 さて、では今回はここまでにしておきましょうか。物語の第1部は間もなく終了になりますので、次に皆さんとお会いするのは第2部になるでしょうか?


 因果律が再び交わることがあれば、おしえて!アイリス先生Season2でまたお会いしましょう!

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