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★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)  作者: 埴輪庭


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26.惑星U101⑦

 ◆


 海を知らない君ではあるが、空に広がる大海にはある種の神秘性を感じざるを得ない。


 空に浮かぶ水の海は透明感があり、その中を泳ぐ生物たちと思しき影が見え隠れする。


 広がる草原もまたいいと君は思う。


 こういった自然は、少なくとも下層居住区には存在しない。


 君はこれまでこの手の雄大な自然を映像データでしか見た事がなかった。


 映像データで見た事がない光景もある。


 例えば地表と空の海を繋ぐかのように立ち昇っている巨大な水の柱だ。


 ──他にも俺が見た事がないものが沢山あるのだろうな


 君の胸中に酒とも女体ともヤクとも違う別種の快楽が生まれていた。


 それすなわち好奇心、である。


 君は酔おうと思えば酔えるし、抱こうと思えば抱ける。ヤクは別だが。


 しかし、どれもこれもがどうにも生身の頃とは別の感覚に思えて仕方ないのだ。


 だからこそ、以前と同じ感覚を抱く事ができる好奇心の充足を追い求めているのかもしれない。


 ・

 ・

 ・


 ──空に海があるなら、そうか。そこに色々生き物がいても別におかしくはないよな。あの影は魚か何かか?


 君はそんなことを思いながら、ちらちらと空を見上げつつ歩を進める。


「うーん、心が二つ欲しい」


 思わずつぶやいたそんな言葉に、ドエムがギギ?と調番が錆びた扉を開けるような音を立てる。その音は余人には兎も角、君の耳には明確な疑問の問いかけに聞こえた。意味としては「なんて?」と言った所だろう。


「いや、俺はもっと色々見たいんだけどね、ここも物騒だしボケッとしてるわけにはいかないだろ?カジュアルな俺とシリアスな俺の2人が必要だなって」


 次の目的地まではそう遠くはないが、決して安全な星ではない事は既に知れている。


 だから君は注意を周囲に向けつつ、しかし周囲を警戒しながら移動していた。何かとフワフワ軽くモノを考える君ではあるが、ひょんな事で空からドカンと一発来て死にかねない星では流石にそこまでカジュアル思考では居られない。


 周辺警戒はガイドボットの職分ではあるが、君とドエムは事前の話し合い?によって双方が警戒にあたることにしていた。調査に便利なドエムではあるが、如何せん最安価モデルであるため能力には不安がある。


 自身のスペックを説明する際「ビガビガ」と君の耳にはどこか申し訳なさそうに聞こえるが、それを聞いた君の返事はカジュアル&シンプルであった。


「オッケー!じゃあ2人で警戒しような!」


 ・

 ・

 ・


 目的地に向かって暫く歩を進める君だが、やがて空に揺蕩う大海に何かが浮かんでいるのを見つけた。


 またぞろ何かの生き物かと目を凝らせば、どうやらそうではないようだ。


「あれは……宇宙船、か?」

挿絵(By みてみん)

 無数の宇宙船の残骸だ。10や20では利かない数が宙に浮いている。


 これらはおそらく水膜圏を突破しようとしたが、失敗した船たちの名残であろう。


 錆びた金属片、破壊された船体。


 惑星U101を訪れたのは君が最初ではない。


 これまでも数多くの事業団員が訪れている。


 水の豊富さが開拓候補地としての優先度を高いものとしているからだ。


 しかし、実の所つい最近までこの惑星への着陸は成功していなかった。


 その主な障害は惑星を取り巻く厚い水膜にある。


 大気の層よりも遥かに抵抗が大きい水膜は、これまでの科学技術では突破が難しかった。


 惑星開拓事業団も幾度もチャレンジを重ねていた。


 具体的にいえば、素行が悪い団員を船首を鋭くした流線形の宇宙船に乗せ、第一宇宙速度で水圏に突っこませたりといった事だ。


 よしんば水膜突破に成功すればそれはそれでよし。失敗してもダニの処分が出来るわけだからとても合理的である。


 この様にして事業団は人類生存権拡大の為に努力を重ねていたが、犠牲者が増えるばかりだった。


 その状況が打破されたのは、君の "棺桶号" にもそなわっている斥力シールド技術が普及し始めてからのことだ。


 君が目にした無数の宇宙船の残骸は、科学技術がまだ未熟だった時代の錆色をした残照なのだ。


 §


「なんであの辺だけに集まってるんだろうな」


 そんな事を呟くと、胸元からピコピコと音がする。


 ドエム曰く、海流の関係で滞留しているのだろうという事だった。


 ──吹き溜まりか


 君はどこか皮肉気にそんな風に思う。


 壊れ、用を為さなくなったガラクタがどこからともなく流れ着き、誰からも顧みられることなく朽ち果てて消え去っていく──…それは自身が暮らしている下層居住区のそれと似ている様に思えてならなかった。


 ◆


 ネガティブで、しかも何の意味もない想像のせいで気分が少しクサクサしてしまった君だが、すぐに機嫌を直す。


 なぜなら──…

挿絵(By みてみん)

 ふわり、ぱちん。


 ふわり、ぱちん、ぱちん。


 そんな風に空から泡が降り注いできたからだ。


 空から降る泡を見て、君は思わず心が軽くなる。


 上空の水膜は大量の気泡が発生しているのか、まるで雲にも見える。


 そんな雲から水泡がキラキラと輝きながら降ってくる様は幻想的と言ってもいい。


 君は子供のような無邪気な笑顔を浮かべた。泡が手の届く範囲に降り注ぎ、君はそれを掴もうと手を伸ばす。


 触れると泡はぱちんと音を立てて弾ける。


 いいね、と君は笑って降りしきる水泡を見上げた。


 ・

 ・

 ・


 明らかに普通の泡ではなかった。


 泡は水膜から降り注いでいる。


 つまり上空の水膜も普通ではない。


 普通の水、例えば海水ならば気泡は出来るにせよ、このシャボン玉のような泡などは形成されないだろう。ましてやそれが地表に辿り着くまで形を保てるとも思えない。


 この惑星特有の物理現象が関与しているか、あるいは何か特殊な成分が含まれているのかもしれない。


 しかしそれを考えるのは君の仕事ではなかった。

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惑星開拓事業団エンブレム

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GALACTIC FEDERAL GOVERNMENT AUTHORIZED
P L A N E T A R Y
D E V E L O P M E N T
C O R P S
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惑星開拓事業団

「銀河の未来を、あなたの手で。」

銀河の開拓者

西暦3889年──
人類はついに銀河の果てに手を伸ばした。

未踏の星々が、あなたの一歩を待っています。
あなたもその一歩を踏み出しませんか?

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

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◆ 開拓対象惑星 ◆
F R O N T I E R W O R L D S C A T A L O G
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美しき新天地

200を超える未踏の惑星が
開拓者を待っています。

▸ 未知の生態系の発見 ▸ 希少資源の採掘権
▸ 居住適性の評価 ▸ 新航路の開拓

※惑星ランクE以上の調査には所定の事前ブリーフィングが実施されます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

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◆ 個人用船舶貸与制度 ◆
Y O U R W I N G S T O T H E S T A R S
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あなたの翼

入団初日から、あなただけの翼を。

ワープ航法
空間折り畳み式
銀河のどこへでも
AI航法支援
搭載型ガイドボット
あなたの相棒

※船舶の仕様・AI支援レベルは団員ランクにより異なります

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

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◆ 多種族共存環境 ◆
D I V E R S I T Y B E Y O N D S P E C I E S
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共に歩む仲間たち

種族を超えた絆が、銀河を拓く。

アースタイプ ベルトラン メタノイド
地球型人類 植物型種族 金属生命体
ピギー星人 スライム系 ザイフォルクス
豚型種族 不定形生物 交配進化種

※チーム編成はCランク以上でマッチングシステムをご利用いただけます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

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◆ 拠点惑星 C66 ◆
Y O U R N E W H O M E
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惑星C66

銀河有数の居住適性──ランクA惑星。

惑星データ 詳細
居住適性ランク A(最上位)
都市階層 上層・中層・下層
主要施設 事業団支社・商業区・居住区
生活環境 快適

※居住区の割り当ては団員ランクに準じます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━ 団員ランク制度 ━━
C A R E E R P A T H
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

E 研修生 ── 基礎訓練課程
D 調査員 ── 単独惑星調査
C 主任調査員 ── チーム編成権
B 上級調査員 ── 高難度惑星
A 統括調査官 ── 全権委任

あなたの努力が、ランクを決めます。
※昇格審査は実績に基づき随時実施 ※Eランク研修期間中の待遇については入団時にご説明いたします


星の海へ

星の海へ──

惑星開拓事業団は
あなたのご応募をお待ちしています。


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銀河連合政府認可 準国策事業体
惑星開拓事業団 広報局
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― 新着の感想 ―
[良い点] あなたの想像力やばすぎwww [気になる点] あなたは、埴輪というのですが何故? [一言] ええ、星には抗えませんよね。 僕も地球で二回目の骨折を味わっています。
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