season2-208 第10話 再戦
2030年10月11日7:40 日本国 首相官邸
官邸地下危機管理センターで徹夜対応を続けていた政府首脳陣は、未明からの情勢悪化を受け、ついに国家防衛体制を全面移行させていた。会見室には国内外メディアが集結し、異様な緊張感が漂っていた。準備が整ったところで宮崎夏帆首相が姿を現した。壇上へ立った宮崎首相は、一礼した後、静かに口を開いた。
「朝早くお集まりいただき誠にありがとうございます。本日未明、ハワイ沖において活動中であった海上自衛隊艦艇および国際同盟監視部隊に対し、デングリーヅ連邦軍による武力攻撃が確認されました。これにより、海上自衛隊護衛艦『なかすかぜ』を含む複数艦艇が被害を受け、現在も現地海域では戦闘行動が継続しています。政府はこれまで、ヴェルス停戦条約に基づく平和維持のため、外交的解決に向け最大限努力してまいりました。しかし本日、デングリーヅ連邦政府は停戦条約の一方的破棄を宣言し、国際同盟加盟国全体に対する宣戦布告を行いました。これは我が国のみならず、国際秩序そのものへの重大な挑戦であり、断じて容認できません」
一呼吸置いた後、宮崎首相ははっきりと言い切った。
「政府は本日7時15分、国際同盟における緊急安全保障会議の結果を踏まえて国家安全保障会議および臨時閣議を開催し、我が国に対する武力攻撃事態であると認定しました。これに基づき、自衛隊法第76条に基づく防衛出動を再発動するとともに、自衛隊統合作戦司令部に対し、戦闘行動命令を発令しました。まもなく陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そして海兵隊は、現在全国規模で完全戦時態勢へ移行しています、また、各部隊は統合作戦司令部の指揮下において、国際同盟軍との共同作戦を開始しました」
記者の手元にはデングリーヅ連邦の一連の出来事が記された資料を目を通させた。
「海兵隊についてはデングリーヅ連邦ニュージーランド地区、グリーンランド地区、キューバ地区、ハワイ地区へのいずれかの強襲上陸、我が国の島嶼における防衛、米軍及び国際同盟軍との共同作戦支援を主任務として展開を開始しています」
その発言により、日本が従来の専守防衛を超えた本格的統合作戦能力を保有していることが改めて国内外へ示された。さらに宮崎首相は、国際同盟との連携についても明言する。
「我が国は国際同盟安全保障理事会決議に基づき、集団的自衛権を行使します。日本はアメリカ合衆国および国際同盟加盟国と共に、デングリーヅ連邦による侵略を阻止するとともに、キューバ・ニュージーランド・グリーンランド・ハワイを解放します。
会見場ではフラッシュが絶え間なく光る中、宮崎首相は続けた。
「現在、ハワイ沖では被弾した護衛艦『なかすかぜ』を中心に、自衛隊艦艇が極限状態の中で戦闘を継続しています。隊員たちは国民を守るため命を懸けています。政府として、自衛隊および国際同盟軍への支援を最大限実施します」
そして国民へ向け、強い口調で呼びかけた。
「国民の皆様には、政府および自治体から発表される情報を冷静に確認し、落ち着いて行動していただきたいと考えております。ネットの情報やデマに惑わされず、政府公式SNSを確認するようお願いします。そして現在、日本本土への直接攻撃は確認されていません。しかし政府は、あらゆる事態を想定し、全国規模で警戒態勢を強化しています。我が国は決して蛮行を企てる国に対して屈しません自由、平和、そして世界秩序を守るため、日本政府は全力を尽くします!」
最後に宮崎首相は、真っ直ぐカメラを見据えながら締めくくった。
「これは、日本の未来を守る戦いです。政府は、自衛隊と国民と共に、この危機を乗り越えてまいります」
フラッシュを浴びながら深い一礼をした宮崎首相は記者から質問攻めを受けた。
1 東京経済新聞取材部:後藤勝一郎
「総理、今回の防衛出動再発動についてですが、政府としてこれは戦争状態に入ったという認識なのでしょうか?」
「現在、我が国は明確な武力攻撃を受けています。政府としては、国民の生命・財産、国家の安全を守るため必要な措置を講じています。法的認定としては武力攻撃事態であり、自衛権の行使として対応しています」
2 夕日新聞取材部:青崎誠司
「デングリーヅ連邦側は、日本および国際同盟側が先制行動を行ったと主張しています。政府として事実関係をどのように把握していますか?」
「我が国は停戦条約を遵守していました。現場海域での海上自衛隊部隊は破損した「エイブラハム・リンカーン」の曳航任務完了であったため帰港中に攻撃を受けたと聞いています。これにより国際同盟監視艦艇への攻撃および海上自衛隊艦艇へのミサイル攻撃が先に発生しています。詳細な分析は現在も続いていますが、我が国として武力衝突を意図して開始した事実はありません」
3 日本テレビ政治部:山黒進平
「ハワイ沖の被害状況について確認します。『なかすかぜ』以外にも被害艦は存在するのでしょうか。また人的被害は?」
「現在も戦闘継続中であり、情報は流動的です。現時点では複数艦艇に損傷が確認されていますが、詳細については自衛隊による確認後、速やかに公表しますのでデマに惑わされないよう情報の真偽の方をお願いします。また、隊員の安全確保を最優先に対応しています」
4 CNA日本支部:田島ケリー
「アメリカではDEFCON1が発令されています。日本政府として核戦争リスクをどの程度認識していますか?」
「政府として、あらゆる事態を想定しています。しかし現時点で、日本国国民及び国土への核攻撃の危険が迫っているとは確認していません。日米両政府は緊密に連携し、事態の拡大防止にも全力を尽くしています」
などの質問を受けた。その後も20社近くの新聞・テレビ会社からの質疑応答を終えて9:10に【防衛出動発出に関する記者会見】を終了した。デングリーヅ連邦キューバ地区、ニュージーランド地区、グリーンランド地区、ハワイ地区の解放に向けて日本国民の覚悟が試される非日常が幕を開ける。
いよいよデングリーヅ連邦キューバ地区、ニュージーランド地区、キューバ地区、ハワイ地区と再戦します。次回もよろしくお願いします!




