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薬草の自動栽培(1)

 昨日ログアウトした時間から22時間ほど経って 俺は再びログインした。


 よくよく考えてみると24時間で完璧に育つ場合。毎日同じルーティーンをこなすということができなくなってしまう。


 24時間で成長しきってからそれを収穫し、再び植え直すまでのインターバルをゼロにすることはできないから。


 もしいつもと同じように日課として生産するためには最後に「グロース・アクセラレーション」を使わなければならないことになるわけだ。


 これを早速魔法陣に書き込んでみよう。

 

Middle grade magic circle If[someone use this],front one square meter,growth acceleration,endif


 中級魔法陣、もし誰かがこれを使ったら、前方1平方メートルに、「グロース・アクセラレーション」を 行使する。


 実際に使って見ると 農夫の人が使っていたのと全く同じように使うことができた。


 ある程度以上の魔石を消費するから始めから最後まで全ての成長をこの魔方陣で進めると割に合わなくなるが最後の2時間ほどを成長させるのにはこれで十分だろう。


 次は収穫だ。


 と言ってもこれは昔薬草を粉砕したのと同じ要領で風魔法を発動させることができれば収穫ができるはずである。


 4平方メートルごとに区切って四つの正方形の真ん中の部分に転移魔法陣を設置する。


 スマホで刈り取った薬草をその転移魔法陣の上までうまく運ぶことさえで、栽培した薬草をインベントリに直行させることができるわけだ。


 ここまで今までやってきたことの繰り返しだけで済むな。


 掲示板の情報によると、薬草を栽培し収穫可能になった時点では刈り取らずさらに育てていくと花と実をつけて種を取れるようになるらしい。


 種を取ることができればますます原価を抑えることができるな。


 ひとまず今日は大量の育てた薬草のうち半分だけを収穫して残りの半分は取っておくことにしよう。


 なんだかんだ転移魔法陣を設置していたら結構な時間になってしまった。


 次の日再びログインしてみると聞いていた通り大きく育って種のようなものがついている。


 昨日新しく植えた種もしっかりと育っているようだ。


 植わっている一本の薬草から取ることのできる種の数は3個から5個での間でランダムのようだ。


 思ったのだがこれだけ確実に簡単に種が増えるのであれば他のプレイヤーが同じようなことをやって薬草の価格など元々こんなに高くならないんじゃないか?


 まだみんながやっていないだけなのか、それとも何らかの大量に作ることができない理由があるのか。







 大量に作ることのできない理由が分かった。今日収穫してみると明らかに昨日収穫したものよりも質が落ちている。半分程度の薬草は質が D-だ。


 まだ収穫していないところの薬草を見てみると『連作障害(小)』と出ていた。


 急いで調べてみるとどうやら「グロース・アクセラレーション」を使うと2回、 使わなくても5回ほど同系統の植物を生育することにより土が悪くなって、連作障害を起こしてしまうようだ。


 植物にも状態異常があるのかよ……

 とにかく対策するしかない。と言っても流石高級な花を育て上げたティウならなにか対策する魔法とか知っているだろうか。


「なあ、ティウ、連作障害ってのが起きたんだがどうしたらいい?」


「あっ。すっかり忘れてた。土の質を回復させる魔法もあって、アタシは毎回世話をする度に必ず使ってるよ! ちょっとみてて」


 そういってクランハウスの前の花壇に案内してくれた。


「ソイル・リジェネレーション!!」


 緑色の淡い光がティウが持っている杖の先からゆっくりと現れ目の前にあった植木鉢の土の表面を包み、土が元通りに再生した。



「この魔法は数ある土魔法の中でもかなりレベルが高くならないと覚えられないの。だから、もし栽培難易度の高い花を育てるのであれば魔法使いのレベルを上げきゃって感じ。」


「なるほど……、ありがとう。助かったよ。」

「どういたしましてーー。」


 これはあまりいい状況ではないかもしれない。上位の魔法になると魔法陣に書いても発動することができない。


 遠距離の転移魔法もそうだが単純に必要な魔力量が増えるだけではないようなのだ。ミスリルではないより高品質な金属を使えば大丈夫かもしれないが、現段階では手に入れることはできない。


 しかし土魔法に関しては突破口が見えているような気がする。


 前に俺を除いた「快走」の五人がダンジョンの中で手に入れたという「スモーキー・クォーツ」の説明文にこう書いてあったのだ。


『魔力を術式に通す時の触媒となる宝石の一種であり、土魔法に高い適正を持つ』 


  宝石は魔術師が持つ杖や指輪ネックレスなどのアクセサリーを作るための素材として使われることが多い。


 しかしもしこの説明文の通りであればいつも俺が使っている魔導士の魔法陣に使うこともできるのではないだろうか……






 結果をいうと、成功した。 魔導師に宝石の使い方を教えてもらうと尋ねたら簡単なクエストが出てきた。それはクリアしたら魔法陣の中に触媒として宝石を入れられるようになった。


 スモーキー・クォーツの効果はすごかった。というか異常だ。


 上級魔法である ソイル・リジェネレーションを行使できるようになっただけでなく、4ヘクタールほどというかなりの範囲を一度に再生できるようになった。


 触媒って相当強力なんだな……

 普段の魔石とは違って消費することはないからこれからも是非皆に多くの種類の宝石を集めてもらいたいところだ。


 チームのみんなに払うGもその分膨らんでいくけれど、まあみんなもポーション買っていくからある程度は相殺されるわけだ。


 そういえばこんな強力なアイテム、一体どれほどの値段になるのだろうか。

 調べてみると……


 700,000G


 これ、ランクBでこれほどの値段になるということはこの先高品質なスモーキークォーツやほかの宝石が市場に出回ったら一体いくらになるんだ??


 前作からそうだが宝石は消費アイテムではないためある時間がたつごとに確実に値段が下がっていく。


 そのため最前線で獲得した宝石は使わないのなら早めに売ったほうが得ということになる。


 もっとも、今回のこの宝石はどう考えても売るより使っていたほうが得であることは確実だ。


  そんなこんなで無事に薬草の完全自動栽培をすることに成功した。


 俺がゲームにログインしていない間でも薬草はすくすくと育ち俺がゲームにログインする頃に収穫される。


 収穫されたものはインベントリに入り、そのままいつものポーションの生産ライン流れるわけだ。


 しかし、いまだに問題も残っている。


 晴れだったらしっかりと回すことができるのだが、ここは常に晴れているわけではない。


 曇ったり、雨が降ると日照量が足りなくなっていい品質に育たなくなってしまうのだ。


 完璧に一定のペースで自動化できないとここから先の生産ラインに影響が出てしまう。


 足りない分を総合市場で買うという手もあるが大抵自分がほしいと思うときには値段が上がっているものなのだ。


 何か……人工的に光を生み出す方法を探すしかないか。


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