探索の成果と金属の加工
とりあえずダンジョンでの成果を確認してみることにしよう。
まず使ったアイテムだがHPポーションが150個ほど減っている。
これは相当使っているぞ。
普通だったら神官もいてここまでポーションを使うことはないのではないだろうか。
まあ元は俺が自動で作ったものだ特に気にする必要はないだろう。
そもそも道具使いがソロでダンジョンをクリアできただけで相当満足なものだ。
MPポーションも20個以上減っている。
まあおそらく最後のボス戦で大量に使ったものだろうがもしこれを全て購入していたら2万G以上の損失となる。
やはり魔道具で魔法攻撃を行うのは使用は少し考えないといけないな。
獲得したアイテムの方は……と。
鉄鉱石、銅鉱石、金鉱石、それに鉄インゴットや銅インゴットはそれなりに集まっている。
お目当てのミスリル鉱石も十数個集めることができているようだ。
一度の探索にしては成果は上々ではないだろうか。しかし最後の所ではもう少し性能の良いつるはしを持って行った方がより多く採掘できるかもしれない。
今度採掘専用の魔道具なんかも研究してみよう。さらに効率で採掘できる可能性もあるのだこれから先金属の需要も高まっていくだろうし。
今回は多くのポーションを消費して金銭的には完全に赤字かも知れないが、そもそも市場に出回っていないミスリルを手に入れているので行った甲斐は十分にある。
さて、もともとの目的だった転移魔法陣の開発をするとしよう。
ミスリルを使った魔法に適正の高い合金板を使うことによって効率よく消費マナを減らして転移魔法陣を使うことができるようになるだろう
そもそもこれを使えば風魔法攻撃を俺が打つときに消費MPを大幅に減らせるかもしれない。
ミスリルを使った合金板を作れるのはおそらく錬金術だ。
しかし錬金術のレベルを上げている暇はないな。
とはいってもミスリルのような存在を多くの人に明かしたく無いから外注はできない。
仕方がないのでとりあえずは薬剤と同じように錬金術も自動化を研究していくか。最後の詠唱の所だけを手動であれば同様に経験値を得ることができるだろう。
まずは錬金術の器具を用意していく。
と言っても薬剤の時と作るものはあまり変わらない。
せいぜい入れるものの量が少し多いので大きな鍋を用意するくらいだ。
後はMPポーションを作った時と同じ要領で魔法水を入れる装置を作っていく。
錬金術では魔法水は基本だからな。まあ薬剤を作る時の瓶と同じようなものだろうか。
それが終わったので鉱石をインゴットに変えていく作業をしよう。
ファンタジー仕様なので鉱石を高温にして酸素を還元させるという工程はこのゲームに存在しない。
素材の加工はほとんど錬金術で行うようである。
まあその方がこちらとしても楽なのでありがたいが。
早速材料を入れていくか。初めに試すのは鉄鉱石の精錬だ。
まず入れるのは鉄鉱石これはランクによって入れる量が違うようだ。
次にコークスを適量入れる。錬金術で最も難しいのは素材の量だ。
加熱時間などは比較的大雑把でも良いが素材の種類が豊富であり粉末や液体も多めに扱うため結果的に素材の量を研究しなければならない。
レシピにはそこら辺のこと詳しく書いてないのが厄介だ。
まあそれは薬剤の調理過程と同様といったところだろうか。
最後に、どこで採れるのかもよくわからない市場で買ってきた石灰石を入れて300℃ほどで加熱をする。
本来水は100℃以上には上がらないが魔法水はそこまで上がってしまうのだ。
これはかなり怖い現象だな。
もし触ったらどうなるのだろうか。まあ町の中は安全地帯なのでダメージを食らうことはないのだろうが。
材料を全て入れ置いたら13分間加熱をする本来1500℃ほど必要な鉄の精製をなぜ300℃できてしまうのかは謎だがおとなしく15分間待つことにした。
15分間の間に錬金術の数値をもう二つ作っておく。
魔法陣一つだけでできてしまう装置など今となってはとても簡単に感じる。
結局MPポーションの製造機には20個以上の魔方陣を使っているからな。
15分ほど経ったら加熱をやめ素材錬成と唱える。
ここで多くの煙が出てきて中では鉄のインゴットが完成する。
インゴットは個数単位で数えるためなるべく一度に大量に素材を錬成した方が切り捨てられる分が少なくて済むようだ。
本来であればこの高温の水の中から素材を出すので苦労するところだろうがそれはもう過去の話。
今は転移魔法陣が使えるから相当楽だ。
もちろんいつも使っている短距離をアイテムが移動するだけのものだが。
薬剤の時と同じように加熱の魔法陣の下に転移の魔法陣を置く。
加熱の魔法陣が止まったらインベントリに転移と。これは楽でいいな。
同様にして銅インゴットや金インゴット、ミスリルインゴットなども生成して行く。
これからつくる合金板はかなり多くの金属の種類を必要とするのだ。
ちなみに名前はそのままミスリル合金板であった。何やらアルミニウムやチタンなど明らかに作るのが難しそうな金属の名前も含まれているがこれらは市場に売っていた。
どこで手に入れることができるのだろうか。まあいずれボーロンに聞けば済む話である。
結局錬金をする装置は五つに増やして同時並行で作業を進めていった。
錬金術レベルも着々と上がっていきすべてのインゴットを生成し終えるときには9に届きそうになっていた。
おそらく10になればミスリル合金版を作ることができるようになるだろう。
まだ掲示板には生産職のレベル20以降のレシピは情報はほとんど出回っていないようだからまずまず間違いはないはずだ。
鉄合金銅合金など俺が作れる簡単なものも適当に作っておいてと。どうやら投げナイフも錬金で作れるようだな。
雑貨屋に売ってる投げナイフはほとんど100%金属からできている割に価格が安いと思ったが錬金で簡単に大量に作ることができるようだ。
これも今度量産できるようにしようか。そうこうしているうちにようやく錬金術師レベルが10に到達した。
早速錬金術師に初級錬金術書IIをもらってきた。
ここにはしっかりミスリル合金板のレシピが書いてあるな。これでようやく作ることができる。
要求素材の種類が多少多いがまあそこは問題ない。問題なのは1時間加熱し続けるというところか。
1時間というのはかなりめんどくさいな。これもまた俺の自動化の対象に決定だな。
自分がゲームにログインしている間も作っていかないと作りたいアイテムに対してミスリル合金板の供給が追いつかなくなるだろう。
早速俺は頭の中でミスリル合金板の自動錬金の方法について考え始める。
とにかく自分の手で一から作ってみよう。
要求する金属の種類がとにかく多い。それに何げなく魔石Bマイナスを一つ要求してくる。
これは市場だとかなり高くなるな。ちょっとエリウムにでも聞いてみるか。
「おい、エリウム」
「ん? なんだ?」
「エリウムたちの探索で魔石B-とか獲得していないか?」
「魔石は……B+ってのもあるけど」
「うん、それはまだ使うことは無いわ。取り敢えずB-を売ってくれ」
「あいよ」
あまり市場に出回っていない貴重なアイテムを持ってるというのは結構5人は奥まで潜り込んでいるということか。ってかB+なんてもん見たことあったかな?
ますます俺はみんなに追いつけなくなっていくだろうがまあ仕方のないことだ。
ありがたく魔石B-を頂いたのでこれを使ってミスリル合金板を作っていこう。
素材を鍋に入れたら基本あとは何もしなくていい。
あらかじめ加熱の魔法陣を1時間加熱という設定にしておけば見張っていなくても一時間で止まってくれるので楽である。
この1時間時間がもったいないので一旦ログアウトするとしよう。みんなも現実の用事が少しあるので一旦ログアウトするようだ。
にしてもミスリル合金を作る体制に入るまでおもったよりも手間がかかったな。
俺はクランハウスの自室に設置されてあるベッドの上に寝っ転がってログアウトした。
自室のベッドなんて今まで全く使ったことがなかったな




