9話 記念日の襲撃
今回は少し短いです。
彼女と交際してから1ヶ月は経つのか。
ふと、その事実に気付く。
もしかしたら彼女はプレゼントとか用意するんじゃないか…?
こっちが忘れていたとなるともしかしたら怒るかもしれないな…
いや、彼女の事だから怒る事は無いか…
怒る事は無いだろうが、俺も彼女に何かプレゼントしたいという気持ちを抑えられない。
俺は考える前に行動していた。
まだ炎怒達と合流するまで時間はあるから大丈夫だろう。
近くにショッピングモールがあるからそこに行けば何かがあるだろう。
俺はすぐにショッピングモールに向かって歩いた。
ショッピングモールでいろんな店を見て回ろうとしたその時だった。
携帯の着信音が鳴り響いた。
携帯を見てみると頼堂から「今どこに居る?」とメッセージが来ていた。
何も思わず俺はそれに対して「集合場所近くのショッピングモールだ」と返した。
少し待っても返信は無かったため、携帯をすぐにしまった。
そして俺は彼女に合いそうな服や彼女の好きそうなスイーツなどを見て行った。
だが、彼女に合う物を選ぶのは難しかった。
それは彼女に合う物が無い訳ではない。
ありすぎて困っているのだ。
どれを着ている姿を想像しても全部似合っている。
そしてスイーツに関しては、彼女の好きな物は甘い物全般だから困っている。
何が良いんだろうか…
彼女と1ヶ月も居たのにあまり好みを知らないんだな…
俺達の関係は案外深いものじゃなかったのかと不安に思う。
悩みながらもいろんな店を見て行く。
そんな時、気になる店が目に入った。
それはアクセサリーが売っている店だ。
何か直感でここにピンと来る物がある気がした。
俺はすぐに店に入る。
店の中には指輪やネックレスなどが飾ってあるが、俺は何か違う気がした。
そう思いながら他の物を見ていたとき、何かを感じる物があった。
それは綺麗なブレスレットだった。
金と黒っぽい物が置いてあるのを見てこれしかないと思った。
すぐに俺は店員を呼んで、それを買った。
商品を貰った俺は店を出て、左手首に金のブレスレットをつける。
そして彼女に渡す黒のブレスレットの箱はしっかりとポケットに入れる。
無くしたりする訳にはいかないからな。
俺は彼女に会うためにも、集合場所へ向かうことにした。
だが、歩き出してすぐ目の前から異端な髪の色をし少女と男性の2人組が真正面から歩いてきた。
俺は立ち止まって、様子を見た。
思った通り彼等は俺に用事があるようだった。
彼等は俺の前で立ち止まる。
「恨むなら成瀬 炎怒を恨みなさい」
赤と青の髪の少女は俺にそう言った。
言葉の意味を考える余裕は与えられず、急にその少女は炎を飛ばしてきた。
すぐに光を出してその炎を打ち消す。
俺は光を出しながらもすぐに後ろに下がった。
間違いなくこの状況は不利だ。
ここは逃げるしかない。
俺は相手の炎が止まったタイミングでいつものを決める。
指をパチンと鳴らし、彼等の目を目掛けて光を出す。
良い感じに当たったようで彼等は目が見えて居ないようだった。
今の内に逃げるしかない。
後ろを向いて全力で走る。
だが、彼等はすぐに追いかけてきた。
相手の方を確認しつつ光を出す。
光で目を塞いでいるのに彼等は真っ直ぐ走ってくる。
何故走って来れるんだと疑問に思ったが、恐らく勘だろうと信じて、俺は別の道に入る。
この辺は家の近所だから道には詳しい。
裏道を通ったり、人の家の庭を通ったりして逃げた。
不法侵入かもしれないが、今のこの世界にそんな事を問題視している人なんて居ないだろう。
彼等に会ったところから1kmは離れただろう。
もう彼等は追ってきて居ないようだった。
だが、安心しては居られない。
俺はそう思い、ポケットを上から触って箱を落としていない事を確認してから、集合場所へ向かって走った。
次回からまた炎怒編に戻ります。