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22:アヤカ、見回りを開始する

 ものすごい美人だと思っていた女性は、騎士団長のユスティンが化けた姿だった。


「ユスティン、凄く綺麗! 海外のモデルみたいな美人だ!」

「アヤカの方が綺麗ですよ。元々可愛らしいですが、女性らしい格好もよく似合いますね」


 ユスティンの口から零れ落ちる賛辞の言葉に、またもやアヤカの心臓が激しく脈打ちだした。


「ちょっと、団長。アヤカに色目を使うのは、やめてもらえますか? この子、そういうのに免疫ないんだから」


 なぜか憤慨するブリギッタに、ユスティンはふんわりとした笑みを浮かべながら、しれっと答えた。


「ええ、慣れていないところが可愛いですよね」

「……まさか、本気であの子を口説いています!?」

「ブリギッタ。これは、君の仕事とは関係ないのでは? 個人的な事情に口を挟むのは、野暮というものですよ?」


 そう言って、強引に話を打ち切ったユスティン。そんな彼を、ブリギッタは複雑そうな表情で見つめていた。

 ちなみに、当のアヤカは、落ち着かない気持ちを鎮めようとして、部屋の中でスクワットを始めている。よって、二人の会話は聞こえていなかった。


「ねえ、ユスティン。私、思ったんだけど」

「……なんですか、アヤカ」

「今回の件、神殿で事件が起こっているのに、神殿の騎士団は動かないの?」


 そもそも、おかしな話である。

 国営のアインハルド騎士団の騎士が女装までして潜入しているのに、同じ神殿仲間である神殿騎士団が全く動かないなんて。

 首をかしげるアヤカに、ユスティンとブリギッタは困ったように顔を見合わせる。


「アヤカ、知らないの? 神殿の騎士団は、『赤い夜』以外は動かないのよ?」

「えっ……?」


「ブリギッタの言うとおりですよ。彼らにとって『赤い夜』以外の幽獣被害は、些事らしいです。今回の件だって……本来は、第三騎士団の仕事なのですが、彼らも忙しい。その上、女装できる人材がいないということでしたから、代わりに第二騎士団が引き受けることにしました。第三騎士団に恩を売っておくと、我々としても、後々都合がいいですし……」


 小さな声でユスティンがつぶやいた言葉は、あえて聞かないようにした。


「じゃあ、今から神殿内の見回りを実施するわよ!」


 勇ましいブリギッタの掛け声とともに、アヤカ達は神殿内に幽獣がいないか捜索することにした。


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