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一気に形勢が変わっていた。
スキルが使えない、こんなことは……あるのか。
慌てるゲーム内、ヴァルキリアの叫び声が聞こえてきた。
「じゃあじゃあ、あたしの回復は?」
「薬使え、課金アイテムしかない!」
「わ、分かったわよ!」
ヴァルキリアの体力が半分に減って、ヴァルキリアは薬を飲むモーションを見せた。
すると、ヴァルキリアの体力が回復していった。
「まずいわ、これって……」
「まさか……これか『能力封じ』」
「『能力封じ』?」
「スキルを使えなくなるようにするフィールドに変える。
これは個別の判定ではないので、抵抗は存在しない。
幸い、相手も『瞬間移動』が使えなくなるが」
K・シューターの解説に、ハルヒメは聞きただす。
「効果は?どれぐらいなの?」
「ずっと」
「なによ、それ!」
不満を言いながらも、ヴァルキリアは薬を飲みながら戦っていた。
「これなら、一気に倒した方がいいわね」
「いやむしろ逆だ!」
「でも僕の役目って……」
「役立たずだ」
K・シューターに言われて僕は何も言い返せなかった。
「ガーン!」と頭の中で何度も響いた気がした。
スキルを使う『神官』のハルヒメは、スキルがないとどうしようもない。
そんな時さっきまで静かに戦っていたジャイアント・キリングが口を開く。
「前にあげた弓を使うんですよ」
「そっか、必殺技ゲージを稼ぐんだ」
ジャイアント・キリングが渡してくれた弓『行動弓』を、僕は装備していた。
だけど僕は冷静に考えていた。
一つは発動条件が分からない必殺技。
もう一つはスキルポイントに変換する必殺技。
それで必殺技ゲージを溜める理由があるのだろうか。
「ナツナイトは、ヴァルキリアをカバーリングで」
「カバーリングもスキル……」
「そか」K・シューターはがっかりしていた。
「とりあえずダメージを稼ぐ、必殺技ゲージもあるから」
「そうだな」
K・シューターとナツナイトは会話したのち、ナツナイトは前に向かっていた。
他にすることはない僕は、ただ弓を打つしかない。
運が良ければ『鈍足』になって……アジ・ダハーカは移動力低いからほとんど動かないか。
「早く倒しましょう、あまり薬を使いたくないから」
「そうだな、三分の一まで減らしたら一気に必殺技でゴリ押ししよう」
「倒せなかったら?」
「『必殺ゲージ回復薬』を飲んで押す、ヴァルキリアは?」
「一個」
「やっぱり役立たずのノーキンだな」
「うるさい!あたしはあまり課金しない……したくない!」
「課金しろよ。迷惑だな、パーティの足を引っ張るな!」
K・シューターの言葉にヴァルキリアは不機嫌に返していた。
「分かったわよ、購入しているところ」
「最高のヤツを三つは買えよ。俺はいつも上限の九個あるから。アタッカーの身だしなみだろ」
「分かっているわよ。三つ目を今から買うから」
「ヴァルキリアは前衛でダメージ源だけど、それだけ狙われているからね」
「よく分かっているじゃない、ジャイアント・キリング」
ジャイアント・キリングの助け舟に、嬉しそうに声を弾ませたヴァルキリア。
「それまで回復も……」
「分かっているわ、死なないように気をつけるわよ」
「ごめん……ヴァルキリア」
僕はハルヒメに謝った、だけどヴァルキリアはいつも通り笑顔だった。
「いいのよ、あたしに気にしなくていいわ。
誉はまだハルヒメにも……『ドラプラ』にも慣れていないんだから」
「随分優しいな、さすがあまり考えないノーキン」
「あんたは黙んなさい、K・シューター!」
言い合うヴァルキリアとK・シューター。
構わずK・シューターはアジ・ダハーカに攻撃を加えていた。
それでもアジ・ダハーカの体力はあまり減らない。
「それと少し戦術を変えよう。『作戦ED』に変更だ」
「了解」
K・シューターが一言いうとヴァルキリア、ジャイアント・キリング、ナツナイトが反応した。
僕は……とりあえず反応した。
一体なんなんだ『作戦ED』って。
そんなことを言うと、ヴァルキリアのそばにナツナイトが近づいた。
「ハルヒメは下がってね、『作戦ED』だから」
ヴァルキリアが言うと僕は素直に従っていた。




