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僕が自分の命を救っている頃、K・シューターがスキルを発動させた。
それは相手の情報を見るスキル、『情報収集』というらしい。
彼のような狙撃手は、意外と利便性のあるスキルを持っている。
「『瞬間移動』、まことに嫌なスキル持っているぜ」
説明するとスキルの発動と同時に瞬間移動できるスキル。
移動力が低いアジ・ダハーカにとってそれは、足代わりのスキルだろう。
ただしアジ・ダハーカの攻撃は、一撃がとてつもなく痛いのでハルヒメの体力が全快で無いと一撃死だ。
もちろん運悪くクリティカルでもハルヒメは死ぬ。
再び、ヴァルキリアとジャイアント・キリングで挟み込んで、ハルヒメのそばにはナツナイトがいた。
そばにはK・シューターも集まっていた。
僕のハルヒメが倒れると、『たまだん』の回復は止まってしまう。
K・シューターもナツナイトも僕に集まる攻撃を分散させるために集まっていた。
「ほかにスキルは?」
「さすが情報戦が全てというドラゴンだ。情報がブロックされている」
「使えないわね、K・シューター」
「うるさい、ノーキン!」
K・シューターとヴァルキリアが言い合っていた。
それでも二人とも攻撃の手をやめない。
「まあ、スキルは二つ、必殺技も二つだ。意外と少ないんだな。
むしろ基本能力が高いのが、厄介ではあるけどな」
「そうだね、気を引き締めていこう」
K・シューターの言葉にジャイアント・キリングが同調した。
「そんなことより、ハルヒメ」
「ん?」いきなり僕に言ってきたK・シューター。喋りながらよく攻撃できるな。
むしろスキル使うより楽なのかもしれない。
「絶対死ぬなよ、『いのちをだいじに』だ」
「うん」K・シューターが謎の言葉を言ってきた。
僕は画面をしっかり見ながら、回復を続けていた。
緊張感の中の回復はすごく心臓に悪いよ。
「アジ・ダハーカの体力は、まだ四分の一か……」
「僕の拳だとほとんど減らないですね」
ジャイアント・キリングが拳を当てながら嘆く。
ダメージの減りは、ヴァルキリアのダメージと明らかに違う。
そんなアジ・ダハーカは二度目の『瞬間移動』を使う。
また僕のそばに来ていた。それと同時に、僕の体力ゲージがものすごく減る。
「またか……」
焦りはなく、僕はナツナイトに冷静に守られていた。
「私はどんなことがあっても絶対に守ります」
ナツナイトのカバーリングは、今度も成功した。
二度目の攻撃を受けずに済んだハルヒメは、すぐに後ろに下がって距離をとった。
それにしてもこの攻撃は心臓に悪い。
(死んだら、死ぬんだよな……)
脳裏によぎったのは、白目をむいた金森会長。
死んだ瞬間、僕はああなるのかと思うと自然と震えが止まらなかった。
「何震えているの?怖いのはみんな同じよ」
震えは自然とヴァルキリアにお見通しだ。
「うん……ごめん」
「謝らないで回復、ナツは固いけどダメージかなり受けているから」
「ごめん……」
二回謝って体力ゲージが減ったナツナイトの回復に専念した。
ナツナイトがダメージを受けると、アジ・ダハーカの攻撃であっても体力ゲージの減りが少ない。
前に聞いたけれど、ナツナイトはハルヒメの五倍以上のHPがある。
また、ナイトは防御力が高い防具を装備できるので堅い。まさにパーティの盾だ。
その分、攻撃力がヴァルキリアの五分の一も満たないらしいが。
「また来るかもしれないわ『瞬間移動』」
「ああ、気をつけろ」
K・シューターに言われて、僕は肝を冷やしながら戦っていた。
瞬間移動されるたびに瀕死になって、次の一撃で殺される。
それはいつ起こるかわからない、ナツナイトの失敗はリアル僕の完全な死を意味するから。
「スキルはまだ余裕があるか?」
「うん」スキルポイントは1000もある。
スキルポイントマックスは1400だから余裕はあった。
K・シューターは、僕にそう言いながらアジ・ダハーカを狙っていた。
そんなアジ・ダハーカの必殺技がたまっていたのを僕は気づいた。
「あっ、アジ・ダハーカが必殺技……」
「私の前には全てが無力。あなたの力を……ここで奪う。
必殺『空の見えない世界』!」
アジ・ダハーカはスキル前にしゃべっていた。次の瞬間、画面が暗く光った。
そして、一瞬だけ白黒の画面が見えた。時が止まったかのような空間。
「なんだ?」
だけど、間もなくして画面が元に戻った。
体力ゲージを見たけれど、誰もダメージは減っていない。
アジ・ダハーカとヴァルキリア&ジャイアント・キリングが何事もなかったかのように攻撃し合う。
「なによ、大したことないじゃない!」
とヴァルキリアは構わず攻撃を続行中。オート戦闘だから当然か。
「うむ~……いや防御力が上がっているような気がするな」
K・シューターも攻撃を繰り返していた。だけど僕は驚愕していた。
僕はこの恐ろしい必殺技を誰よりも感じたからだ。
「うそ……だろ」
それは僕にとっては最も嫌な必殺技だったから。
「どうしたの、ハルヒメ?」
「スキルが……使えない」
「な、何っ!」
K・シューターが叫んだ。
ヴァルキリアの体力が減っても、僕に回復する術がない。
それは僕が無力になった瞬間だった。




