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貴族令嬢が「ただの楽士」と笑ったので、彼女の人生をアリアにしました ④
ルシアンは微笑んだ。
それから、静かに告げる。
「では、次の曲は――彼女のために」
古参貴族たちは、一斉に目を逸らした。
見たくなかったからだ。
あの“個人名が曲名になる瞬間”を。
一人、途中で遺書を書き始めたやつまでいた。
経験者である。
その演奏は、妙だった。
美しい。
だが、どこか不快。
旋律がまるで、“誰かの心を覗いている”みたいだった。
エレノアは最初、余裕だった。
微笑みながらワインを飲み、「大げさね」と笑っていた。
だが。
二曲目。
彼女の指先が震え始める。
三曲目。
笑顔が少し固くなる。
四曲目。
とうとう、ワインを落とした。
なぜなら。
曲の中に、“自分”がいたから。




