表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/14

序章 黒衣の楽師

──宮廷は彼を飼っていた。


いや、正確には。

“飼えている”と思い込んでいた。



宮廷というのは、不思議な場所だ。


毒殺はマナー違反。

だが、陰口は社交辞令として許可されている。


さらに、

「危険人物も芸術家として囲っておけば安全」という、

誰が最初に言い出したのか分からない謎理論が、

代々の伝統として受け継がれていた。



人類は、昔から信じすぎている。


才能ある異常者も、

檻に入れれば管理できる、と。


現実は真逆だ。

本当に閉じ込められているのは、たいてい檻のほうである。



そして、彼はその最悪の成功例だった。


黒衣の楽師。

名を、ルシアン。


宮廷専属音楽家。

肩書きだけ見れば、王家お抱えの文化人である。


だが実態は、音階を扱える災害指定悪魔だった。


彼が初めて王都に現れた夜、時計塔の鐘はすべて逆回転した。


翌朝、天文台の老人は「今日は昨日だ」と言い残して引退した。


以来、王都では奇妙な民間伝承が広まっている。


「午前二時以降にルシアンのヴァイオリンを聴くと、内臓が悲観的になる」


なお、事実である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ