2.王立図書館
授業を適当にこなし、俺は学院の近くにある、王立図書館へと向かった。
「おぉ、これ有名な『魔法使いセーラの伝記』じゃねぇか。前々から読みたかったんだよな。」
「あの『空気を操る英雄譚』と同じシリーズ…か。小さい頃に読んだ『勇者レインの旅の記録』も良かったしな。」
創生の時代の英雄…か。スケールが違うな。
「すみません、本を借りたいんですけど。」
王立図書館で必要になるのは、王国民であることを記した魔道カード。
俺はカードを右手に持ちながら、本を差し出す。
「はい、カードを読み取ります。」
この人…ちっさい声だけど、めちゃくちゃ綺麗だな。
「カード読み取り完了しました。ローグ…!?」
「はい?」
俺の名前を知って、驚いてる?
「あのさー…。」
「それでは、貸し出ししたので、早く帰ってください!」
「急に声大きいな。もしかしてさ、学院の人だったりする?」
「い、いいえ!が、学院ってなんですか?!」
「ちょ、声が大きいって。皆見てるから…。」
俺は必死に声を下げるようにお願いした。
「は、はい…。」
その人についていくと、図書館の司書室に連れて行かれた。
「すっげぇ量の本…。」
「あ、あの…。Fクラスのローグ・ドラグレイヴ君…ですよね?」
「え?だよな、やっぱり学院の人だよな?」
「は、はい。私の名前はエレナ・サンライズ。サンライズ子爵家の次女です。」
エレナ…。なんか聞き覚えあるような…。
「あ、知ってると思うけど…。俺はローグ。ドラグレイヴ男爵家の一人っ子。」
「知ってます…。ローグくんは色んな意味で有名人だから。」
「へ?万年ドベ?」
「それもあるんですけど…。『早すぎる人』っていう噂とか…。」
「ま、悪い意味ってことだろ?でもそんなに慌てなくてもいいじゃねぇか。俺が弱いのは周知の事実だぜ?」
「いや、ローグくんと喋ってるところを見られたら…。私まで虐められるかも…って思ってしまって。」
変なこと考える人だなぁ。
「そんなに変ですか?」
あ、思ってたことが口に出ちまったよ。
「ま、いいや。とりあえず本貸してよ。」
あ、閉館の音楽…。
「じゃ、俺帰るわ。」
「わ、私も。」
外はもう既に暗く、街灯が小さな灯りになっていた。
「あ、ご迷惑をおかけしました。」
「別にいいよ。いっつも帰るんこんぐらいだし。」
「は、はい。それではさような」
ガサッ!
「ーーは?」
狼の魔獣が草むらから飛び出し、エレナの腕を噛みちぎろうとしていた。
「っ!炎よ。『火球』!」
初級でも目眩しにはなるッ!
「っ、逃げんじゃねぇ!」
狼がエレナを咥え、森の中へと走って行った。
「チィッ!待ってろよ…エレナ!」
俺は魔力強化をかけ、森の中を走る。
魔物の声が聞こえるけど、そんなのはお構いなし。
ーー見えてきたッ!
「なっ。」
狼が、十数匹。
「こんなの…俺じゃ…。」




