同居人はだぁれ?
「403号室の住民がたった今餓死で亡くなったわ」
「本当に?なんで君にそんなことが分かるのさ」
「私は幽霊なのよ?幽体だから自由に壁をすり抜けてどの部屋にも出入りできるのだから、なんだって分かるわ」
「幽霊って便利だね。警察と救急車を呼んだ方がいいかな」
「やめておいた方がいいわね」
「どうしてさ」
「事情聴取の時に、住民が亡くなっていることにどうやって気づいたのか聞かれたらなんて説明するつもり?同棲している幽霊に教えてもらったなんて言うつもりかしら。相変わらずあなたは考えが足りないわね」
「そういえばそうか。にしてももう少し優しい言い方にしてほしいところだね。君には優しさと思いやりが足りない。それに同棲って表現もおかしいよ。僕が住み始めたこの部屋に幽霊の君が先だって棲みついていただけじゃないか。同居人という方が適切なんじゃないかな」
「細かい男は女の子に嫌われるわよ」
「うるさいなぁ。どうせ僕には元々女性との交友関係なんて皆無だから関係ないよ」
「可哀そうに。姿形が視えない幽霊の私としか女の子と関わりがないなんて……」
「うるさいなぁ……。そもそも声しか聞こえない僕からしてみれば、君が女の子と呼べる年齢かどうかすら知る術がないよ」
「それもそうね。………………おや」
「どうしたの?」
……
…………
……………………
「空き部屋だった503号室に新しい入居者がやってきたようね。他の空き室にも入居希望者が現れているみたい。内見に来ている人達が部屋を出入りしていて、マンション内が少しばかり騒がしくなってきたわね」
「幽霊マンションなんて悪評が絶えないけど、なんだかんだ入居者は現れるよね。一体この幽霊マンションに何を求めているのやら……」
「あなたと同様家賃の安さに釣られてか、もしくは飽き飽きした日常に何かを求めているのか……。いずれにせよ、また新たな悲劇がこのマンションで生まれるということね。ウフフフッ」
「ふと考える時があるんだけどさ。君は本当に存在しているのかな」
「戸籍も肉体も持たない私は存在を証明できないのだから、存在しているとは言えないわ」
「そういうことじゃなくてさ、僕の聴こえている君の声が全部僕の幻聴というか……妄想なんじゃないかってこと」
「それは否定できないわね。ただ、そしたら403号室の住民の死亡はどうやって分かるのかしら。部屋を自由にすり抜けられない人間のあなたにそれを知る術はないと思うのだけれど」
「…………実は僕が殺してたりして」
「……………………それは非常に面白い話ね」
事故物件系ホラーを書いてみたいと衝動的に思い、本作を執筆しました。
サクッと気軽に読めるように短い話を数話、そしてそれぞれの話に登場する登場人物達がさりげなく交錯することで怖さに深みを与えることを意識して書きました。
じわじわと染み出してくるようなホラーを感じていただけたら嬉しい所存です。
面白いと思ってもらえたら、是非レビュー感想等お願いします('ω')
気分次第で作品の続きか、もしくは別作品としてまた事故物件系を執筆してみるかも。




