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金曜日の悪夢

 東京都××区●●駅徒歩10ほどの場所にあるマンション、天野国レジデンス。


 かつて、住民の変死、相次ぐ自殺、失踪、枚挙に暇がない事件や事故が立て続けに起きて一時期大ニュースとなった噂の幽霊マンション、通称、天国レジデンス。


 1LDKで家賃が2万円という破格の安さに釣られた俺は、ワケ有物件ということを重々承知でこのマンションに住むことに決めた。

 これが、悪夢の始まりだった。


 ブラック企業よろしく今日も残業を終えて帰宅中の現在の時刻は23時。


「まじファック!!」


 毎度嫌がらせのように定時前に仕事を振ってくるクソ上司の顔を思い浮かべながら天を仰いだ。

 しかし今日は4月3日金曜日、つまり花金だ。


 広い部屋で酒を浴びるように飲みながら撮り溜めしたアニメを観まくるのだと息巻いて404号室の鍵を開け、部屋の中に入ろうとしたのだが――――


 部屋の…………外……?


 日が昇ったばかりの薄蒼い空。

 夜に現れるはずのない、チュンチュン喧しい雀の鳴き声。

 部屋の中へ入ったつもりなのに、目の前にはなぜは部屋の外の景色が広がっている。


 ……あれ?俺さっき鍵を開けて部屋の中に入ろうとしたんだよな……?


 トリックアート館に入った時のような、脳の認識をバグったような気分だった。

 部屋の扉を隔てて鏡合わせになった世界…………そんな馬鹿な話があるか。


 しかも、扉の向こう側の世界は夜ではなく朝のようだ。

 仕事のストレスでおかしくなってしまったのか。

 困惑して後ずさりしたとき、もう1つの違和感が背後にあった。


 背後に玄関があるのだ。

 背後には玄関、目の前には早朝の外の景色。

 そしてスーツを着た俺。

 これじゃあまるで、これから出勤するサラリーマンそのものだ。


 さぁ、これから出勤だ今日も一日頑張るぞい…………いやいや。


 金曜の夜に会社から帰宅したところだったはず…………だよな?


 自分を落ち着かせるように一旦深呼吸をすると、朝の冷たい空気が肺に入り込んでくる。

 心臓の鼓動が落ち着いてきたところでスマホのホーム画面を確認し、心臓が停止した。


 スマホの画面には4月6日(月)と表示されていた。

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