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山本さん
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六か月後、昼、食堂。
食堂はほぼ満員で、目についた空いてる席には看護師の山本さんが座っていた。
「ここ空いてるよ」
「あっすみません、ありがとうございます」
「……」
「……」
「……あのー、山本さん」
「なに?」
「病院辞められるって聞いたんですけど、いつごろの話ですか?」
「明日」
「ええっ⁉」
「情報遅いわね」
「そうなんですか。それは……ええと、お疲れさまでした」
「はいはい。どうせうるさいお局がいなくなって助かったとか思ってるんでしょ」
「いえそんなこと。……あの、どうして」
「めんどくさくなったのよ。あーだこーだ言われて残る気はないわ。それぐらい知ってるでしょ? あたしがトラブル起こしたとか問題発言したとか」
「あっ、まあ……そうですね」
「こっちだって言い分はあるけどね。青沼さんの件とか」
「えっ? 何かあったんですか?」




