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神様に殺された!  作者: 猫めっき
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浮遊


魔法大会に行って

尚更この国の(いびつ)さを自分は感じていた。


魔法は

あの程度では無い筈だ。

でも、あれがこの王国の実力だと物語っている。

デモンストレーションを見る限り

そうとしか見えない。


“どう見ても児戯。何かが間違っている”


そう感じて


「この間の魔法大会なんだけど・・・」


厨房で準備をしている四人に声を掛けた。


「空を飛んでいる魔法士を見なかったけど

空を飛ぶ魔法は有るの?」


その問いに、シュリが答えた。


「空を飛べる魔法士は、世界でも

数人いるかどうかです。

少なくとも、この王国にはいないですよ」


そう聞いて、自分の方がびっくりしてしまう。


「何でっ?」


そう言うと、シュリがキョトンとして


「そんな凄い魔力を持っている魔法士が

いないからです」


真顔でそう答えて来る。


「そうなんだ・・・」


でも、何となく釈然としない。

少なくとも自分が空を飛ぶのに

それ程魔力を使っている感じがしていない。


「でも、空を飛ぶのに魔力ってそれ程必要では

無いと思うんだけど・・・」


空を飛ぶ。


その原理を考えると

色々な方法が思い浮かぶのは

自分だけなのかも知れない。


何故なら、魔法はイメージの具現化だと

そう感じていたからだ。


この間の魔法大会を見て

殊更その思いが強くなった。


漠然とした魔法のイメージしか

この世界の人間は

持っていないのではないか。


特に水魔法を見て

強くその事を感じていた。


水魔法のイメージが

どう考えても貧困の様な気がする。

少なくとも自分なら

コップに水を入れるイメージなど

元からしない。


水がこの世界でどう存在しているのか

知っているからだ。

水を呼び出すのもイメージ次第。

空を飛ぶのも

当然イメージの具現化でしか無い。


「空を飛びたいって、思わないの?」


「それは誰だって思いますよ。

でも、王国魔法士だって出来ないんだから・・・


私達が出来るわけ無いじゃないですか?」


「そうかなあ? そうは思わないんだけど・・・」


言葉を続けた。


「カンナさんもアヤメさんも

この間の魔法大会で、

初めて炎魔法を使ったじゃないですか。


飛行魔法も、同じ事だと思いますよ。

イメージさえ出来れば、絶対出来ますよ。

それ程魔力を使わなくても、多分飛べるようになる。


問題は、それをどう具体的にイメージするのか。

それだけだと思います」


四人が手を止めて、こちらの話しに注目する。


「例えば、鳥は空を飛んでいますが

飛び方ってマチマチですよね。

鳥の種類によって飛び方は違う。

全ての鳥が、同じ様には飛んでいない。


ゆったり飛ぶ鳥もいれば

羽根をバタバタさせないと飛べない鳥もいる」


四人が身を乗り出してきた。


「魔法士の飛び方も同じで

それぞれが違う飛び方をしても

何の問題も無い。

飛び方は一つじゃ無いんです。


要はその人がどうイメージするかで、

飛び方も違って来る」


これは、実験せねばなるまい。

魔力のこもった魔石を、全部取り出すと

それをカンナに持たせた。


同時に、タクトも出させる。


「カンナさん。

足の下に、大きい板が有るイメージを持ってください。

見えない大きな板が、足の下に有ると。


その板にタクトで指示して・・・」


その言葉に従い、カンナがイメージを始めた。


「その板をみんなで持ち上げるイメージを加える」


カンナが全力で

魔石の魔力をタクトに流し込んで行く。


するとやがて、ほんの少しカンナの体が

宙に浮いた。


周りの三人は、驚きの余り声も出ない。

カンナが間違い無く、宙に浮いているのだ。

しばらくポカンとすると

やがてノーラさんが口を開いた。


「カンナさん、浮いてます」


「えっ?」


そう言った途端、タクトを持つ手の力が抜けたのか

カンナがポンと着地する。


飛行魔法が、成功した瞬間だった。


「やっぱり浮いたでしょう! 

空を飛ぶのはそう難しくは無いんですよ!」


思った通りの結果に

少しだけ嬉しくなる。

これで魔法は

具体的なイメージの具現化だと確認出来た。


カンナのイメージで成功したのだから

これはもう間違いは無い。


自分の魔力は無限に有るので

参考にはならなかったのだが

やはり魔法はイメージなのだ。

イメージが共有出来れば

この国の魔法は飛躍的に向上する筈である。


「飛行もイメージなんです。

イメージが出来れば、誰でも飛べるようになる」


シュリが口を挟んで来た。


「でも、魔法の箒が無ければ

魔法使いは空を飛べないんじゃないですか?」


その一言で思い出した。


箒で空を飛ぶという

魔女のイメージ。

何処の世界でも、それは共通らしい。


「それってむしろ、難しい事だと思うよ

箒の柄は棒だから。


もの凄く座り難いと思う」


その言葉に、シュリが少し悲しそうな顔をする。


「でも、魔法使いは、魔法の箒が無いと・・・」


その夢を壊さない様に

自分は言葉を選びながら


「確かに不可能では無いと思うけど

きっとかなりの上位魔法だろうね。


もっと難しい魔法。


きっと魔女は

もの凄い高度な魔法を使って

空を飛んでるいるんだと思う。


そんなのは初心者には無理だから

初めて空を飛ぶのなら、

もっと飛び易い方法を考えた方が

きっと安全だよ」


そう言うと

シュリはなんとなく納得した様で

笑顔を見せた。


それからは兎に角

飛ぶイメージに付いて

みんなに細かく説明して行く。


風を下から浴びるイメージとか

見えない風船で飛ばされるイメージとか

見えない大きな鳥に乗って

空を飛ぶイメージとか。


それして四人は

面白そうにアイデアを出し続けていた。



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