第 十七 回
皆、人間に戻っていった。
金蔵さんは「ハーフマラソンがしんど過ぎてつい、イラ立ってしまった。申し訳ない」妖力点が原因な気がする。
主催者は「来年もこの距離でいきます」と言った。
来年は妖力点が無いからまあきっと、大丈夫でしょう。たくさん開催されて大丈夫ならだけど。
二、三日で分かった。白っぽさを感じるピンク色。ピンクは桃とか桜。
私は桜のイメージを感じ取った(以前、中華料理屋で桃で桃源郷が浮かんだ)。桜はお花見でのんびりしているイメージ。その色で思うところがあった。仮装ハーフ・マラソン大会は過酷だった。でも、妖力点が無ければ何もしなかっただろうから、白で無実の色だ。
〈フライドポテトの持久、大食い大会〉にやって来た。
実況と解説の人がしゃべっている。二十名ぐらいの人が大食いをしている。
「フライドポテトだけを食べ続ける。量だけじゃなく、どれだけ長い時間かをも競われます。時間を競うのは、実は大食いにとってタブーじゃないんですか?無理でしょう、三時間ずっと同じ物を食べ続けるなんて」「大丈夫、フィクションだから、現実の人間がするなら負担でも想像であれば平気なんです」「なるほどフィクションでしたね、でしたら安心です。十分以上、現実で大食いをすれば私の予想だと屁が出そうになるって思います」「分かります、ですよね絶対、お腹の活動が活発になりそうです。二十分以上になりましたら、トイレに走り出すと私は予想をしています」「行きますね、半分ぐらいの人いなくなるんじゃないでしょうか」「ですよね」
「最終的に三名残りましたね。後は脱落になってしまいました」実況の人は言う。私も仕事を行わなくてはいけない。
「妖力点を捜させて下さい。おかしな事になってもいけないので」
「とんでもない闖入者です。地獄のお仕事ですから、仕方がないと思われます」
「机の裏…。以前もこの場所になかったですか丼のお店で」実況の人は詳しい。
「はい、フィクションだから分かります」「幻・世界という場所に移動しましたね」「出場者、関係者、十八名が犬の妖魔になりました。妖魔化しても食べている方が二名いますね」「話し合いましょう」「一つ目の女性の方が妖魔になった方に声を掛けています」
二足歩行の犬の妖魔。垂れ下がった耳のタイプだ。ズボンを穿いていて、ペタンとした足首よりも下の履き口の靴を履いている。
十五人くらい人間のままの人も、いる。
「鬼襞さん、人の状態の方をお願いします」
「ウンッ」
予備見さんに、妖力点の影の端を持って貰った。
「影の長縄跳び」
「皆さん、落ち着いて下さい。鬼襞さん、好きです」
「えっ、予備見さん!?」
続く
次も今日中にちゃんと書けるのだろうか?




