第 十八 回
私は混乱していた。予備見さんが突然、鬼襞さんのことを好きと言ったから。突然過ぎる。
皆、人間には戻った。
妖魔になったのは大会がキツ過ぎたからだ。
ストレスが理由。妖力点が無ければならなかったって思いはするけど。
「冬美さん、疲れでなんか言っちゃった」予備見さんは割とオロオロと動揺している。
「鬼襞さんのこと好きって…」
「あ――っ、やっぱり言っちゃったか?人間世界の仕事で疲れていたのかも。そこは、ごめんなさい」「好きなの?」「ウン、だって鬼襞さんの存在が支えになっていたんだもの」「マ、マジですか…」すごいタイミングで恋のライバルが現れた。強力だな。
色の訳は一、二日で分かった。
実は濃い黄色だった。実況と解説の人がしゃべっていて、書きそびれていたけど。
黄色はポテトの色を表し、濃くなることでこれから注意の意味だったようだ。
〈冗談、変装・二キロマラソン大食い大会〉の会場へと、着いた。二十五人ぐらい出場者がいる。
また、実況と解説の人がいる。
「まず冗談を言います。そこでジャッジが厳しい審査員四分の三が納得をしてくれないと、次の変装に移ることが出来ないんです。ここで、私、冗談を言ってもいいですか?」「アッ、やってみますか、どうぞ」「僕のお爺さんは実は演歌歌手なんです、なーんて」「アッ、一人しかオッケーを出してないですね」「後、五人必要ってことですね。ここが大丈夫だと次の変装へ進みます。どんな格好でもいいですが、変装の内容に納得出来ていないとここから二キロ走りますから、走るのが辛いですね」「二キロは長いと思います」「その後、ニンジンの大食い。茹でて柔らかくなったニンジンですが、塩、マヨネーズ、ソースを付け、ひたすら食べまくります。一体、ニンジンをどれだけ食べまくれるのでしょうか」実況と解説はこないだと、同じ人だ。
「すみません、妖力点を捜させて下さい、念のため」
「ここで妖力点です…地獄の仕事ですから、仕方がないですね」
ブワッ。大食いのときに座る用のイスに触れると黄色が濃い黄緑色になった。今、参加者は二キロを走っている。アッ、戻って来た。
予備見さんに声を掛けようと思うが、一瞬ドキッとする。鬼襞さんも何も言わない。しばらく何も言わない方が良さそうだ。
私は帰ってきた参加者の人たちに「ここは座らない方が…」と、言ってみた。こういうとき、どうすれば妖魔化しないのか難しい、段々話すうちに参加者たちは妖魔になっていった。十七、八人が。キリンの妖魔だ。でっかい。ぴったりした服とズボンがひとまとまりの物に長靴。奇跡のバランスで二足歩行だ。
幻・世界で私は色々動いて影を伸ばしていく。ロープを置いていくようなものだ。うっかり蹴られたら大ダメージだ。二足歩行のキリンは身長が私の三、四倍はある。
「皆さん落ち着いてください。話し合いましょう。鬼襞さん、愛しています」
また、予備見さんはうっかり、言っている。普通の人間ならまた、やったりはなさそうだが。予備見さんは地獄の方というのがある。生活が違えばあるかもという気も、する。
しばらくすると皆、人間の姿に戻った。
変装がストレスだったそうだ。確かに変装をする必要性は意味を考えると、無い。でも妖魔化を考えると、やっぱりもし妖力点が無ければ問題にならなかったと、思う。
予備見さんとは、いずれ恋愛の決着をつけないといけないんだろうな。地獄の存在の者同士、合っているって気がするな。
続く
何とかこの回も、終わった。本当に、難しい。




