キス
読んで戴けたら倖せです。
瑞基は病室で、隆一朗の膝に横たわり意思の無い隆一朗の手を弄んでいた。
「ねえ、何故だと思う?
直ぐに返事ができなかったんだ
森さん、きっと凄く勇気を出して告白してくれたんだと思うんだ
だから凄く嬉しかったのに、オレも好きって言えなかったんだよ
隆一朗ならなんて言ったかな」
瑞基は隆一朗の手を弄びながら鼻歌を歌い始めた。
隆一朗が歌っていたドイツの、恋人を残して戦場へ行った青年の歌だった。
一番はハミングで、二番は歌詞をぼんやり歌った。
♪遠く離れても忘れはしない
君の元へいつか戻って来たら
真昼だろうと真夜中だろうと
熱い口付けで君を狂わすよ
熱い口付けで君を狂わす
「……………ねえ、あの時隆一朗はどうしてオレにキスしたの? 」
瑞基は起き上がって隆一朗の顔を見た。
隆一朗は相変わらず無表情だった。
瑞基は隆一朗の口唇を指でなぞる。
「あんな濃厚なキス、オレを誰だと思ってしたの? 」
瑞基は隆一朗の口唇に触れていた手を頬に移して、そっと隆一朗の口唇に自分の口唇を押し当てた。
『あの時と同じ、隆一朗の口唇………………』
瑞基は目を閉じた。
『なんだろう? 』
突然、意識がはっきりして長い無の中から暗闇へと隆一朗は放り出された。
『誰かが口唇に触れてる
知ってる、この口唇の感触
とても愛おしくて
失ってはいけないんだ
失ったらボクは正常ではいられないほど愛おしい存在
誰だったろう?
み…………………ず……き………?
みずき
瑞基……………
ボクの光
ボクの救い
ボクの安らぎ』
隆一朗は触れる口唇に口付け、抱き締めた。
確かに瑞基はそこに居た。
口唇が離れると隆一朗は不安になって目を開けた。
そこには、驚きに目を見開いた瑞基が居た。
「瑞基……………………」
「解るの?
オレが解るの? 」
廊下から何かが床に落ちる音がして、隆一朗と瑞基はそちらを反射的に見た。
そこには、混乱した表情の森詩織が立っていた。
床には花束が落ちている。
森詩織は二、三歩後退りして駆けて行った。
隆一朗は瑞基の腕を掴んで言った。
「追って! 」
瑞基は何が起きたのか解らなかった。
隆一朗が戻って来たことだけで、頭がいっぱいになっていたのだ。
「瑞基、追って! 」
「だって、隆一朗が! 」
「ボクは大丈夫だから、追って! 」
瑞基は隆一朗を見ながら後ろ向きに歩いて病室から出ると、後ろ髪を引かれる思いで森詩織を追い駆けた。
森詩織は階段を駆け下りて、一階の廊下を夜間出入り口目指して走っていた。
「森さん、待って! 」
瑞基の声がして、森詩織は振り返って速度を落とした。
後ろ向きに歩きながら哀しげな顔を精一杯笑顔にして言った。
「良かったね
隆一朗さん戻って来たんだね」
瑞基は立ち止まったが言葉が出なかった。
「隆一朗さん、眠り姫みたい、瑞基君のキスで目が覚めて」
森詩織の目から一筋、涙が零れた。
「ワタシ、なんだか解ってたような気がしてたんだ
だってワタシずっと瑞基君を見てたんだもん
瑞基君が隆一朗さんの事話す時、とても倖せそうだった
でも、安心しないで
ワタシこれでも諦めがめちゃくちゃ悪い女なんだ」
森詩織はつまずいて尻餅をついた。
瑞基が駆け寄ろうとすると叫んだ。
「だめーーっ! 」
瑞基はそこに壁でもあるかの様に立ち止まって動けなくなる。
「ワタシ、見掛けに依らず強いんだから」
森詩織は立ち上がった。
「ほうらね、大丈夫
ちゃんと一人で立てた
また明日、学校でね」
森詩織は踵を返すと駆けて行った。
瑞基は足に重りでも在るかの様に立ち止まったままうごけなかった。
森詩織が駆けて行く後ろ姿が見えなくなっても尚、動けずにいた。
読んで戴き有り難うございます。
思い違いかなと思っていたのですが
ショックです。
大好きなヴィジュアル系バンドのRAZORのドラムのてっちが脱退したみたいなんです。
いいドラム叩いてたのに。
残念です。
これから、RAZORどうなるんだろう❔
骨太な音を出しているバンドなので、音変わらないでいて欲しいです。




