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年の差  作者: MIK
2/3

後編 馬に蹴られたくない

しかし、しばらくしてその手の話題を振ってもどうも話がかみ合ってない気がする

それ以外の会話や日々の穏やかさにかまけてそのまま放置していた


突然結婚すると言いだし、相手について堂々と惚気だす

最近不動産屋の婆さんが何故かにやにやしながらよく話しかけてくるようになった

あの子が惚気ると胸が痛い

式の細かい打合せを何故か俺とこなしていくあの子に不思議に思って相手はそんなに甲斐性無しなのかと問いただした

するとあの子は目を見開いたあとそのまん丸の目からぼたぼたと涙をこぼし始めた

その後なんでもないと目にごみがなんて言っていたがそれは聞いてはいけないことなんだと思って何となく気まずくなった

当日父親役は町長さんに頼んだから、式には遅れずに来てねといわれた


突然のことに頭が真っ白になる、我に返った時には内鍵のかかった扉の前で怒鳴り散らしていた

どんなに怒鳴っても部屋の中から返事は無かった

そこから会話は一切しなくなったがあの子がこちらをチラチラ伺う様にみているのには気付いていた


当日の朝、必ず時間に遅れずに来て、一生に一度のお願いだからと涙ながらにお願いしてあの子は会場に向った

時間ぎりぎりまで悩んだが自分のちっぽけなプライドよりあの子の願いの方が重要だと思いなおし、走って会場に滑り込むと何故か周りの女性陣から遅いと白い目で見られ、男性陣からは急かすように新郎の控室に押し込まれた

そこで初めて今日があの子と自分の結婚式だと気付き、今までのことが走馬灯のように頭を駆け巡る

控えめなノックのあと不安気に眉を下げたあの子がそっと入って来た

あまりの綺麗さに言葉をかけるのも忘れて見入っていると、あの子の目から涙が零れ落ちて行った


ごめんなさい、騙すような真似をして


少しうつむき流れ落ちる涙をそのままにして、唇を噛み締めた後顔を上げた


私、父親としてじゃなくて

まて!!


あの子の言葉を止めるために、ここまでさせておいて先に言わせてはならないそんな意気込みから声を張り上げてしまった

ビクッと肩を震わせたあの子は拒絶されたと思ったのかさらに涙を目にためた


違う、すまない気づくのも言うのも遅くなってしまって、お前の隣を俺以外に渡すなんてありえない

どうか、俺と結婚して下さい


結局あの子の目からは涙が零れ落ちたが満面の笑みを浮かべた


はい、喜んで!!


彼女の返事と共にわやわやと控室に人がなだれ込んでくる

おめでとうと口ぐちに告げられる


やれやれ、やっとまとまったかい


不動産屋の婆さんが呆れたように呟いた


こんなに泣かせて、一生分は泣いたんじゃないかい?


あの子を気遣ってから、俺をキッと見据えた


もう泣かすんじゃないよ!

ああ、わかってる

全く、鈍いにもほどがあるってんだ、さあ化粧をなおして仕切り直しだ

皆も一旦会場に戻っておくれ、あんたも会場にいくんだよ

こんなに待たされたんだ、少しは待たせてやらないとね


婆さんの言葉にそうだ、そうだとヤジがとんだ


いくらでも待つさ、でも今日はお客様もいるからなるべく早めに

ふん、昔っから減らず口だね


婆さんが苦虫を噛み潰したような顔をした

周りがどっと沸いた

あの子も笑った

俺も笑った


ああ、幸せだ


思った以上にサクッと仕上げたので、誤字脱字、話の筋のブレがあったらご連絡(感想)下さい

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