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いつもの異世界、男の娘が歩く  作者: 懐十
第一章:森編
2/3

02:おいしいお水とどんぶらこ

二話目。よろしくね!

  

 ステータス、異世界、実に興味深いがそんな事より水が飲みたい。

 ステータスの表示はじゃまだな、と思ったら消えた。

 思うだけってのは便利だなぁ。

 イノシシとのにらみ合いから解放された事もあり、どっと疲れた。

 イノシシの死体を眺めて思う。すごい強そうだったんだけどなぁ。


 おぉ、ひょっとしたらゲームの如くアイテムがドロップするのでは?

 とりあえず、イノシシの死体を揺すってみたが変化は無かった。

 さすがにそこまでゲームでは無いのか。

 悔し紛れに左右に一本ずつ生えているデカイ牙の片方を蹴ると、ぽろっと牙がとれたのでこれがドロップ品だということにしておこう。

 太さはタケノコ、形もタケノコ、長さは60センチくらいのいい感じの牙だ。

 てか、死体蹴りいくない。反省。

 ちなみに、もう片方の牙はイノシシの巨体に押しつぶされて採れそうになかったので断念。


 一応、イノシシさんに合掌した後、彼の牙を肩に担いで水探しを再開。

 イノシシ肉は一瞬考えたが、野生児じゃあるまいし生では食えない。

 火の起こし方も知らないし、何よりキノコの毒がまわってそうで怖いので諦めた。

 イノシシさんの牙は獣臭いしなんかベトベトしているが、なんとなく捨てる気にはならない。

 

 歩きながら毒キノコ (確定)をポケットに詰めていると、空気がひんやりとしてきた。

 別にキノコの毒にやられた訳ではない。

 元から森なので涼しかったのだけれど、段違いに涼しいのだ。むしろ、若干寒い。

 これは、水が、もしかしたら川が、近くにあるのかもしれない。

 僕の異世界人生はまだ終わらないぜ。


 涼しければ、それだけ水に近づくだろうという単純な考えで歩くことしばらく。

 幅3メートルくらいの小川を発見!

 落ち着け、僕。冷静になるんだ。

 川辺にはさっきみたいなイノシシが水を飲みに来ているかもしれないし、

 実は人間には飲めない危険な水かもしれない。

 はたまた、川辺のコケにでも足を取られて負傷するかもしれない。

 落ち着け……。


 わーーーい、お水だぁ!!

 ダッシュ、川に顔を突っ込んでゴクゴク。

 うまい!!


「げふぉっ! げほ、げほっ」


 ふぅ、危ない、危ない。我を失うところだったぜ。

 てか、顔突っ込んで水飲むと鼻にも入るんだな、知らなかった。

 飲んでみたところ、川の水は飲めそうだし、今見回した感じだと獣のたぐいもいなかった。

 よかった、よかった。

 

 川の水はとても冷たく、飲み過ぎて身体が寒いぜ。

 仕方ないから体温を上げる為に軽く筋トレをする。

 正直、筋肉疲労はよろしくないのだけど、寒いのはそれはそれでよろしくない。

 腕立て、お? スクワット、おお? イノシシの牙スイング、おお!

 さっきまで水の事しか頭に無かったが、こうして身体を動かしてみると前より明らかに身体に力が入る。

 イメージより力が出ると、ちょっとした全能感があるなぁ。

 思い当たる事と言ったらまぁ、レベル7。

 身体も暖まってきたし、改めてステータス確認。


 《イマガシ・ユン》ーーー

  職業[人]

  レベル7

  ・スキル / [ポインター:lv1][異世界言語]

  ・称号  / [男の娘][異世界転移者]

  ーーーーーーーーーーー


 称号は……まぁ、今はいいとして。 

 それより、ポインターレベル1。

 このスキルだけは一切意味がわからない。

 うーん。ポインター、ポイント、レーザーポインター、狙い、場所、位置?

 よくわからないけど、スキルの欄に表示されている上にレベルまであるのだから、なんとかして活用してみたいものだ。

 まぁ、早急に解き明かさなくてもいいか。のんびりやろう。

 早急に、といえば食料。まだ食わなくとも耐えられるとはいえ、空腹に変わりはない。

 今すぐにでも探す必要がある。

 あとは寝床。この世界にも昼と夜が存在するなら、じきに暗くなるだろう。

 夜になれば動きづらい上に獣も動き出すかもしれない。睡眠は健康の為にも不可欠だしなぁ。

 これも早急に探さないと。

 まだ明るいけど、いつ暗くなっていくのかわからないし。

 

 いざ行動、の前に川でイノシシさんの牙を洗っとこ。

 じゃぶじゃぶ。

 ふぅ、ベトベトも流れたし、獣臭さも随分ましになったな。

 ん?上流から何か流れてくるな。なんだろう?

 白、いや薄ピンク色の実? とりあえず回収しとくか。

 おおっと、少し届かないな。

 お、ちょうどいい所に洗い終わったイノシシの牙が。


 無事回収。

 うん、多分モモだこれ。

 サイズは普通のモモだけど、どんぶらこしてきたモモだわ。

 においもモモだし、皮むいたら果肉もモモだし、味もモモだ。

 うまい。


 はっ! うっかり口に入れてしまった……ふぅ、毒じゃなくてよかった。

 

 うん、おいしかった。

 しかし、空腹は恐ろしいな。

 いざ食えそうなモノを手にしたら、食わずにはいられなかった。

 何はともあれ、上流からモモ、まぁこの世界の名前もあるだろうからモモ (仮)が流れて来たということはつまり。

 上流へと向かえばモモ (仮)の木があるかもしれない。ということだ。

 

 食料求めていざ上流へ。

 

もうちょい一人。早く会話させたいなぁ。

次回は火曜!

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