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いつもの異世界、男の娘が歩く  作者: 懐十
第一章:森編
3/3

03:スキルと食料とイノシシの真の名

三話目!

 

 さて、イノシシの牙を肩にかついで上流へ。

 モモ (仮)一つ食べる事でだいぶ空腹も回復し、冷静に辺りを見回す事ができるようになった。

 よく見ると小さな虫なんかにしても、なかなかユニークな見た目をしていたりする。

 羽が黄緑のハエみたいなのや、全身真っ赤な二センチくらいのアリみたいなのとかだ。

 今も裸足で歩いている僕としては、なんか毒がありそうで怖いので足元に気を使って歩く。

 しばらく歩くと川辺に転がっている石が若干ゴツゴツしてきた。


 ドズンッ!!

 うぉ、びっくりした。音の先を見ると若干上流の川辺に、見た事あるフォルムのイノシシと実のなった木の姿がが見える。

 川沿いから森に少し入りゆっくりと近づいて様子を見ると、どうやら木に体当たりして木の実を落として食べているようだ。

 あの実はおそらく、モモ (仮)だろう。

 今すぐに走っていって腹を満たしたいが、イノシシがいる。

 正直、自分からあの巨体 (四足歩行時の高さが2メートルくらいある)に近づいて口に毒キノコを投げ込む度胸はない。てか、恐い。

 仕方が無いので木陰に潜んで待つ。ヒマなのでスキル:ポインターについていろいろ試していた。


 だいたい20分後、満足したのか川の水を飲んで、どこかへと去ってゆく。

 結局、ポインターの能力はわからずじまいだ。

 去ってゆくイノシシの背中を見ながらふと、イノシシって巣穴暮らしだっけと思い出す。

 この世界のイノシシがどうだかはわからないが、もしそうなら夜襲でもかけて巣穴を頂くという手も有る。さすがに化け物でも寝ていればワンチャンあるだろう。

 あれだけの巨体が入る巣穴があれば人間でも余裕のはず。

 だが、しかし。眠くなるまでウロウロするだろうイノシシを追い続けるというのも難しいし、もし巣穴でなかったりした場合のリスクは大きい。

 小さくなってゆくイノシシの背を見る。

 はぁ、アイツがいる場所を把握できたらいいのになぁ。

 

 その瞬間、今までだんまりだったスキルが発動した。

 目の前に銃のスコープのような十字が表示され、

 《対象を確定して下さい》

 と、表示される。お!  

 対象? とりあえずイノシシでいいかな。

 十字の中央をイノシシに合わせて、確定したぜと思うと、

 《対象をラージボアに確定しました》

 という表示とともに、目ではもう見えないイノシシがどこにいるのかが、感覚的に分かるようになった。


 おお! ついにスキルが発動したぞ!

 おおぉ、めっちゃダッシュしてるっぽいな、距離が遠ざかってく。

 なんだか変な感じがするが、別に気持ち悪いという程でもないしいずれ慣れるだろう。

 うーん、てことはスキル:ポインターってのは決まった対象の位置、つまりポイントを把握する技能だったのか。

 戦闘向きでは全然ないが、現在地もわからない森の中。なかなか嬉しい技能だなぁ。


 というかイノシシ連呼してたけどラージボアって言うのか。

 まあとにかく、スキルの使用方法が分かってよかった。

 ただやっぱ、ずっとここでは無いどこかを意識しつづけるのは、なんか疲れるな。

 オンオフは無いのか? と考えると、フッとイノシ……ラージボアの気配のようなモノが消えた。

 慌てて意識し直すと、ラージボアのいる位置が感覚的に感じられるように戻った。

 おお、ほんとにあったのか。これは便利だ。

 

 せっかくだし、もう少し試してみようと木の下に行って落ちているモモ (仮)を対象に選択してみる。

 《現在の対象を解除しますか?》

 おっと、対象は一つまでなのか。モモ (仮)の名前がわかるかと思ったが、また今度になりそうだ。

 てか、そろそろ面倒だし名前が判明するまでモモって呼んどこ……。

 スキルはいろいろと試してみたいが、ラージボアの対象を解除するのも嫌なのでまた今度。

 まぁ、[ポインター.lv1]、と表記されているくらいだしレベルの上昇に期待だな。


 ともかく、木にはまだモモがたくさんなっているし、ラージボアのさっきの体当たりで落とした分の残りも結構ある。

 スキルについて考えたりしてちょっと疲れたし、それ以前に腹が減っている。

 とりあえずは、腹一杯食うか。


「ふぅ、食った、食った」

 

 というわけで腹一杯。幸せだ。

 川の冷たい水で口元の果汁を落としてさて、どうするかな。

 まずは、ラージボアの走っていった方向を目指しつつ、食料や寝床になりそうなところを探して歩く。

 ただ、食料が無いと困るので、いくつかモモを持っていくか。

 しかし、ポケットは毒キノコでいっぱいだし、片手はラージボアの角を担ぐのにひつようだ。

 球体で落としやすいし、一個しか持っていけないかなぁ。いやしかし、どうにか。

 

 案1、Tシャツのすそを口でくわえて袋状になったところに入れる。

   悪くはないけど唇が辛い。

 案2、シャツと肌の間の空間に詰めておなかをシャツの上から腕で抑える。

   いっぱい入るけど、ちょっと歩きにくそう。

 案3、シャツを脱いで袋にする。

   一見いいけど、皮膚の露出が増えると虫怖いし、森が涼しいから体温の低下も心配だ。

 

 うーん、案2かな。

 どうせ森は慎重に進むんだし、走らなきゃあんまり困らないだろう。


 よし、モモは11個入った。ちょっと重いけどよし。

 とりあえずはさっきのイノ……ラージボア追いつつ、食料とか寝床になりそうな場所が無いか探しながら歩くか。

 

次回は今週中に!

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