それから
それから
ウペペサンケのご縁で、一番弟子さんの実家の菓子店でのバイトが決まった。
バイトから帰ると日曜カレーを頂き、後片付けを手伝った。
生物の宿題は秀を貰った。
梨華は街の、複数の学校混合のドミトリーへ移ったらしい。
彼氏が出来て楽しくやっているとの噂を聞いた。
夏休みは、菓子店とタジマファームのバイト(干し草作業)に明け暮れた。
力こぶが出来た。
秋は寮の前で紅葉狩りをした。
裏山で採ったヤマブドウでジャムを作った。
クリスマスに雪だるまを作った。
もっと降ったらかまくらを作ろうと皆で約束をした。
年末年始も帰省せず、一番弟子さんちでバイトをしながら調理師免許を取る準備を始めた。
寮で令和最初のカウントダウンをした。
それから
毎日の検温が義務付けられた。
講義が止まって寮待機になった。
日曜カレーはなくなった。
食堂は稼働していたが談話禁止になった。
テーブルに仕切りが立った。
山口の実家からは、今はとにかく帰って来るな、との連絡があった。
タマ先輩と瀬戸先輩たちの卒業式を祝えなかった。
リモート講義が始まった。
最初ちょっと難儀したけど何とかなった。
ウペペサンケが心配でマスターに連絡を取ったら、うちは大丈夫だから勉学に専念していなさいと言われた。
タジマファームが、学校給食が止まった影響で牛乳を廃棄していると聞いた。
知っている限りの人に、牛乳飲もうキャンペーンを張った。
校内の公園に立ち入り禁止のロープが張られた。
裏山の登山口にまで張られた。
去年とは比べ物にもならないゴールデンウィークが呆気なく過ぎて行った。
カタコユリの花だけが何も変わらず土手をピンクに彩っていた。
オリンピックも競技会もなくなったグラウンドで、みかんは黙々と走っていた。
果々子はライラックの木の下のベンチで、毎日許される限りの時間、彼女を見ていた。
みかんを独りにしていたくなかった。
***
カタコユリの花は変わらずそこにあって季節を教えてくれていた。
あれから二回咲いて散って咲いて散って、果々子は最終学年になった。




