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カタコユリ荘 春の選抜カレー大会  作者: しらら
カタコユリ荘 春の選抜カレー大会
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30/44

想定内

   


 普段の日曜カレーを作る側にも関わらず個人でエントリーした面々は、

「私たちは『賑やかし』よ。選抜大会にするなら頭数が要るし、たまには思いっきりハジケたカレーも作ってみたかったしね。

 出来レースって言われても否定しないけれど、投票だけは公正にって運営からお達しされているの。ポプラ寮生は割と毎回入賞して来るわよ」

 と、にこやかに教えてくれた。


……賑やかし要員と、優秀なポプラ寮参加者と、イナゴガヤ……それらすべて想定内の舞台の中。


「わ、私も賑やかし要員として誘われたのでしょうか」

 果々子は複雑な気持ちで聞いた。


 先輩がたは顔を見合わせて含みのある笑顔を浮かべた後、明るく答えた。

「単純に食べてみたかったんじゃない? ナツ先輩が」


「今度ちゃんと作った奴を、私たちにも食べさせてね」

「私も、先輩がたのカレー食べたいです!」

「じゃあやろうか、裏カレー大会」

「あはは、やろうやろう」

「ゴールデンウィーク期間中は日曜カレーお休みだから、紛らわしくない日がいいわね。前半の内で考えとく」

「オッケー!」


「聞き捨てなりません」

 いつものクリアファイルを抱えてタチバナ先輩が入って来た。

 後から運営の二人。

「なにうちらのおらん所で楽しそうな計画しとるんや、まぜろ」

「食堂の方も片付け終わったわ。お風呂の順番ジャンケンしましょ」



   ***



 糊カレーはイナゴ男子たちのお陰でだいぶん減ったが、まだ寸胴に半分ある。現在は小分けにして冷凍中。

 今、風呂につかりながら、その処理法を皆で検討している。


「アレンジする手段ある?」

「片栗粉は、一旦冷やして再加熱するとゆるくなるらしいっス」

「ほお」

「麺類なら合うかもしれません。カレーうどんなど如何でしょうか」

「あ、いいですね」

「ちょっと味を足して」

「鰹出汁?」

「いけそう」


 料理好きな調理組の皆さんとは話が弾む。果々子は出るタイミングを逸してのぼせそうになった。


「飯テロ……」

 後から入って来たみかんが、隣でぐったりと鼻の下まで水没している。夜は夜でノルマがあるらしく、さっきまでストレッチをしていたそうだ。

「プリン、プリン、明日の朝にはプリン……プリンが夢に出て来そう……」



 皆と別れて部屋の前、お向かいのビタミンカステラ先輩が、

「日曜カレー、よかったらたまに手伝ってくれないかな? 気が向いた時だけでいいから」

 と誘ってくれた。

「私でよければ。ヘッポコで野菜の皮剥きぐらいしか役に立てませんが」

「なんくるないさ、ありがとう」


 おやすみなさいを言って部屋に戻り、ベッドに倒れ込みながら嵐のような一日を反芻する果々子。

 ビタミンカステラ先輩が『勧誘成功』メールを一斉送信し、画面を見た調理組がそれぞれの部屋でガッツポーズをしたり、運営三人がハイタッチを交わした事など、知る由も無かった。






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