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『紅茶の香り、さざ波の止まる場所』

      ☆


 七月十八日。夏休みの開幕を二週間後に控えた土曜日。

 私ことマリモジュナが『親愛なる光輝(ディア・シリウス)』第七席――『さざ波の止まり木』を拝命し、その叙任式が行われてから……九日が経った。


 ()を片手に、階段を上がる。

 四階に差し掛かったところで、ポケットから鍵を取り出す。

 私が設立した組織――形而上調和(けいじじょうちょうわ)課の執務室の鍵だ。


 部屋は四階通路の奥のほう。

 以前あの方と行った通用口に繋がる、螺旋階段の手前に所在する。


 課は、生徒たちの抱えるモノに寄りそうという目的のもと、設立された組織だ。

 ならばこの立地は些か導線が悪いというか、妙な穴場感が出てしまっている気がしなくもないのだけれど……普段人が立ち寄らない分、気を張らずに済む静謐が満ちている感じがして、私は嫌いではなかった。


 例えるなら、遠くから運動部の掛け声が聞こえてくる図書室とか。

 適当に校内を彷徨っていたら行き着いた、資材置き場になっている空き教室みたいな、そんな雰囲気だ。


 懸念があるとすれば、ある程度の知名度がないと助力を必要とする生徒が課に辿り着けないのではないか、という点だが。

 存在の周知は大々的に行ったため、その辺りは大丈夫だと思いたい。


 というのも、新たな『親愛なる光輝(ディア・シリウス)』が設立した、委員会と協会に続く第三の組織――その触れ込みだけでもそれなりの反響があったのだが、そこに叙任式での、あの一幕が加わる。


 ――白桜(はくおう)の森を、現状のまま残すべきか否か。


 私はこの問いを、叙任式という公の場で、アンケート形式にして全生徒及び全教師に投げかけたのである。


 ……変えてしまった責任が、私には存在する。

 だから森を元の姿に戻さなければと考えていた。

 それを果たすことが、学院への入学を決めた理由の一つだった。


 けれど、あの桜を受け入れて、好んでくれている隣人が居た。

 起きたことを無かったことにしない責任だってあるはずだと、気付かせてくれた方が居た。


 だからこそ知らなければと思ったのだ。

 ただ元に戻すだけではない、ただ肯定するだけではない、第三の選択肢が存在するのかどうかを。


 かくして私は、叙任式で形而上調和課の理念を表明、実行するに至り――それがそのまま、課の存在の周知に繋がった、というわけなのだ。


 叙任式以降、助力を求める『相談者』は、既に二名ほど訪ねてきてくれている。

 受けた相談を無事解決に導けたことも踏まえて、形而上調和課は今のところ、順調に機能していると言っていいだろう。


 そして肝心の――白桜の森についてだが。

 結論としては、『一部のみを現状のまま維持し、あとは元の森に戻す』といったところに落ち着いた。


 集まった意見の内訳としては大雑把に、どちらでも構わないが六割、元に戻してほしいが三割、そのままでいいが一割といった感じで。


 そこには当然。

 ここは残してもいいけどここは戻してほしいという声。

 私の初志を知り、それを貫徹すべきだと後押しする声。

 意見を募るのは責任の分散だから自分で決めろという批判の声。

 等々……安易に一括りにはできないグラデーションもあったのだけれど。


 あらゆる意見を最大限に考慮し、最後の最後まで思考を続けた果てに達したのが、この――『一部一帯のみ現状維持』という結論だ。


 ……悔いのない答えかと言われたら、決してそんなことはない。


 多くの意見を汲み取ること自体はできただろう。

 けれど、どうしても応えられない声はあったし、納得していない人だって居た。

 取りこぼしてしまったモノは、この手をすり抜けてしまったモノは、確かにあったのだから。

 だからその分だけ、どうしたって、悔いは残っている。


 無論、全員が笑って納得できる答えなんて、儚く脆い空想でしかない。

 それは正しく理解しているつもりだ。


 それでも、必死にもがいてみせるのが私だ。私の反逆なのだ。

 ゆえにここは、現時点で最善と判断した地点でしかないこと。

 反逆の一歩、楽園のような日常に至るための、あくまで一歩でしかないことは……胸に留めておきたい。


 次に、白い桜を維持することになった場所についても、語る必要があるだろう。


 こちらも意見を募り、そこから落とし所を決める形を取った、のだけれど。

 多数の要望によって候補に挙がり、そして最終的に選ばれたのは、なんと驚くべきことにあの広場だった。


 ――式典当日の夜。

 桜の下で秘めやかなお茶会を開いた、あの森の中の広場のことだ。


 予め言っておくと、断じて私情は挟んでいない。

 ならばなぜあの場所が選ばれたのかというと、実のところ、委員会による組織的な動きがあったのだ。


 前提として、中高等部校舎の周辺には、生徒たちがふらりと立ち寄れるいくつかのスポットが存在している。


 北には巨大な『ノーザンクロス湖』。

 北東には古代劇場風の体育場である『テアトルム』。

 北西にはあの広場とそして教会――と、校門へ繋がる南側全般をさておくと、まあそんな感じ。


 しかし、最後に挙げた教会は、現在スポットとして機能していない。

 言うまでもなく、あの神父の一件以来ずっと封鎖されているからだ。


 で、あとから知ったことなのだけど、どうも教会にほど近い位置にあるあの広場もまた、神父が残したマイナスイメージに引っ張られる形で、以前ほど人が訪れない状況に陥っていたらしい。


 ――あそこで殺人が行われた。

 ――あの樹の下には死体が埋まっている。

 ――殺された転生者の魔力が滞留し、良くない場が形成されている。


 そんな根も葉もない噂によって育まれた不信感は、人を遠ざけるのに充分な不気味さを演出し、同時に生徒たちの精神を意識的であれ無意識的であれじわじわと蝕む、透明な毒のようになっていたのだ。


 日常を彩り、掛け替えのない青春を送ることを目的としている青春履行委員会にとって、それは看過できない事態だったのだろう。


 ゆえに委員会は、その風評をなんとか払拭できないかと考えていた。

 一度貼られたレッテルをまた新たに塗り替える、次なる象徴を求めていた。


 そこで白羽の矢が立ったのが――白い桜というわけなのだ。


 神父の逮捕と同時期に現れた白桜の森。

 不吉の象徴かも分からない未知の現象。


 生徒たちの中に漠然と存在していた疑問に対して、私は『絶対無血領域』の効果を開示し、森の変化は結界術の一種……その影響であると仄めかした。


 委員会が乗っかってきたのはそこだ。


 アンケートを行うにあたり、桜についての説明責任を果たさなければならない。

 しかし同時に、桜が神父の逮捕に関わっていることは諸事情で極力ボカしたい。


 それらを考慮した結果、中途半端に仄めかす程度になってしまった部分を委員会は、『後に『親愛なる光輝(ディア・シリウス)』となる人物が施した安全対策の結果だった』と、良いように解釈し、喧伝した。


 ――曖昧な事実関係に、物語というパッケージングを施し、サイレント・マジョリティに訴え、見事に取り込んでみせたのである。


 そんな派手な立ち回りをした委員会。

 当然、普段から対立関係にある未来玲瓏協会の目にも留まったことだろう。

 だがしかし、今回ばかりは目的が目的だ。

 生徒たちの心身を守るためなら牽制するメリットはない、そう判断したのだろう協会は沈黙を貫いた。


 かくしてあの広場は、一息で最有力候補地に押し上げられ――議論はあっけなく決着。

 委員会の目論見は、無事果たされる運びとなったのであった。


 広場は現在、季節外れのお花見スポットに生まれ変わっている。

 大勢が殺到、とまでは言えずとも、生徒がふらりと訪れる場所にはなっており。

 しかも、中心にそびえていたあの御神木のような樹が、本当に魔を退ける聖物のように扱われているとかなんとか。


 以前、罰当たりな真似をしたかもと天罰を恐れたことがあったけれど。

 どころかまさか、崇められるような神性を新たに生み出してしまうとは。

 そこまで行くともう、さすがに手に負えないというか、もはや別の意味で恐ろしかった。


 ……まあ、悪影響を及ぼしていた噂が消えるならと、私も委員会の動きを黙認した側だ。文句を言える筋合いはない。

 当然、あの桜にあれ以上の魔法はないのだが。

 それでも、課への導線の一つにはなるはずだ。

 果たすべき責任が生じたときは、(ここ)で果たしてみせよう。


 と――相変わらず噂に踊らされながらも、ひとまずは静観する姿勢の私だった。

 ひとまず静観してばっかだな、私。


 ちなみに余談だけど、あの広場一帯の管理は今、ライナさんが行っている。

 なんかいつの間にか、そういうことになっていた。


 私はてっきりそれ専門の業者の方か、学院内を区域ごとに管理している用務員さんの一人が担当するのかと思っていたのだが、プランから聞いたところによると。


 ――主人にとって大切な場所を、専属庭師として自分の手で管理したい。


 とのことで、叙任式の日の内に学院から許諾を得ていたらしい。

 そうなると私も、桜を生み出した者として何か手伝えないかと考えたのだけど。

 それを見透かしたプランに、きちんとした専門家に任せたほうが絶対良いに決まってるじゃん、と言われてしまいボツになった。

 本当に、返せる言葉が一切ない、正論だった。


 さて――話は大体、こんなところか。


 神父の一件から始まった白い桜の物語は、ひとまずこのような形で終結した。


 終わってみれば、なんだかあっけないことのように思えるけれど。

 それでもやっとひとつ肩の荷が下りたような、咲いてから散りゆく一つの季節を見届けたような、そんな感慨を抱かざるを得ない。


 実際、期間だけを見れば、白桜の森が一面に咲き誇っていたのはおよそ二週間と、普通の桜が開花してから散り終えるまでと同じ時間だったわけだし。


 散った桜が遺した想い。残った桜がこれから生み出す想い。

 それをこれからも見続けて、見届けて、最善の答えを出し続けることができたらと思うばかりだ。


 ……扉の前に立ち、私は足を止めた。


 形而上調和課――近頃では略してケイジ課と呼ばれ始めている――に到着したので、鍵を開けて部屋に入る。


 奥の机まで歩いていき、手に提げていた箱を置く。

 その隣に、懐から取り出した封筒をそっと添える。

 これは先ほどセレナ先輩から渡された物だ。

 誰かからの預かり物らしいが、差出人の名前はない。

 おそらくは表立って動けない生徒が、密かに課の助力を求めるべく、用意した手紙だと思われる。


 ――水面下で動く必要がある生徒。

 例えば、立場のある者が第三者の協力を求めるということはつまり、問題を自力で解決する力がないと認めるようで体面が悪いだろうし。

 どこかの組織に属していた場合、その組織自体の格を落としてしまう可能性だってあるからね。


 ゆえにこそ、この差出人はお茶会もといセレナ先輩経由で私に手紙を――ん?


 表立って動けない立場、言い換えればある程度の知名度があり、ともすれば組織に属していて、そして私がセレナ先輩のもとを訪れると予測できた人物……?


 何か。予感にも満たない何かが、胸に引っかかった。


 ともあれ私は、換気のために少し窓を開けて、お湯の準備を始める。

 一通り済ませて椅子に腰かけてから、封筒を開封する。

 華やかな便箋を取り出す。

 すると、ふわりと、鼻孔をくすぐる香りが広がった。


 ……この、香りは。


 空になったはずの封筒の中に、紙製の小袋を見つける。

 何やら覚えのあるこの香りは、小袋が纏っているもののようだった。

 先ほど抱いたささやかな引っかかりが、少しずつ輪郭を帯びていく。

 その感覚と共に、私は最初の一文に目を通した。

 飛び込んできたその文字に、少しの間、目を見張る。


 それから私は、そっと……口元を綻ばせた。


 ああ、そうか。そうなのか。これは『さざ波の止まり木』に宛てた相談の手紙なのかと思ったが……いや、今や私も注目を浴びる立場ゆえ、変に目立たないようにと、本当にそう思わせる意図があったのかもしれないが。


 ――親愛なるMへ。


 特別な意味が籠められた、そのイニシャル見た瞬間、すべてを理解した。

 この手紙の差出人も。セレナ先輩の細やかなお気遣いも。小袋の中身も。

 だから思わず……笑みがこぼれてしまった。


 私は文字を噛み締めるように、ゆっくりと手紙を読み進める。


 お気遣いのお言葉。きっと苦笑交じりに書いたであろう自嘲。

 それからプロジェクトが進展したという――喜ばしいご報告。


 実は最近、あの方が学院を欠席することが多いと寮長から聞いていたので、何となく事業が忙しいのだろうと察するところはあったのだけれど、なるほどやはりそういうことだったらしい。


 期せずして得た答えに腹落ちしつつ。

 ふと私は、この先のことを少し想像してみた。


 いよいよ間近に迫る、人工魔石の一般化。

 それにより、中世と近世が奇妙に入り混じったこの世界の文明は、また一つその針を進めることになる。


 ……ヘリオスレッタは小さな箱庭だ。

 多くの人がこの世界を、街を、人々を守ろうと足掻いて、抗って、それでも引っ張られて、どうしようもなく間違ってしまうこともあって。


 まだ見ぬ未来に抱く期待の裏側に、不安がないとは……正直言えない。

 時々、この世界は脆い薄氷の上に成り立っているのではないかと。

 いつか誰かの過ちひとつで、泡のように弾けて消えてしまうのではないかと、感じることがあるから。


 ……けれど、大丈夫。

 その舵を取ろうとしているのがあの方ならば、きっと大丈夫だ。

 あの方とその協力者である彼は、玲瓏なる未来へと進む、進み続けようとする確固たる意思を持っているのだから。


 ……私も頑張ろう。

 いつか見た、月に背を向けるそれぞれの姿を想起し、杞憂を振り切って決意を新たにする。


 過去を受け入れるためには、未来へと踏み出そうとする意思が必要だ。

 未来へと踏み出すためには、過去を受け入れようとする意思が必要だ。


 だがそれらは時に、上手く噛み合わず、齟齬を生じさせてしまう。

 本当は一筋の線で結べるはずなのに、手を取り合えるはずなのに。

 お互いを否定し、要らないモノと切り捨ててしまいそうになって。

 そうして大切なことを見落とし、欠落した感覚は、心に虚無を巣食わせる。


 虚無――伽藍の空。

 墜ちてしまえば、どんな形であれ報いは受け取れない、絶対的な断絶。


 ゆえにこそ忘れてはならない。胸の内に響く確かな鼓動を。

 これが本当に、どうしようもないほどの奇跡であることを。


 もう二度と途切れさせたくない。投げ出したくない。

 誇りを抱いて、胸を張って、今度こそ最後まで駆け抜けたい。

 そのためにも。


 過去と未来を繋ぐ、比類なき現在の創造者――『さざ波の止まり木』として、反逆の意思を張り続けよう。


 赦しを、贖いを、もっと遠くまで持っていこう。



 ――お湯が沸いた。



 私は同封されていた小袋……『アネモネ』のティーバッグを取り出して、紅茶を用意する。さながら、あの日最後まで果たせなかったお茶会をやり直すかのように……いいえ、違うわね。


 だってこれは、報われなかった過去のやり直しではない。

 過去を背負い、その先へと踏み出したがゆえの、『続き』なのだから。


 そして、これもまた、その証明だ。

 私は先ほど机の上に置いた箱を開ける。

 中から取り出し、用意していたお皿に移したそれは――ケーキだ。


 以前セレナ先輩に献上を約束した、とある人気店のケーキセット……その中の一切れである。


 そう、実はセレナ先輩から手紙を受け取ったという出来事には、早朝から午前中いっぱい並んでようやく手に入れたケーキセットを渡すために、お茶会に顔を出したという前段階が存在していたのだ。


 なんという伏線。いや、正確には示唆かな? まあなんでもいいのだけど。


 ケーキはアソート形式で、全部で四切れあり、私はそのすべてをセレナ先輩に差し上げ、食べきれない分は日持ちしないため、他のお茶会参加者にでも――と考えていた。

 が、屈託のない笑みを浮かべ、二人で分け合おうことを提案するセレナ先輩を見て、私は方針を改めた。


 というのもあの約束は、私と先輩の個人間で交わしたモノだ。

 なのに約束を果たすついでに、お茶会参加者にも差し入れるような真似をするのは、不義理……というのも少し違うけれど、あまり良い作法とは言えないだろう。


 そのときになってそれに気付いた私は、他の参加者方から恨めし羨ましの視線を注がれることになろうとも、今回ばかりは自重――もとい約束を尊重することを決めた。


 ゆえにこうして、ありがたくケーキを頂戴したのである。


 とはいえ、ようやく諸々が落ち着いてお茶会に顔を出すことができたのだ。

 さすがに手ぶらで行くというのも忍びなかったので、お茶会には新しいティーカップを、寄付という形で提供させてもらった。


 当然の如くセレナ先輩には、ラルエットの魔術で割れてしまったカップのお詫びが含まれていることを即座に見抜かれてしまったのだが。

 しかし直接の原因は私ではないとお気遣いいただいても、その要因の一つを担ってしまったことに違いはない。


 だからこれは、私の心に引っかかっていたモノを解く利己的な利他であり、それを自覚した上での行動である――と、正直に話したところ、納得して受け取ってもらえた。


 長らくお待たせしてしまった約束のケーキ。

 そして、あの日割れてしまったカップ。

 これでまた、なぁなぁになっていたことに、決着を付けることができた。


 達成感……とはまた別の感情だけど。

 それでもまた一歩、目指す自分に近付けた気がして素直に嬉しく感じたし。

 そう心で感じられることが、喜ばしかった。


 私はカップを持ち上げて、念願の紅茶で唇を濡らす。

 静かに飲み込んでから、ケーキも一口、ぱくり。

 それぞれをじっくり味わいながら、窓の外に目を向ける。

 吹き込んでくる、肌を撫でるような風。

 季節外れに咲いた白い桜は、一部を残して散っていった。

 元の色を取り戻した森も、徐々に自然な形で、葉の色を変化させている。


 ――新しい季節は、もうここにある。


 私は再びカップに口付けて、緩慢に目蓋を閉じた。

 手紙にあった……いつものティータイム。

 実のところ、特に決められた時間があるわけではないのよね。

 ただ、あの方は、必ず一日のどこかにティータイムを設ける。

 だから朝も。昼も。夜も。

 いつだってあの方は、私を待っていると言えるし。

 いつだって私は、あの方を待っていると言えるのだ。


 けれど、ああ――今は。


 愛ゆえに形を得た空想ではなく。

 白髪紫眼がもたらした第六感でもなく。

 私たちの間に結ばれた、確かな絆。


 それが今この瞬間――あの方もこの紅茶を味わっているという、不思議な確信を運んできてくれた。


 繋がりを感じる。

 空色の青空を見上げて、想いを馳せる。

 この香りを契機に始まった、ほんの少しほろ苦い思い出と、色鮮やかな日々に。

 あの輝かしき八日間の記憶は、今でもずっと、私の胸に残り続けている。


 それはきっと、永遠に――――。


 next――『ビニース・ザ・ムーンロード -恋と列車と月に捧げる送葬-』……?

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