Episode21
『…ってな感じで、次はダンジョン攻略に行くらしい』
ユージーンから衝撃の一言を貰った次の日。
私はこれまでの経緯を零と大輝に報告をしていた。実は街にたどり着くまでの山越え期間中、現実世界では休日だったのだがなんとなく疲れが引き継がれて動けず仕舞いだった。
「す、すごい…!すごすぎる…!羨ましい…!旅…散策…戦闘…仲間…!!」
「仲間が増えたのは大幅に前進だな。それで、なんでユージーンはそう言い出したんだ?」
『そうそう、それがねー…』
私は昨日のことを思い出す。
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「ダンジョン攻略を目指そうと思う」
『えええええええぇぇ!?』
「え、そんな驚く?」
『い、いや、ごめん。でもいくらゆきが仲間になったからってそんな冒険するのは早くない?』
「…俺は早く強くならなきゃならない。魔王を倒すのもそうだけど、ハカを助けたい」
『…っ』
ユージーンの言葉に1つ前の街で起きたことを思い出す。ルシファーと隣にいた小柄な姿。
それにハカ過ごした数日間。
私は言葉が詰まって何も言えなくなった。目の前の彼は勇者らしい真面目で覚悟を決めた顔をしている。
「俺はまだ弱い。けど強くなれる見込みは絶対にあるはず。だから少し自分を追い込んででもレベルアップをする」
『う、うん』
「ゆきと一緒に戦ってみてそう思えたんだ」
『…私もそう思えたよ。ユージーン、見習いなんかじゃないよ。あなたはもう勇者になってるよ』
「ありがとう。危険かもしれないからナナミは安全な場所で過ごすか?安全の保証は必ずする」
『ふふっなーにいってんの!ここまで来たのなら最後まで付き合わせてよ』
私はユージーンの言葉に思わず笑ってバシンっと背中を叩いてみせた。非力な女の子の力じゃなにも動じないだろうに私に合わせてリアクションをしてくれる。
ユージーンの覚悟と本音が見れた、そんな日だった。
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『……って感じだったよ』
「なるほどな」
私の話を真剣に聞いてくれた大輝は横でブツブツと恨めしい言葉を並べている零の肩をぽんぽんと叩いて正気に戻す。
肩を叩かれた零はピタッと動きが止まってげふんと咳払いを一度した。
「でもでも戦闘経験はあるにしてもRPGの定番だとダンジョンの方が敵は強いしなにより奥地にはボスがいるのが定石よね!」
「うんうん。ゲームだと通常進行時のレベルよりも若干強めの設定にされている可能性が高い」
『じゃあやっぱ止めたほうがいいのかな?』
「いや、けどこれはあくまでゲームの話。それにユージーンの覚悟をここで折るのも得策じゃないと思うぞ?」
「むしろユージーンの性格ならそれくらいの覚悟がある方が成長にバフかかるんじゃない?」
『なるほどー…』
友人たちの意見を聞いてまたメモをとる。
ゲームも定期的に零の家でプレイしてくれているのでキャラ達のことは理解してくれているのがこういう時に助かる。
「そういえば七海」
『ん?』
「お前、テスト勉強してるか?」
『え゛』
「あっはっは!その反応は完全に抜けてんじゃん」
「やっぱりかー…授業は真面目に受けてるけどさすがにテスト対策はしないと」
私が急な焦りでプルプル顔を真っ赤にして震えているとそれを見て零は爆笑をしているし、大輝は呆れてため息を吐いている。
忘れていたものはしょうがない。冒険は一時中断で学生としての本分は果たすべき、と大輝に念を押されて今日の放課後はテスト勉強をすることにした。
確かに誕生日を迎えて異世界に行くようになってから普段の授業では理解が追いつけなくなっている気がする。
けれどそれを気にすることもなく異世界での生活を優先にしていた節はある。
『ユージーン前に私がボスを倒さねばぁああ』
私は咆哮をあげて授業へと向き合うのであった。
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