↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/68

49.ロクでもない闖入者

 王妃の雰囲気が一気に変わる、これが彼女の本性なんだろう。

「はぁ〜、シナリオの強制力が凄いってのは知ってたけど、神様はどうしても私を殺したいみたいね。まあ、簡単には殺されるつもりはないけどね」

 王妃は眉間に手を当てながら大きくため息を吐く。その口調はいかにも自分が被害者であるかのような言い方だ。


『復讐するチャンスをあげよう』


 詐欺神が言っていた言葉を思い出す、例えクソみたいな神様でも、人に復讐をオススメするのはどうかと思うけど。


「ディランド、シナリオ通りになっているのなら、貴方の妹はローゼリア領にいるはず。このまま行くとローゼリア家が私を殺して内乱の発端になるわ。自分の娘を陥れてたと逆恨みして前王様を唆すの、グラン陛下は今は離宮に避難しているはずだから、内乱を止めるためにもここでローゼリア家を滅ぼさないとダメよ」

 王妃がディランド将軍に勝手なことを吹聴する、さすがにお父様でもこれには反論する。

「そのような根拠のない戯言をやめなされ!先程キシリアナも言ったはずだ、我々は争いに来たのではないし、反乱の意思など毛頭ない」


「ただこのままでは沈みゆく国の行く末を案じているのは本当だ。政治にも内務も他者まかせで主体のない国政がこのまま続くと思っていらっしゃるのか?なぜ近衛兵ではなく軍が王宮を守衛している?軍は国のための武力、王家の守護するのは近衛兵の役目だぞ、王族個人が国軍を所有することはあってはならないのが分からないのか!」

 さすがはお父様だ、軍が王宮を我が物顔で幅を利かし、さらに王妃が個人で軍を利用していると見て取れる事実を突いていく。今ここに軍部の人間が王妃の命令によって私達と対峙している証拠がある、この事実が明るみになると不味いはずだ。



「そのような詭弁に耳を貸すことはない!逆臣ローゼリアよその口を控えよ!!」


 突然王妃側の後ろの扉から声がする。その方に視線を移すと現国王グランが悠然と歩いてくる。

「ローゼリアよ。その方の娘キシリアナが死んでおらず生きていた事を隠しておったな?」


・・・は?


「前国王である父上への罪悪感を煽り、意のままに操ろうとしているのだろう?誰もが騙されたわ!我らを孤立させるために王家を悪役に仕立て上げ、まんまと力を削がれてしまった。だが事実が明るみになった以上好き勝手にさせるわけにはいかない!」


 この人は突然現れて何を言っているんだ?本当に余計な事をする!


「グラン・・・其方は本気でそれを言っているのか?まさかそこまで愚かだったとは」

 前国王様が気の毒になってくる。悲しそうな顔でグランに問いかける。

「父上、貴方は騙されている。ローゼリアはキシリアナが生きているのを黙っていた、王家を負い目を持たせて、国を牛耳るために意のままに操ろうと根回しているのです!」


「愚か者!そのような事があるか!!其方こそ目を覚ませ、キシリアナはすでに罰を受けて貴族位を剥奪されて平民となっておる。其方達が陥れたにも関わらず、そのありもしない罰を受け入れ、その後も平民でありながらもずっと罪を償い続けていたのだぞ!その意味が分からんのか!!」

 前王様が顔を真っ赤にしながらグランを糾弾する。

「騙されているというより洗脳だな。将軍よ、多少なりとも荒事は構わない全員拘束せよ」

 前王様の切実な叫びは全然届かなかった、最悪な命令を下しやがった。


 ディランド将軍はグランの言葉に頷くと手をあげる。

「全員拘束しろ」

 無情な命令を下す、その命令と共に屈強な兵士が前に立つ。

「貴様ら!いい加減にせんか!!」

 ハイド卿が一喝すると前に立つ、相手は武器を手に持っているのにハイド卿は丸腰だ。


 ゴキッ!!


 襲いかかる兵士が武器を手に拘束しようとする、するとハイド卿の張り手一発で壁際まで吹っ飛んでしまった。


 人ってあんなに簡単に飛ぶんだ・・・


「丸腰相手に武器を振るうなど恥を知れ!愚か者が!!」


・・・手を出してしまった。これでは相手の思う壺かもしれない。だけど何も言っても無駄な相手に好き勝手される訳にもいかない。


 ハイド卿の筋肉が盛り上がり、さっきより大きく肥大化しているように見える。それを見て兵士は数人で拘束しようとする、だがハイド卿には関係ないようで一人ずつ確実に張り手で吹き飛ばしていく。

 すると一人の兵士が我慢できずに剣を抜いてしまった。そして抜き身の刃がハイド卿を襲う!


 ガキンッ!!


 金属がぶつかり合う音が響く。ローゼリア兵の一人がハイド卿を襲った刃を鞘に入った剣で受け止めている。

「ベック!」

 ゲインツが名前を呼ぶ、ハイド卿を守ったのはゲインツの息子さんと言っていた大男だ。

「剣を納めろ、王宮で抜き身の剣を晒すな!」

 低く言いきかすような声で軍の兵士に問いかける、圧倒的な迫力に剣を抜いた兵士は怯んでいる。


 ゴッ!!


 その隙をハイド卿は見逃さなかった、兵の鎧の上から思いっきり拳をめり込ませる。兵士はその場に倒れ込み、腹を押さえて悶絶している。

「えげつないな」

 バランが青い顔をしてお腹を押さえている。私はあの技を見たことがある、あの腹部へのパンチでバランが悶絶していたのを思い出す。


 そしてハイド卿は追い討ちをかけるように悶絶している兵士を踏みつけようとする。

 次の瞬間ハイド卿の足が何者かの足が割り込み制止させられる。


「シャフタール!!」

 私は何が起こったか分からなかったが、ハイド卿が怒りの表情でその名前を呼ぶ。

 一瞬でハイド卿との距離を詰め、倒れている兵士を救いだす。そしてディランド将軍はゲインツの息子ベックに鞘に入った剣を振るう、ベックはそれを剣で受けるがあまりの力に吹き飛ばされてしまう。


 ガッ!!

 バシッ!!


 その隙にハイド卿が再び拳を振るう、しかしディランドは片手でそれを受け止めて平然な顔をしている、一方のハイド卿は笑ってはいるが余裕がなさそうだ。


 屈強な二人の強者を相手に互角以上に戦っている・・・ディランド将軍の強さが反則すぎだろ!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。