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ある日突然、告られた俺。

「ねぇ、伊藤くん。どうして私に惚れてくれないの?」



バイトの帰り道、突然声をかけられた。


そう声をかけて来た彼女は 桐谷…だれだっけ? キリタニ、という苗字しか知らない。


バイトは同じだが、仕事の会話しかしたことがない。 ルックスのいい彼女と、至って普通…というか地味な俺。


彼女が俺にわざわざ話しかけてきたことさえ、不思議に感じる。 なのに今、なんて言った…?



「えーっと、桐谷さん…突然どうしたんですか?」


「どうしたと聞かれても困るけど…。たまたま帰る時間が同じだったから聞いてみただけだよ。」


「はぁ…」


………なんだろう。会話の意図が見えてこない。 とりあえず無難にスルーしておこう…


「じゃあ、お疲れ様です。」


そう言い残して俺は、駅に向かって歩き始めた。


すると


「えっ。ちょっとちょっと。駅まで一緒なのに送ってくれないの?」


「……え?」



…なんだろう。さっきから会話のズレを感じる。


なんで彼女は'惚れてくれないの?''送ってくれないの?'そんな聞き方なんだろう。


俺とはただバイトが同じだけで、特に親しいわけでもない。だからそう聞かれる様な覚えもないのに。


「あーそれは男が女を送るのは当然だという意味ですか?」


「あ…じゃあ、一緒に帰ろ?」


「はぁ…別にいいですけど…」



…なぜか一緒に帰ることになった…。


かと言って、特に話す話題もない。ただ、無言で歩く俺。するとまた彼女が話しかけてきた。


「ねぇ、伊藤くんは…好きな子とか…いる?」


さっきから、なんなんだろう。



「いませんけど…桐谷さんはいるんですか?」


とりあえず質問されるのも面倒だから、質問返しをしてみた。すると



「え?私?私は伊藤くんが好きだよ」



「……はい?桐谷さん……ふざけてますか?」


「え、どうして?私、伊藤くんのこと、大好きだよ。」



「……はぁ……それはどうも。」



なぜか告白された。けれど


……こんなにサラリと告白などするものだろうか。いや、本当の告白ならもっと、緊張感があるはずだろう。


つまり、彼女の言う'好き'とは、'犬が好き'そういう意味合いの'好き'なのだろう。



「…あ、駅に着きましたね。じゃあ、俺、こっちなんで。お疲れ様です。」


とりあえず、駅にも着いたからそう言って立ち去ろうとした。すると


「えっちょっとちょっと。ごはんとか…誘ってくれないの?」


また、'〜してくれないの?'という言い方。


「…え?なぜ、一緒に帰っただけで食事に誘わないといけないんでしょう?」


とりあえず思った通り質問をする。そして彼女の答えに驚愕した。


「え?だって、他の男の子たちはみんな、向こうから好きになってくれて、送るよって言ってくれて、ごはん誘ってくれたよ?」



………


なにかおかしい。


確かに、桐谷さんは可愛い。誰から見てもそうだろう。


だからといって…みんながみんなそうだったのか?



「あの…桐谷さんの経験をどうこういうつもりはないのですが、俺と他の男たちを一緒にしないでもらえますか?」


そうじゃない男もいるだろう。ほら、例えばここに。


「えっ。あ、ごめんなさい。…伊藤くんは、違うんだっ」


なぜか桐谷さんの顔が少し笑顔になった。そして


「やっぱり、伊藤くん、だーいすき」


…なぜかまた、告白された…





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