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いきなり最終話(クライマックス)  作者: アルファ・D・H・デルタ
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全てはこの時の為に

ありとあらゆる布石が、この為の物でした。

いよいよ最終局面です。

アリシアが創り出した魔法の土壁に、ギルゴマを神剣で縫いつける事に成功したパーティーメンバー達は、ここまでは全て計画通りだと、安堵の息を吐いた。


これは各々が自分の役割を果たした最上の結果であり、全ては巧妙に仕組まれた、ギルゴマを油断させるための罠であった。


そして、他のメンバーとは違い、ギルゴマから直接攻撃を受ける可能性があったカナタは、ギルゴマからは少し離れた場所に待機していた。


ギルゴマから唯一、攻撃を受ける可能性があるのはカナタだけだったからだ。


他のメンバーはギルゴマの管理者の宣誓によって身の安全を保証されていた。


本来、カナタは苦肉の策として、戦いの最中にギルゴマから管理者の宣誓を引き出したに過ぎなかった。


しかし、それは、カナタにとってもギルゴマにとっても想定外の結果を残しつつあった。


(単なる保険のつもりが、思った以上に効果的に作用したな)


カナタはここまでの経緯を思い出して、フッと笑みを浮かべた。


この宣誓が行われた事により、他のメンバーは、この戦いでの負担が軽くなり、そのお陰でこのように大胆な作戦を行うことが可能になったのだ。


しかし、カナタだけは別である。

その為、カナタは仲間達に説得され、他のメンバーよりもギルゴマから距離を置いた場所にいた。


だが、カナタはこの好機を逃さない為に、その場所から駆け出し、最後の攻撃を加えるべく、ギルゴマに向かって驚異的な速さで距離を縮めていた。


ところが最後の悪あがきとでも言うべき、ギルゴマの攻撃が、カナタを襲った。


それは魔法や物理攻撃ですらなく。


ただ腕を振るっただけの行為であった。


ただし、それはギルゴマの持っている強烈な力を、不可視の攻撃として繰り出したモノであり、本来であれば不可避とも言える、連続した遠距離攻撃であった。


例えるならば、それは単なる強引な力技に過ぎなかった。

だが、それだけに気配を読み取る事が難しく、非常に厄介な攻撃とも言えた。


もしカナタにその攻撃が直撃すれば、それだけで致命傷を負いかねないほどの、強烈な力の奔流であり、通常であれば躱すことなど出来ない攻撃のはずであった。


ところがカナタは、それを何事もなかったかのように見切り、ヒョイと軽く躱した。


「残念だったな。その攻撃は知っている」


カナタは不敵な笑みでギルゴマに言った。


「なるほど。君達はどうやら、あの娘達の力を使い、未来を視たのですね」


ギルゴマは冷静に状況を分析した。


「あぁ、お前とアリシアが会話している間にシュミレーションさせてもらった。つまり、貴様はもう詰んでいるのさ」


そう言ってカナタは、ギルゴマから次々と繰り出される攻撃を紙一重で躱しながらギルゴマとの距離を詰めていった。


カナタ達は、ギルゴマがアリシアとの会話に集中している間に、アルファとベータの能力を使い、何度もここまでのシミュレーションを行って来たのだ。


ギルゴマにとっては、ほんの僅かな、気紛れとも言える会話の時間だった。


だがカナタ達は、その短い客観的時間を利用して、途方も無く長い主観時間をギルゴマとの戦いのシミュレーションに費やしてきたのだ。


確定した未来の中で、長い主観時間を過ごし、ありとあらゆる戦いの可能性を経験して来たのだった。


その中でカナタ達は何度も死を繰り返し、ひとつひとつの可能性を潰して行き、そしてようやく辿り着いた、僅かな希望の光が、今、現実として目の前に現れ、そして実現しようとしていた。


これまでのあらゆる布石が、執念が、覚悟が、人々の思いが、ひとつとなって、ギルゴマを倒す可能性を手繰り寄せようとしていた。



これは、神のいない世界に起きる奇跡なのであろうか?



戦いはいよいよ最終局面へと向かおうとしていた。


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