表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/31

花細し桜

暖かい風が頬を撫でる。


桜の花は満開で、風が吹くたび花吹雪が地面を賑わせる。



「おはようございます!店長」


「鈴ちゃんか、今日は早いね」


鈴は更衣室で着替えを済ませ、ぱたんとロッカーの扉を閉めため息をついた。



日常が戻ってきただけだ。

初めは、一年前まではべつに何もなかったのだからー。


「いらっしゃいませ!おひとり様ですか?」

「ありがとうございましたー!」


いつも通り出勤して、いつもと同じように働いて。



なのにこんなにも、心ににぽっかり穴が空いたように感じるのは何故か。



「店長、お先に失礼します」



夜仕事が終わった鈴は、余ったシュークリームを手に、鈴の足は自然と神社へ向かっていた。


(ちょっとだけ、お参りしてこれお供えしたら帰ろう・・・・・・)



急な階段を、ゆっくりと登る。



境内にある狐の像を見て、鈴の胸がずきんと痛む。


思い出さないようにしながら、そっとシュークリームをお供えして、手を合わせて祝詞を唱えた。



鈴の横を、ふわりと風が吹く。



「その菓子は、我が食べてもいいのか?」



懐かしい声。後ろを急いで振り向くと、そこには美しく、笑顔のアイがいた。



「・・・・・・っ!アイ?!なんで・・・・・・」


パニックになる鈴をなだめながらアイは言う。



「伏見稲荷の神様が、願いを叶えてくれたんだ。我がしっかり仕事をする条件で・・・・・・な」



「また、一緒に居られるってこと・・・・・・?」



「嫌か?」


意地悪そうにアイは言う。



「馬鹿・・・・・・嬉しいに決まってるじゃない・・・・・・っ」



そう言って鈴はアイに飛びついた。


抱きしめあった後、2人は見つめ合い優しく唇を重ねるー。




月明かりが、優しく2人を包み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ