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俺の幼馴染み3

「うわあああ!」

 普段、真面目に授業を受けている俺がパニック状態に陥った理由……。

 それは俺の机に突如現れた、蜘蛛のせいである。しかもなかなかの大きさに、本当に蜘蛛が苦手な俺は周りの視線が気にならないほどの大パニック状態だ。

 俺が叫んだと同時に、長年幼馴染みである弘人は何が起きたのか、一瞬で理解したのだろう、先ほどまで眠っていたと言うのに物凄い勢いで飛び起きて、取り乱す俺を落ち着かせるために抱きしめ、背中を擦り、頭を撫でてくれている。


 普段は絶対にこんなことはさせない。

 これから出来るであろう彼女にも、今弘人を好きでいてくれているであろう女の子にも、あらぬ誤解をされてその恋を諦めて欲しくないからな。

 俺はあくまでも幼馴染みとして、弘人の幸せを祈っているのだから。

 でも! これだけは耐えられないんだよ、蜘蛛が現れた時は勘弁してくれ!


「弘人〜、蜘蛛がぁ!」

 半分涙目でそう言えば、「可哀想にねぇ」と優しい声で言いつつも、凄い剣幕で蜘蛛を睨み付けている。若干冷静さを取り戻しつつも、蜘蛛がいる方向を見る勇気はない。

 が、今までの経験上、弘人のあの剣幕で蜘蛛は怯えるあまり動けなくなっているか、死んだ振りをしているかの二択である。弘人は俺に対してとても過保護だ、そうなった理由は一度、俺が意識を取り戻さなかった一ヶ月があったせい。だから、けして恋愛感情ではない、弘人が失いたくないと依存しているだけ。

 その優しさに俺も依存してる。……それでは駄目なんだと気づきながらも。


「大丈夫、大丈夫だよ」


 と、落ち着かせるために弘人はそう優しい声で言った後、心配そうな表情を浮かべながら駆け寄ってきた吹奏楽部で同じパートを吹く友人は、弘人が抱きしめるのをやめたタイミングと同時に抱き寄せ、“信頼出来る”誰かの体温を感じなくなったことで過呼吸になりかけていた俺を、再び落ち着かせるために頭を撫で、背中を擦ってくれる。

 そうしている間に、弘人は蜘蛛を外に逃がしてくれたようだ。友人の肩に顔を埋めている、俺の肩をにこやかに笑ってながら、軽く叩いてくれるまでそのことには気づかなかった。


 俺を、変えられない過去の記憶で縛りつける、あの“蜘蛛”のネクタイ。

 あの出来事がなければ、俺と事情を知る“友人”以外と深くは関わらず、一線を引いて接するような弘人になってはいならず、持ち前の明るさでたくさんの友人が出来ていたはずなのに。

 ――ごめんね、弘人。せめて好きな人と幸せな家庭を築けるように、俺に協力させて。……これは償いではないよ、本当に幸せになって欲しいから。



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