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俺の幼馴染み2

 教室にて、前の席に座る弘人の寝癖を手でとかしているものの、なかなかコイツの寝癖は手強く、「俺は寝癖だ」とまるで主張されている気分だ。

 やっぱり、くしを持ち歩くべきかと毎回この手強い寝癖と戦うたびに悩んでいるのだが、コイツのためにくしを持ち歩くなど、何か癪である。

 ……早く、コイツの面倒を見てくれる女子は現れてはくれないだろうか?

 おかげで、俺は皆から“おかん”と呼ばれるハメになった。最近思いつつあるのだが、俺が弘人を甘やかし過ぎているのかもしれない。……そのことに初めて気づいた時、随分と気づくのが遅かったなと自分でも内心で思った。

 甘やかし過ぎに気を付けようと、意識していても長年の癖とは直らないものなんだな。……ついつい、無意識的に世話を焼いてしまうから、最近はその癖を直すことすらも諦めた。

 だから最近、おかんとクラスメイト達に言われても否定が出来なくなった。


「なあなあ、伊吹」

 弘人も弘人だ。まるで兄貴に甘えるようにそう呼び掛けてくるんだから、素っ気ない態度をすれば、捨てられた子犬のような切なそうな顔をするから、ますます放って置けやしない。

 だから……ついつい、

「何だよ、弘人?」

 返事をしてしまう。手の掛かる幼馴染みを持ったものだと考えていると、

「顔が良くて、好みだったとしても性格が悪かったら攻略するの、うーんって考えるだろ? そうなると毎回、逆ハーエンドが見えないんだよ。でな、いざ攻略してみると……、たまに本当は不器用だっただけで、良い奴だったりするんだよ。そういう時、どう気持ちを切り替えたら良いと思う?」

 と、真剣な表情で弘人はそう話した。


 ……知るか!

 と、本来なら言ってやりたいのだが、世話焼きな俺はそう言えなくて。

 ため息をつきながら、

「まあ、そう言うこともあるさって諦めるしかないんじゃないか? 良い奴だって気づけたんだから、現実だったら謝ればって言えるけど、乙女ゲームだと主人公の話す会話は大体、選択肢だろうしなぁ」

 そう言えば、素直な弘人は「それもそうだね」と納得してしまった。



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