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第二十六話

「魔法使用の規制は、うまく進んでいるようだな。引き続き、魔法の教育についての指針の制定も頼むぞ」

「微力を尽くさせていただきます」


 兄帝に現状を報告した結果、概ね問題なしとされ、次段階に行くように指示されました。


 とはいっても、教育は魔法の使用規制以上に大がかりなものとせざるをえません。

 お金がある一部の私塾に通える人以外に知識を教えると言うこと自体、私が宰相府の手伝いをするようになってから以降のことです。

 こんな状態ですから、当然魔法を教えること以外についても、何の統一的な指針もなく、どうせならば一緒に定めてしまったほうが良いのも確かなんですよね。


 でも、人にものを教えることについては、素人な僕。

 教わるほうも、私塾では碌にモノを教えてもらえなかった苦い過去がありますから、知らないも同然なんですよね。


 下手に僕が基準を作るよりも、そういうことに詳しい人に魔法以外は任せたほうが良いだろうと判断しました。

 魔法についても、僕よりふさわしい人は多そうですけど、基準を定めるように兄帝から直接命じられた僕がやらないわけにもいきません。


 と言うことで基準の制定案を作り始めました。


 基本的には、魔法の分類の危険度別に教育についても基準を作ることになります。


 十等魔法はそれこそ、だれでも覚えても特に大きな問題は起きないでしょう。

 魔法以外の代替手段がいくらでもありますし、魔法を使っても危険はあまりありません。

 強いて言うなら魔法を学び始めるきっかけとなるため、亀甲文字を学ぶことで次の魔法を学びやすくなる程度です。

 十等魔法を規制することは現実的でもありませんし、誰でも学んでいい魔法と見なします。


 等級が上がると、影響も大きくなりますし、やはり八等以上は学ぶ前に道徳の試験を受ける等と言ったことが必要になるでしょう。

 幸い、亀甲文字を扱える程度に文字を学んでいるのであれば、論語程度の内容は理解できている筈です。

 道徳の知識程度はある筈ですから、その試験をすることはできるでしょう。

 もっとも知っているからといって、実行するとは限りません。


 徳の高い人物かどうかを見極める必要性はどうしても出てきます。

 そんなものは、四六時中見張りでもしないといくらでもごまかしが効くとはいえ、抑止力になれば十分と言うことで、九等魔法である行動記録魔法で一定期間の徳のある行動・業のある行動を記録させることにします。

 一定の基準を設け、徳が高く業が低い人にのみ、八等以上の魔法を教えることを許可すると言う体制を取ることにします。


 とはいえ、金を積んで裏で学ぶ人がでることを避けることはできないでしょう。

 親から子に伝えると言ったことを防ぐのも難しいですしね。


 それ故に、八等魔法を使える人が正規資格のある人以外の人に教える事で罰を受ける・損失を被るようにすることにします。

 罰としては、基本は身柄の拘束となりますが、無詠唱を使える人であれば、余り意味を為さない可能性が高くなります。

 無論、牢屋自体、魔法を使えない・魔法の構成を組みにくくすると言った改修をする必要は多くなっていますので、そういった技術の開発も進めてはいます。

 ですが、人は罰を受けることへの恐怖以上に、利益が減ることを恐れるものです。


 それ故、発覚後は税率を高くすることで、罰とするということを基本政策とすることにします。

 不正が発覚すると、税率が高くなり、収入が減ります。

 また、魔法を使う資格の等級を落とします。


 そうなれば、せいぜい八等は使えるようになったものの、七等には手を出せないと言った程度の人が不正に八等を教える程度で、そこまで悪影響が広がらないと言うことを期待できるのでは? と言う方向で建白を用意していきます。


 教えるほうの資格も定めて行きます。

 道徳の記録魔法等よりも、よほど人格を見極めることのできる立場の人材なわけです。

 むしろ、多少の問題ある人格程度ならば、矯正することも出来るでしょう。

 正規資格ありとなれば、高く雇われやすいでしょうし、教える側にも利益がある筈なんですよね。


 その資格は教え子が魔法で意図的に問題を起こした場合に失効することがあるとすれば、積極的に動いてくれるとも思うんですよ。

 雇い主の子供が相手だと強く出られない場合も当然あるとは思いますので、情状酌量も必要ですが、その状況であれば失効しないと見なされれば悪用されるだけですので、初期は一罰百戒で失効は避けられないかもしれません。

 雇用主が無理にとなっている時に、通報すれば報奨金がでて資格失効せずに済むとすれば、問題のある魔法習得希望者が炙り出せるなど、いろいろやりようはありそうです。


 兄帝には、これらの基準を実施したことで、今までの功績を鑑みて、中書省の長官に任命されました。

 上には、三公である宰相と兄帝・上皇がいるだけの地位ですから、かなり昇進したことになりますね。


 勿論、もう一人の中書省長官もいますので、一人で全部行うと言うわけではありませんが、法案を作成する責任者となったわけです。


 瑠も言葉が話せるようになったり、歩けるようになったりしていますし、忙しいながらも充実した日々です。

 そろそろ二人目も、どうなんでしょうか?

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