表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/9

第五話「気づいてたよ」

 付き合って一ヶ月が経った頃、ユキが突然言った。


「アキってさ」


 二人でコンビニのイートインに座って、アキはホットコーヒー、ユキはフランクフルトを食べていた。脈絡がなかった。


「うん」


「私の前だけ、嘘下手だよね」


 アキはコーヒーを飲もうとして、止まった。


「……何の話」


「いや、前から思ってたんだけど」ユキはフランクフルトを一口食べた。「アキって普段すごく上手に場に合わせるじゃん。言葉の選び方とか、間の取り方とか。なんか計算されてるな、って感じがする時がある」


「計算って言い方は」


「でも私といる時だけ、それが崩れるんだよね」


 アキは黙った。


「映画が面白くない時、ちゃんとそう言うし。聞いてない時、なんか顔に出てるし。最初から好きだったって、あっさり言うし」


「……それは」


「嘘つけないんだよね、私には」


 ユキは笑った。責めている感じじゃなかった。ただ、知っていた、という顔だった。


「気づいてたよ、割と最初から」


 アキは天井を見た。コンビニの蛍光灯が白かった。


「なんで言わなかったんだ」


「だって面白いんだもん」


「面白い」


「うん。アキが一生懸命ごまかそうとして、でも全然ごまかせてなくて。見てて飽きない」


 アキはしばらく黙って、それから笑った。笑うしかなかった。


「最悪だな」


「ごめんね」とユキは言ったが、全然悪そうじゃなかった。


 アキはコーヒーを飲んだ。負けた、と思った。完敗だった。でもなぜか、すっきりしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ