16.奪われた最初のページ
仕事に行こうと準備するが、サクが心配で行けなくなる。今日起こったサクの自殺未遂を見て行くべきではないと感じ、支度を一旦止めることにする。
あれから、ずっと私の隣に横になり
くっついてるサク..........独りで置いとけない.........
「オト......仕事だよ」
「うん........」
あと30分くらいで、家を出なきゃいけない
「サクの事が心配で.......」
「俺は大丈夫だから」と強がるサクの言葉に、胸が詰まる
「サク待ってられる?」
「うん」
スマホで撮ったシフト表を確認し、今日行けば二日間休みになるが、やっぱり心配。もし、何かあったら電話をするように伝えて仕事に行くか、今日は様子を見てサクの傍に居てお話をするか考える
「サクさ、私お仕事行ってる間、ゲームとかしたりパソコン観たり独りで居られる?今の状態で.......正直に話して.......」
私の長袖の裾を掴み
「本当は寂しい........でも.......」
「仕方ない........」
「我慢する........」
泣くのを我慢して、頑張って話す
「大丈夫だよ......」
息を殺す
「我慢しなくて、いいから.......」
固唾を呑む
「サク泣いていいんだよ.......それも嫌なの?」
頑張って泣きながら話すが、何を言ってるのかわからない。きっと嘔吐いていて、話しにくいのだろう...........話が途切れ途切れに聞こえる
「ゆっくりでいいよ......苦しいね......」
サクの今の心情がわかる。心細くて誰かに傍に居てもらいたい、甘えたい、出来ることなら子供のように愛されたい、でも大人の自分が邪魔をして素直になれない気持ちを抱えながら、本当の気持ちを隠そうとする
「本当は.............」
優しくサクの目を見てうなずく
「一緒に.......居て........ほしい.........」
「泣いてばっかいて.......ごめん...........男の癖に.......」
呼吸が早くなるサクを落ち着かせる事が、最優先だと思い「泣いてもいいの......それがサクだし、そのサクも好きだから」と伝えサクに「何を求めてるの?」と聞くと「もっと甘えたい.........」と話した........涙ながらに訴え、私に身を寄せる
そんなサクを見て、仕事には悪いが休むことに決めた。幸い抑鬱状態でも動ける。でも、波があるから、いついきなり下がるかわからない.........
それが、恐い............
「サク........」と名前を呼び、顔を私の胸から顔を上げ、私を見上げる
「サク何かなりたいものとか、ある?」
「こうなりたいとか」
「赤ちゃん........」
だろうなとは思っていた。乳幼児期に愛情を受けていないサクにとって、大きな問題だということを
【愛着障害】
愛着障害とは子どもの頃に養育者(母親や父親など)から適切でない養育環境、そして虐待(精神的、身体的)などの体験により、5歳前後から生じる過度な恐れ(恐怖感)、警戒心、そして社会的な相互交流の乏しさ、自分そして他者への攻撃性、自尊心の低さなどを呈するものとされています。
愛着とは子どもの情動面や情緒面の基盤となるものであり、人格形成には非常に大きな働きをもたらします。0歳から3歳くらいまでの子どもにとっては、母などのを中心とした養育者との愛着関係がとても大切です。イギリスの小児科医ウィニコットは著書の中で「5歳までに親が子どもと適切に関わることができれば精神疾患を大幅に減らせるだろう」と語っています。
「赤ちゃんになりたいの?」
「うん.......」
「可愛すぎるよ.......サク」
「可愛くない.........」
「めんこい顔してるよ。だって赤ちゃんなんでしょ?」
少し笑い下まぶたがふっくらと盛り上がり、愛くるしい表情になる
「もう一度やり直したいの..........」
「もう一度........」
声が漏れ、下唇を噛む
私から見たそのサクの顔が、まるで3歳くらいの幼児が、眠ってる母親に対し早く起きてほしい、
寂しくて、甘えたくて、どうしようもなくなり母親を求めて泣き出すあの表情...........
我慢できなくなり目に涙を沢山溜めてた苦しみが、サクの瞳から溢れだし、抑えきれないほどの感情が
声に出てしまう
「ウッ...」咳をした後、慟哭する
身体を左右に動かし、頭を抱えて嘆き苦しむ様子を涙を溢さないように、冷静を保ちながら見なければならない。苦しみという名の痛みを叫びながら泣くサクを頑張って見守ることしか、やってあげれない...........限界なまま、よくここまで生きれたね.........辛かったね..........我慢ばっかりで.........
としか言えない自分が腹立たしい.............
荒い息をするサクが、涙でいっぱいな目で訴える...........
「オト.......」
泣きすぎて話せないサクはしゃくり上げて、ベッドのシーツを強く握りしめ落ち着こうとするが、ならないのに悔しさでいっぱいになり、自分の膝を叩きながら、自分を責め始める。見ていられなくなる私はサクの髪の毛を「大丈夫だから、大丈夫」「サクは悪くないよ.....いいこだよ.......」と撫で続ける私にサクが手で答えようとする............
正直痛く苦しかったけどサクのハグを受け止め、サクの大きな背中を愛情を込めて撫でる。サクは普通より少し痩せてるが筋肉は多少ついてる。温もりを感じながら肩がまだひっくひっくと息を吸い込むように、震わせて泣いてるサクに「大丈夫、大丈夫」と伝え続ける..........
会社に連絡するために、スマホを取ろうとサクから離れ起き上がるが、抱き締めてくるサクに困惑する。連絡をすることを伝えても、一緒がいいと言い張るので、そのままヒヤヒヤしつつも連絡することに。
会社の人が出て、体調不良でお休みすると伝え電話を切った。手汗がひどく緊張し少し手が震えてる
思いのほか大丈夫だったので安心しサクの髪の毛を撫でる。
「サク一緒だよ........」
うなずくサクだが、何かを話したいが、しゃくり泣きで話せないが、話そうとする
「俺は.......オトに........」
「ゆっくりでいいよ......時間はたっぷりある」
「.........出........逢い.........」
「うん......」
「幸.................せ.....だ......」
涙が溢れて溢れて止まらなくなった...........凄く嬉しかったのと、生きててよかった...........と改めて感じた.........生きてる.......私は必要とされてるんだ..........
こんな光栄な気持ちは体験したことなどない............
嬉し涙なんて流したことないのに、いつも悲しみの涙で..........言葉という名の愛。愛にしか受け取れない愛。この言葉の深さが痛いほどわかった...............
お金などで買えたり、遊びなどで紛らわすそんな、無駄なエネルギー。時間。私はそれを知った............
だいぶ落ち着いたサクに呟く
「サクは私の大事な尊い人..........何度でも言う、忘れないでほしい........この言葉を........世界で一番愛してます.........」
目が潤んだ瞳でサクに少し微笑むとサクが下唇を噛んで下を向き、はにかむ姿に安堵するが、これからが始まりだと自分を鼓舞する
いつも読んで下さり本当にありがとうございます!
オトサクはこれからが始まりです
果たしてどうなるのか、ご期待下さい!




