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第20話 殴られずに済んだ

第20話 殴られずに済んだ


戦場の音は、昨日と変わらない。


だが、戦場の端は、少しだけ違っていた。


カウンターがある。

木材だったものが、そこに据えられている。


高さは揃い、

角は落とされ、

余計な出っ張りはない。


主人公は、

その向こう側に立っている。


椅子は四つ。

間隔も、向きも、揃っている。


湯は沸いている。


レオンが来たのは、

それからしばらく後だった。


足音が近づき、

途中で止まる。


「……は?」


それだけだった。


レオンは、一歩進み、

もう一歩進み、

カウンターの前で立ち止まる。


視線が、

上から下へ動く。


板。

高さ。

椅子。


無言のまま、

一周する。


「……ちくしょう」


声は低い。


椅子に手をかけ、

座る。


きしみはない。


レオンは、

一度だけ、体重をかけ直す。


何も言わない。


主人公は、

湯を注ぐ。


音は、静かだ。


コップを置く。


レオンは、

それを見てから、

手に取る。


一口飲む。


「……殴れねぇな」


主人公は返さない。


レオンは、

カウンターの縁に肘を置き、

少しだけ前かがみになる。


「なっとらんとか言われただろ」


独り言のように言って、

鼻で笑う。


「直すとこ、そこじゃねぇだろって顔、

 目に浮かぶわ」


主人公は、

自分の立ち位置を、

ほんのわずかだけ調整する。


レオンは、それを見ている。


「……参ったな」


そう言って、

もう一口、湯を飲む。


戦場の音は続いている。


だが、

この場所では、

誰も急がない。


レオンは、

座ったまま動かない。


主人公は、

カウンターの向こうに立ち続けている。


殴られる話は、

もう終わっていた。

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