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藍色の外套物語 ~親衛隊に任命されてから、うだつが上がらなかった日々が懐かしい時がある~  作者: 星河語
第2章

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21/21

魔が差すと即ち、死を見る。 15

2025/12/25 改

『ヴァドサ・シーク隊長の苦闘の日々 ~親衛隊に任命されてからうだつが上がらなかった日々が懐かしい時がある~』を大幅に加筆修正しているものです。


 少々、ここでは設定を修正しています。そのため、主人公のシークの行動も少し変更されています。また、フォーリの「」の部分も増えました。作者はフォーリの強烈なキャラクターを気に入っています。

 完全に姿が見えなくなってから、フォーリとシークは向かい合った。

 フォーリが途端に鉄面皮どころか、殺気を飛ばしながら鋭く(にら)んでくる。シークは腹を決めた。


「申し訳ないが、初めてお会いした時点で見とれるのは許してくれ。確かに若様のご容姿にみとれた。あんなに整ったご容姿だとは思わなくて。ベリー先生に注意を受けていたが、その点については申し訳ない。」


 そう言って、シークは地面の上に胡座(あぐら)をかいて頭を下げた。胡座は正式な座り方だ。


 元々は草の子族と呼ばれていた草原時代からの名残である。王宮などでは違うが、今でもこれで通用する。正式である分、胡座でした話は正式なものだし、約束は果たすべきだし、謝罪は受け取らねばならない。


「…なんだ、それは?」


 フォーリが不機嫌そうに尋ねた。


「これは、明日、部下達が犯す過ちについて、先に私が謝っておく。許してくれ。」

「過ちを犯すのが前提とはどういうつもりだ?」


 フォーリの声が厳しくなる。


「お前はニピ族だ。だから、主君と決めた方には忠実に仕えるということを知っている。私達も忠実にお仕えしたいと思っているが、若様のご容姿は想像以上だった。

 おそらく、明日、部下達は若様にみとれる。性別を超えたお美しさだからそうなるだろう。しかも、その後、若様のご容姿について、自分達だけになった時、いろいろと口にするだろう。


 だから、その後の噂話は決してしないよう私が注意する。その分、見とれてしまうという最初の過ちだけはなんとか許してくれ。頼む。」


 さすがのフォーリも呆気にとられているようだ。


「……なぜ、部下達のためにそこまでする? 何か下心があるのか?」


 フォーリの警戒は最もだろう。


「……そう疑われるのは承知だ。まず、私達は陛下の命を聞く者だ。妃殿下の回し者ではないことは伝えておきたい。今のところ、私は妃殿下から内密に何かするようにと言われていない。部下達にいつの間にか接触がないか、後で確かめるつもりだ。」


「……本当に何もなかったのか?」

「なかった。呼び出されてもいない。」

「……。」


 フォーリからさらに追求されなかったので、続きを話す。


「それから、私が部下達のためにここまでするのは理由がある。お前も知っているとおり、国王軍に入隊し出世するのは並大抵のものではない。せっかくここまで来たのに、死んだ理由がセルゲス公に淫らな目を向けたからとか、いうのはあまりに不憫だ。


 私自身もそうだが、部下にも実家が剣術流派の道場出身者がいる。関係者が見ればたとえ死因を隠蔽したとしても、手筋がニピ族だとすぐに分かる。隠しようがないし、言い訳のしようもない。大変、不名誉な死だ。上司として部下にそんな不名誉な死を遂げさせるわけにはいかない。」


「……。」


 フォーリは微動だにせず立っていた。


「だから、先に部下達のために謝罪する。噂話をしたり、若様のご容姿にあらぬ思いを抱かぬよう注意するから、みとれてしまうという最初の過ちだけは許してくれ。どうか、頼む。」


 フォーリはしばらく黙っていた。おそらくシークの行動が意外だったのだろう。シークも若様に会うまで、するつもりはなかった。だが、何度もピンを左手に刺して気がついたのだ。これは先に謝っておいた方がよいと。


「ベリー先生に話を聞いたのか?」

「聞いた。前の護衛達が何をしたのかも。同じ国王軍として恥ずかしく思う。そして、同時に部下達が同じ過ちを犯さないか、危機感を持った。だから、先に謝罪することにした。そして、部下達の責任は全て私にある。」


 シークは腹をくくって残りを言う。


「だから、現実に手を出したりした場合を除き、部下達の責任は全て私が負う。私一人を殺してくれ。」


 ニピ族は主に仇なす者を絶対に許さない。だから、何かあったら自分が責任を負うことを伝えた。そうでないと、信じて貰えないだろう。

 すると、フォーリがため息をついた。


「確かに、危機感を持っている隊長と持っていない隊長とでは、持っている隊長の方がいい。分かった。みとれるくらいは仕方ない。」


 許してくれてほっとする。


「若様ほど容姿の整った少年……、どころか、そんな美女でさえそうはいない。ただ、確実にその後のことは責任を持って欲しい。もし、噂話でもしていたら、それだけでも許さない。前回は遠慮しすぎた。噂話の時点でやっておけば、もっと犠牲も減ったはずだ。」


 フォーリもさすがに隊の三分の二を殺してしまったのは、まずかったと思っているようだ。


「よかった、ありがとう。隊員には私から注意する。」


 シークは礼を言ってから立ち上がった。


 お話の世界を旅することができましたか?

 最後まで読んで頂きましてありがとうございます。


                             星河ほしかわ かたり

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