人類最大の汚点
遺伝子関連の技術が進歩することによって、人間は文明を格段に豊かなものにした。例えば、医療の分野では、治療不可能とされた病の治療を可能にしたりだとか。農業の分野では、高収量作物の発明によって、土地生産性を向上させたりだとか。
まあとにかく、遺伝子関連の技術というのは人類のもっとも大きな進歩だと言えるだろう。
しかし、その一方では、好ましくないこともある。遺伝子組み換え作物の健康被害は未だに解明されていなかったりだとか、クローンの生命倫理的な問題だとか。
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遺伝子の技術が招いた最大の汚点は、『ドラゴン問題』だろう。
いつの時代のことかは定かではないが、ある科学者が鳥や獣などの遺伝子を複雑に改良し、ドラゴン(のように巨大で狂暴な生物)を作り出したのだ。その科学者は『某恐竜映画に強い憧れを抱いており、現実化したかった。しかし、恐竜を作ったら某恐竜映画の真似をしただけだと思われるだけだろうと思い、ドラゴンを作ったのです』と記者会見で雄弁した。
そのドラゴンは世界中から注目され、科取材や、メディア出演のオファーが殺到したため、科学者はガッポリ儲けた。
そして、それを資金として、さらに大きなドラゴンを作り出したのだ。
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やがてドラゴンは自我を形成しはじめた。コレが問題の発端だった。
これまでは科学者が手なずけられていたドラゴンたちが、徐々に制御が利かなくなっていった。
挙げ句のはてに、ドラゴンが勝手に生殖をしてしまったのだ。行動にブレーキを持たないドラゴンたちには、科学者の調教など意味を成さず、加速度的に数を増やしていった。
やがて、ドラゴンの数は地球上で千頭以上となり、生態系に甚大な影響を及ぼすようになると同時に、人間までをも補食対象とするようになった。各国の軍隊および日本の自衛隊が対抗しているが、ドラゴンたちの桁外れの力の前では焼け石に水だ。
このようにして、『ドラゴン問題』は日に日に悲惨化し、人類存続の危機となっているのだ。
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そして、そのドラゴンを作り出した科学者というのが、俺、#鋳__い__##鈴__すず__##鷹__たか__##斗__と__#なのである。
俺は今、世界中から捜索されている。重大犯罪を犯したものよりも高額な懸賞金をつけられている。
全地球人は、血眼になって俺の居場所を探しているだろう。懸賞金のため、そして何より自分自身の生命のために。
しかし、俺を見つけ出すことは誰にもできない。
なぜなら、俺は今地下深くの研究基地に籠城しているからだ。
俺の作り出してしまったこの『ドラゴン問題』は、自分で解決したい。俺はここで、ドラゴンたちを手なずける策を日々模索しているのである。
そしてついに、そのはじめの計画が形となってきた頃だ。
俺はもう少ししたら何年ぶりかわからないが、地上の空気を吸いに出ることにした。




