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キス

 押忍!! 漢の中の漢を掲げる男、その名はガク。子供の頃って色々なモノに興味を持っていましたがいつの間にか損得で考えていました。本当にいつの間に変わるんでしょうね?


 スマホの掲示板から目線をそらし、本を見る。


 本の中の妖精は暇になったのか寝ている。

 可愛いものだ。


「なるほどな……」


 心で思ったのだが、どうやら声に出してしまっていたらしい。


「分かったんですか?」

「え? あ、うん。多分ね」


 えっと。

 俺の予想が正しければ……。


「サラ、今からパーティー編成をしてサラに申請するから了承してもらって良いかな?」

「あ、はい。分かりました」


 俺は【ステータス確認アプリ】を起動しパーティー編成でサラを加える。


「サラ、本を見てごらん」

「はい? あ、妖精さんが見えます!!」

「やっぱりか。多分これで確定だな」


 う~ん。

 掲示板でなんて書こうかな?


「どういうことですか?」

「ん? う~ん。俺の称号に久久能智神ってあるじゃん?」

「あ~。そうでしたね。木が関係しているヤツですよね?」

「そうそう」


 称号・久久能智神ククチノは<植木スキル><成長スキル><木属性付与スキル><木属性耐性スキル><木属性攻撃スキル>と【木の神の加護】『木との親和性が高まり、木に慕われやすくなる』というような内容だ。

 かなり高性能な称号だ。


「掲示板でタカさんが持っていた称号の一つに植物の加護があったよね?」

「はい」

「俺の久久能智神にも似たような内容の加護がある。おそらくタカさんが持ってる加護と内容が似てるんだと思う」

「では、木や植物といったモノが関係しているという事ですか?」

「その可能性は十分高いだろうね」


 だが、その次が分からない。

 見える為に必要な事は分かった。


 でも、本の内容が分からない。


「皆さんに伝えましょうか」

「そうだね」


 皆に報告するか。


----------


509 カケル

 ボスファンクラブ会員になったっぜ!


510 ミンミン

 私もなったよ~。


 会員番号389ってすごい人数だね。

 一ヶ月後には千人超えるんじゃない?


511 アヤノ

 会費はイベントに使いますのでよろしくお願いします。

 不正を無くす為にすべての会費は公開されています。


512 サキ

 不正発覚は会員番号及び特別階級の剥奪、永久バンされます。


 第三者の監視も行われています。


513 タカ

 セキュリティーはどうなってるでござる?


514 ミンミン

 魔法部門は私がやってるよ。

 すでに何個か団体を潰した。


515 ペッチン

 私も裏で動いてるよ~。

 結構な人数が釣れるね。


516 リョウ

 怖いな。

 厳重すぎるだろう。


 どこかの国の方がよっぽど楽に攻略できるぞ……。


517 匿名

 皆さん、ありがとうございます。


 おかげで見るためにはどうすればいいのか分かりました。


 後、ファンクラブは解散してください。


518 タカ

 拙者、役にたったでござる……。


519 ペッチン

 詳細プリーズ。


520 匿名

 了解。


 この本を見るためには自然系の称号か加護が必要です。


 タカさんにあった植物の加護があった事と俺にも似たようなモノがあったので試しにサラをPTに入れました。

 その結果、サラにも本の妖精を見る事が出来ました。


 現在分かった事はこれだけですね。


521 アヤノ

 タカさんって今どこにいるの?


522 サキ

 居場所晒せや!


523 リョウ

 タカ、どこにいる?


524 タカ

 おろ?

 リョウ殿は止める役でござらんのか?


 まぁ良いでござる。

 拙者は今、バイザルグ地方のナンナンという町にいるでござる。


525 カケル

 特定した。


 行く人いる?


 俺、ニャール地方にいるよ。

 リョウは場所分かるから迎えに行くわ。


526 ミンミン

 私、ペッチンと一緒にナンナンに向かうよ。

 遠くにいる人は呼ぶよ?


527 ペッチン

 子供も一緒で良いのなら行くよ~。


528 サキ

 私、ニャール地方にいる!

 場所はナニル国!


529 カケル

 あ~い。

 迎え行くわ~。


530 アヤノ

 私もサキちゃんと同じ場所にいま~す。


531 タカ

 RT限界超えるでござるな……。


 そんなに妖精を見たいでござるね。


532 カケル

 ペッチンとミンミンは先に行って俺に住所送ってくれ。


 アヤノ、サキは一緒に居てくれ。

 今から行くわ。


533 ミンミン

 あ~い。


534 リョウ

 ありがとうございま~す。


535 タカ

 お菓子とお茶の準備しておくでござる。


536 匿名

 みんな行動力ありすぎw


537 サラク

 そんな遠いと数ヵ月かかるのでは?


538 カケル

 ん~。

 十分くらいだよ?


 ……あぁ、そうか。

 姉さんはこっちの人か。


 俺たちは馬車とか使わないから問題ないんだよ。


539 匿名

 うわ~。

 チートだ。


540 ミンミン

 『力などリア充の前では塵にも等しい』(名言)


541 ペッチン

 あれ? 聞いたことがあるぞw


542 アヤノ

 今からタカの町に向かいま~す。


543 タカ

 ござる!?


 先輩方、早いでござる。

 まだケーキが焼けてないでござるよ!


544 匿名

 タカさんケーキ作ってたんですか!?


 キャラが違いすぎて面白いw


545 タカ

 既にミンミンさんとペッチンさんが到着。


 あ、今ほか四人が到着したでござる。


 PTに入れてたでござる。

 なるほど、こんな方法があったんでござるな。


546 ミンミン

 なんで男って家が狭いの?


547 ペッチン

 しかもフローリングってキャラぶれ過ぎw


548 サラク

 早い……。


549 アヤノ

 きゃ~!?

 妖精可愛い~~!!


 ……なぜに裸?


550 サキ

 そうか。

 こんな感じで見えるのか。


 ボス……。


551 リョウ

 ボス……。


 (何で見えないの?)


552 匿名

 俺に聞かれても困る!


 元々裸だったんだ。

 俺が脱ぐように言ったんじゃないよ?


553 ペッチン

 可愛い妖精さんだね。


 不思議な本だね。


554 カケル

 う~ん。

 題名も読めない。


 一般的に普及している言語じゃないな。

 どこかの部族言語か?


555 ミンミン

 魔法ではないね。


 これは部族的な固有魔術かな?


 だったら言語もどっかの部族で合ってるんじゃない?


556 ペッチン

 これクラスの固有魔法って限られるよね。


557 サキ

 自然が関係しているというのならエルフとか?


558 アヤノ

 う~ん。

 分かんな~い。


559 匿名

 俺は妖精の文字かな~とか思ってはいたんですけどね。

 根拠とかはないですが。


 あ、本の内容も載せておきます。

 

 ※※※/※※※※

 ※※※/※※※※


560 ミンミン

 おとぎ話でキスしたら目覚める系ってあるよね?

 妖精さんとキスしてみたら?


561 カケル

 お前!?


 ……天才か!!


562 ペッチン

 今の現状ではそれしかないな!!


563 アヤノ

 そうですね!!


 (ケーキ美味し~)


564 サキ

 グフッ!


 そうだな。

 ボス。キスしかない。


565 リョウ

 (みんな楽しそうに黒い笑みを浮かべてるな~)


566 サラク

 そうですね。

 やってみましょう!


567 匿名

 みんな楽しんでるでしょ?


 そして飽きてきてるでしょ?


568 カケル

 そ、そんな事は……


569 ミンミン

 そうそう。

 ただの検証だから!


570 ペッチン

 何事も一歩ずつだよ!


571 匿名

 う~ん。


 まぁ、やってみます。


 少し待てって下さい。



----------


 なんてことだ。

 俺は妖精とキスしなくてはいけなくなった。


 サラもいるからしない済ます事は出来ない。


 やるか。


「何事も検証です。ガクさん」


 サラも絶対楽しんでるな~。

 まぁいいか。


 妖精は今は座ってこっちを見ている。


「妖精さん。ちょっと良いかな?」


 飛んできた。

 羽が無いのにどうやって飛んでるんだろう?


「検証の為に今から妖精さんとキスしたいんだけど良いかな?」


 我ながら何を言っているのか……。


 サラは楽しそうに笑ってる。


 妖精は少し照れた様子をした後、近くまで来て目を瞑って唇を少し突き出した。

 本一杯にかわいい女の子のキスを待ってる表情がそこにはあった。


 ゴクリと生唾を飲んで手に持つ本に顔を近づけて行く。


「……チュ」


 ちゃんと口と口が重なった。


 何やってるんだろう?


 口を離し、本の中の妖精を見るとそこに妖精はいなかった。


「妖精さんがいない!」

「えぇ!?」


 サラが俺の隣に近づき本を覗く。


 その時、本から黒い煙が立ち上る。


「ガクさん!!」

「グッ!」


 サラが俺の手から本を弾き飛ばした。


 黒い煙は更に勢いが増す。

 もはや本が見えないほどの煙の量と勢いである。


「少し離れよう」

「はい」


 俺とサラは五メートルほど離れる。


「キスが原因なのか、それとも偶然か」

「キスでしょうね」

「だよね」


 あの妖精はどうなったのだろう?


 まさか消えてしまったのか。


 瞬間、轟く爆発音。


 俺とサラは身体を低くし、爆発地点を見る。


 周辺の土がえぐれ、食器なども吹き飛んでいる。

 そしてその中心地に小さな妖精が倒れているのを確認した。


「妖精!?」

「あ、ガクさん!!」


 俺は何の躊躇もなく妖精のもとに駆け寄った。


「大丈夫か!! 俺の声が聞こえるか!! おい!!」


 触れて良いのか分からない為、近くに寄り添う事しか出来ない。


「ガクさん。まだ地面に熱が残ってます」

「サラ。俺は大丈夫だ。この子を回復出来ないか?」

「……やってみます」


 地面の熱などどうでもいい。

 妖精が助かるかどうかの瀬戸際だ。


「……あ」

「どうした! 何か妖精にあったのか!?」


 何か薬になる物は持っていたか?

 この辺に薬草はあるか?


「寝てるだけですね」

「……ん?」

「スヤスヤと寝ています。ここはではアレなので場所を移動しましょう」

「はぁ~~~……」


 良かった。

 妖精は無事か……。


 サラがそっと手に乗せ、地面が熱い場所を移動した。


 妖精はサラに任せ、俺は吹っ飛んだ食器や器具を回収していた。

 食器は粉々だったが替えはたくさんあるから問題ない。

 問題は調理器具の方だが、壊れてはいないようだ。良かった。


 さて、少し地面を均しサラの元に戻る。


 まだスヤスヤとサラの膝の上で寝ている妖精とその姿を見てニヤニヤしているサラを見て今度は俺がニヤニヤする。

 もちろん写真を撮った。


 さて、落ち着いたから掲示板に報告するか。


 なんて書こうかな?


 ……キスしたら爆発したって書くか。

 どんな反応が返ってくるか楽しみだ。

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