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SS サラの激動の一ヵ月……3

残り2話以内でSSが終ります。……多分。

 私にクヨクヨは似合いません。前進あるのみです!!


 と、思っていますが、ガクさんは私の目の事は知っていたのですね。


 醜眼。


 醜い目である者たちの事を言う言葉です。醜眼者とも言います。意味はほとんど同じです。目の事か、目を持った者の違いですね。


 実際、私のような目の色の人はいます。


 ですが、その人は恐らく醜眼と呼ばれてはいません。


 何故かと言うと目の色と髪の色が一緒だからです。


 普通の人は髪の色と目の色は一緒です。ですが、醜眼者は違います。醜眼者の髪の色と目の色が違うのです。


 私の場合は髪が茶色の濃い色です。目の色は朱色です。……これが醜眼の正体です。


 髪と目の色が違うだけなのです。それが迫害の理由。


 呪いや不幸にするなど、私にはできません。


 ですが彼は、ガクさんは私の笑顔が重要だと言ってくれました。


 私はとても安心してしましました。


『隣で笑っていてね』


 遠回りにそう言われたような気がしました。多分、気のせいだと思いますが。


 私は彼にもっと近づきたい、お話したいと思います。


 彼はどんな物を見て来たのでしょう?


 好きな食べ物は何でしょ?


 好きな色は何でしょう?


 彼の好きな物は何でしょう?


 彼と会うのが楽しみです!!


 ウキウキと朝食を作り、ガクさん……だけではなくスミスさんやマスさんも待っていたのですが、お戻りが遅いです。


 少し様子を見に行きましたが、彼がお風呂場で倒れたとスミスさんが伝えてくれました!!


 ただの疲れから来る過労熱だろうとの事ですが、心配です。とても心配です。


 余りに彼の事を考えてしまい、スミスさんのお酒を間違えてお酢を出してしまいました。……流石はスミスさんですね。吹き出す事もなく、一口飲んで間違いを言ってくれました。


 スミスさんの表情はいつものように涼しい顔をしていました。……良かったです。怒られなくて……。


 昼食をみんなで食べた後、スミスさんに言われ、ガクさんのお部屋に行きました。


 ドアを開けて驚きました!!


 ガクさんは洋服を着ていませんでした!!


「何で服を着てないんですか!!」

「……俺が知りたい。それに下は履いてるぞ」

「上も何か着てください!」

「服がな……あった」

「大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だ」

「そうで……何でまだ服を着てないんですか!!」

「今、着ようと思ってたんだ」

「大丈夫って言ったじゃないですか!!」

「ゴ、ゴメン。体調だと思った」

「私の反応を見て楽しんでませんか?」

「あ、忘れてた。サラもう一回こっち見てもらって良い?」

「……服、着てませんよね?」

「大丈夫だ!! 見てくれ!!」

「何も大丈夫じゃないです!!」

「残念だ!!」


 何が残念なのか分かりません!!


 絶対に私の反応を見て楽しんでます!!


 ……良かった。お元気そうで。


 布団に潜り込む音がしたので彼の方を見ると怠そうにしていました。


「ガクさん?」

「……体が怠い」

「大丈夫ですか?」


 彼の頬に触れます。……やましい気持ちはありませんよ?

 

「やはり熱いですね」

「興奮してないよ?」

「そう言う意味じゃありません!!」

「ごめん。ありがとう、サラ。……なんか、ちょっと心細いんだ」

「ガクさん」

「サラ」

「……バカ押すな!!」


 部屋のドアがいきなり開きました。


 ビックリしました。気配は無かったはず。


 スミスさんを筆頭にマスさん、スナーチャさん、マーナ姉さんまで覗いていたのですね?


 私の中の何かが切れました……。


 皆さんの食事のグレードを下げる事を宣言します!!


 これは決定です。


 彼が羨ましいと言っていたので、彼もいっしょですね。……私は変りませんよ?


 それから少しお話をして彼が寝るのを見届けました。


 なんて可愛い寝顔でしょう!!


 彼の寝顔を見ていると眠くなってしまいました。


 私は彼の身体を枕に寝てしましました。


 寝ぼけてしまって少し覚えていない所もありますが、ガクさんの言ってる事を言わないと駄目な感じでした。起きた後も喋っていたのですがバレました。


 彼も意地悪です!!


 分かっていて私の事をからかうのですから。


 仕事は良いのかと彼が聞いてきましたが今日は休みです。……オープンも休みも私たちの気分次第ですが。


 午後は彼と町の中を散歩です!!


 たくさんお話をしてとても楽しかったです!!


 私の事やダンジョン、タワー、迷宮などの事も話しましたが、何気ない私の日常をあんなに楽しそうに聞いてくれるなんて、彼はやはり優しい方なのですね。


 最後に年齢を聞いて十五歳だったのは驚きました。


 少なくとも私より上だと思っていました。……私の方が年上なのですね。


 それから約二週間が過ぎました。


 ガクさんは私の仕事の補助を担当することになりましたが、日々たくましくなっているのが分かります。


 この二週間のうちにスミスさんに私は彼が好きな事を伝えました。


 スミスさんは何故か知っていました。……何故でしょう?


「スミスさん。私はこの目をキレイと言ってくれた彼の妻になろうと、なりたいと思っています」

「そうか。良いんじゃないか?」

「……反対されるかと思いました」

「ん? そうか? お前がイヤイヤでガクの妻になる気なら止めるが、そうでないのだろう?」

「もちろんです!!」

「なら、何の問題もないだろう。あいつが身分証を手に入れてこの街に住むだろう。そしたら、あいつと結婚すれば良い」

「……彼は私を選んでくださるでしょうか?」

「ん? いつもお前の胸を見てるんだ。気があるんだろう? 多分」

「そうですかね?」

「傍から見てるとそう思うぞ?」

「本当ですか?!」

「あ、あぁ……」

「ありがとうございます!! では失礼しました!!」


 スミスさんが言うのなら間違いないですね。


 フフフ。……私が彼の妻に。


 そんなこんなであっという間に時間は過ぎました。


 そんなある日、ガクさんが体調がすぐれないと部屋で休んでしまいました。


 原因をスミスに聞いたら裏の末路の蔵にガクさんを入れたようです。


 ……そうですか。ガクさんはアレを見たんですね。


 奴隷。


 人の人権を完全に剥奪され、家畜と同列になる事を意味します。


 蔵の奴隷たちは残酷ですが死ぬまであの蔵に閉じ込めます。


 奴隷は所有者の物です。


 奴隷を買った人は奴隷を自由にできます。生殺与奪の権利も買った側が持っています。


 使えなくなった奴隷は買った所に処分しに来ます。ですが、買った側の権利はずっと保持し続けます。つまり、私たちがあの奴隷を殺した場合、私たちが罪になります。


 なので、あの部屋で鎖に繋げています。


 殺す事も出来ませんし、面倒なども見れません。


 あの蔵は世界の膿の極一部です。


 もっと醜い所もあるでしょう。


 ガクさんは夜まで目を覚ましませんでした。メモと料理を準備しておきましょう。


 夜中、物音がしたので廊下に出ると、ガクさんが階段を下りるのを確認できました。


 私はゆっくりと後を追いました。


 彼が逃げる事があれば私が捕まえなくては行けません。


 安心してくださいガクさん。奴隷にはさせないようにスミスさんを説得してみせます!!


 私の心配は杞憂でした。……お腹が空いていたんですね。


 彼と話をして彼は私を置いて強くなる旅に出ると言ってきました。


 なにかのお話でその話をした男性は必ずと言っていい程、帰って来ないのです。


 どこかで死んでしまったり、別の女性と恋仲になってしまったりと私は心配になってしましました。


 彼には少し考えさせてほしいと言ってその場を離れました。


 部屋に戻り考えましたが考えはまとまりませんでした。


 その日の朝食も彼が死んでしまう事がちらつき、上手く話す事が出来ませんでした。


 仕事は切り替える事が出来ました。


 ですが彼は明らかに動きが悪くなっていました。


 帰りも何も話す事もなく帰宅。


 晩ご飯の準備をして材料がなくなってしまったのでマーナ姉さんと買い出しに行きました。


 買い物に行く中、マーナ姉さんがどうしたのか聞いてきました。


「サラ、どうしたんだ?」

「な、何がでしょう? わ、私はガクさんの事を考えていませんよ?」

「……そうか。彼の事を考えていたのか」

「考えていません!!」

「嘘が下手過ぎるぞ。お前は嘘を見抜けるがお前の嘘も私は見抜ける」


 私としたことが……。


 嘘を見抜ける者が嘘を見抜かれるとは。


「……彼に『俺が強くまでここで待っていてほしい』と」

「それは……絶対に帰って来ない奴が言うセリフだな。偶然だと思うが……」


 突如声がしました。


「こっちの世界でもフラグなんてあるのね~」


 気配のない場所から声がしました。


 私とマーナ姉さんは警戒しました。


「こんな夜更けにこんばんは~」

「お前は何者だ?」

「正直に話すと思って~?」

「話さないなら敵と思われても仕方ないぞ?」

「かまわないわ~。……敵だもの」


 今、私には武器がありません!!


 戦えない私はマーナ姉さんの後ろに身を隠します。


「敵は一人。お前は私が倒す」

「私はそこら辺の雑魚と一緒にしないで~」

「行くぞ!!《剛力》《拳》」


 マーナ姉さんは至近距離型の戦いをします。力を高めて拳を強くする一段強化。


「〈腕力系上昇スキル〉と〈戦闘系スキル(拳闘)〉ね~」

「良く知ってるな」

「知り合いが喋ってたのよ」


 敵はマーナ姉さんの攻撃を躱しながら喋っています。


 マーナ姉さんの攻撃は掠りもしません。


「あ、そうそう」

「……なんだ」

「あなた、私が一人だと何時から勘違いしてたのかしら?」

「何?……サラ!!」

「ン~~~!!」


 私は何者かに取り押さえられてしましました。


 顔は確認できません。


「さて、お決まりのセリフを言いましょか~」

「サラを離せ!!」

「動くな~。その子が傷物になって良いのなら別だけどね~」

「クソッ!!」


 私は何かを嗅がされ意識を失いました。


 気が付いた時には何もない部屋の中で椅子に縛り付けられていました。


 時々、男の人の話し声が扉からしました。


 私を襲うかどうか、醜眼者らしいとかの話をしていました。


 私は自分の置かれてる状況が理解できました。


 私が生きている事はマーナ姉さんも恐らく生きている事を証明していますが無事かどうかは別物。


 私はここからの脱出方法があるか考えます。それが生きる為に必要だから。


 縛られた縄は頑丈で、切るには刃物が必要です。


 どうやら抜け出す事は不可能なようですね。


 静かな部屋で時間が流れ、考えたくもない事を考えてしまいます。


 このまま殺させるのでは?


 奴隷にされるのでは?


 男性に辱めに遭わされるのでは?


 助けに来ないのでは?


 ガクさんは私を見捨てるのでは?


 考えたくもない事を考えてしまいます。


 彼が私を見捨てるバズがない。助けは来ると思っても、その考えを否定する思いが湧き上がってきます。


 怖い。


 とても怖い。


 死ぬ事より、奴隷にされるより、辱めを受けるよりも。


 彼に見捨てられるのが怖い。


 助けに来てくれるのが彼だったら、私は彼の為にこの身を捧げましょう。


 彼の為に生き、彼を守れる私になろう。


 突如、大きな音がしました。


 何かと思い、耳を澄まします。


 ドアの外で警戒している男の人が何か言っていますが、途中で声がしなくなりました。


 ドアが開きました。


 あぁ。


 良かった。


 ドアを開けたその先に彼がいました。


 私は彼に救われました。


 私の心は決まりました。私はこの人について行こうと決めました。


 泣く私を励まし、皆の場所まで案内してくれました。


 皆、私の為に……。


 また、泣きそうになってしまいました。


 家に戻り、マーナ姉さんが傷だらけになってスナーチャさんの看病を受けていました。


 マーナ姉さんをよくも!!


 私は怒りました。


 敵の本拠地に行くので私も向かいました。


 結局、私の出る幕は無かったですが、敵の女性が生きてる事が嬉しそうだったガクさんに少し問い詰めたい気持ちに駆られました。


 でも、助けに来てくれた彼はとてもカッコ良かったです。 


 

内容は一気に十話~十七話の話になります。


飛ばし過ぎかもしれませんが……

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