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タワワ

 押忍!!男の中の漢。名を学。身長は百五十五で、平均身長より下です。早く背が伸びたいです。……日本の自分を知っているので期待は出来ないですけどね~。


 今日はサラと馬を見に来ました。


 俺は日本でも本物の馬を見た事がなかったけど、まさか異世界で馬と触れ合う事になるとはな~。てか、馬なんていたんだな。


 似たような生き物はいると思ってたけど、まさか馬と言う品種がいるなんてな~。意外だ。


「サラ。馬ってどこで買うの?」

「正面の正門付近に馬小屋と馬車のお店があります」

「正面って俺が入ったとこの真裏だよね?」

「そうですね。どっちかと言うと真裏がガクさんが来たところになりますが」

「あ、そうだね~」


 上手い事言うな。一本取られたよ!


「馬って何頭買うの?」

「買いませんよ? レンタルします。馬車もですが」

「え? 買わないの?」

「はい。あ、ガクさんはこの街がどこにあるのか知らないんでしたよね?」

「うん。全く分からない」

「え~と。モックは国に所属はしていません。詳しく言うと治めている人がいません」

「え? じゃ~モックって国の縛りを受けてないの?」

「いえ。そうではありません。大国家と言われている所に一応、所属していますがこれは所属しなくては生活が出来ない為に所属しているに過ぎません」

「大国家に加入し寄付や加入代を払えば大国家の保護を受ける事ができ、何かしらのトラブルがあった場合、人を派遣してもらえます」

「良い事じゃないの?」

「表面上はそう言ってるに過ぎません。もし加入代を払えなければ大国家の加護が受けられません」

「つまり?」

「ありとあらゆる物資が大国家の加護から外れた瞬間に調達できなくなります」

「……ハァ?」

「大国家は己の加護の国同士の流通は認めていますが、加護意外の所と流通は禁止しています。そして、大国家は人類の大国を手中納めている為、小国は加入せざるを得ないのです」

「小国同士で徒党を組んで大国に抗うとかは?」

「実際にその方法で大国家に属さず暮らしている国はありますが、無理ですね」

「何で?」

「大国家は自分に属さないのは我が国に対する宣戦布告と取ると宣言しています。脱退すれば流通は途絶え、戦争が勃発し、武力を持ってまた大国家の領地となります」

「大国家って良いことしてるの?」

「……」

「うん。分かった」


 大国家。俺のキャパを超えてるから漠然とした気持ちになっちゃうけど、……嫌だなそういうの。


 俺がどう思ったとしても変わらないけど、嫌だ。間違ってるし、おかしな話だと思う。


「その大国家が私のような目を持った人を呪われていると言いました。正直、大国家に良い気持ちを私は持っていません」

「……マジで潰したろうか。大国家」


 それで俺の心が平穏になるなら仕方ないな。うん。


「フフフ。ですが少しも感謝をしていないと言ったらウソになってしまいますね」

「ん? どうして?」

「あなたと出会える事が出来たのも、大国家の宣言があったからだと思います。私はガクさんに会えて本当に嬉しく思っていますし、感謝もしています。本当に私と出会ってくれてありがとうございます」

「……」


 しょうがない。大国家の処分は保留にしておこう。


 サラがメッチャ可愛いから仕方なく保留だ。特別処置だな。


 でも……


「サラ。……そんな事は無いよ? サラがどこにいようとも俺は君を見つけて、君の目を褒めると思うよ? 俺は生きた人生で初めてそんな事を言われたからこの気持ちをどう言って表して君に伝えればいいのか分からないけど、とっても嬉しいよ。生きてて良かったって思うくらいに……ありがとう。サラ」

「ガクさん……」

「!!」


 ンゴ~~~~!!


 サラが俺の手を握っている!! それも握手のような握り方じゃないぞ?


 アレだ!! 恋人繋ぎだ!!


 それにサラの距離がメッチャ近い!! ……イヤ。当たってる。成長が著しいモノが俺の腕に!!


 なんと言う事だ!! 女性のタワワはこんなにも柔らかい物なのか?


 ヤバイ!! 俺って今日死ぬんじゃないの? イヤ、本望だ!!


 サラはそのまま手を繋ぎ、馬小屋まで案内してくれた。


 俺? 本能を抑えるのに必死だったよ。今日新たに分かった事は女性のタワワにはチチ……じゃないな。夢が詰まっているって事を確信した。


 そして馬小屋に付いた俺は表情が固まった。


 俺は今、異世界に来ているんだよな? 隣にはサラがいる。


 さすがにお店の中まで手を握ってる訳にもいかないので渋々離した。


 そして、何故俺が異世界に来たかのを確認したのは目の前のファンタジーな物じゃない何かがいるからだ。


「……サラ」

「どうしました? ガクさん」

「……これって……何?」

「馬ですよ?」

「馬、ウマ、うま」

「どうしたんですか? そんなに馬を連呼して?」

「イヤ、ゴメン。ちょっと俺の中の馬のイメージと合わなくてね」

「そうなんですか? ガクさんのイメージした馬ってどう言った物ですか?」

「う~んと。草原をパカラパカラって走り、靡くたてがみ、前足二本を高らかに上げてヒヒィーンって鳴くイメージ」

「鳴き声が少し違いますね」

「……そうだね」


 目の前には時はまさに世紀末!! と言うナレーションが挟みそうな屈強な馬が……二足歩行で歩いている。

 多分、種類が違うんだろうな。馬って名前に騙されたよ。……うん。


 馬の鳴き声が


「グゥガーー」


 だぞ?


 文字にすると可愛く見えるかもしれないけど、目の前にいる生き物はマジで世紀末覇者を倒した貫禄はあるよ?


 少なくとも五人は間違いで殺めてるよ。あの目つきはそうだと語っている。


 あの筋肉はなんだよ。……馬って腹筋あったんだね。


 化け物だよ。……これを二頭かこえーよ。


「ガクさん。どの馬にしますか?」

「え?……ゴメン。サラに任せた」

「分かりました。フフフ。ガクさん。そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ?」

「噛んだりしない?」

「…………比較的おとなしい子にしますか」

「噛むんだね!?」

「……噛む子もいますが噛まない子もいます。馬は噛まない子が極端に少ないだけです」

「ポジティブな言葉頂きました。……サラ? それを気性が荒いって言うんじゃないかな?」

「そんなことはありませんよ。……ほら、この子なんておとなしそう……」


 サラの言葉を遮って飼育の人の声が聞こえた。なんだ?


「オイ!! しっかりしろ!!」

「ダメだ!!完全に肘まで食われてる!!」

「……ウガ…………ウゥ」

「だから言ったんだ!! こいつらに手を出すなって!! こいつらは出された手を食べ物って思って食っちまうんだ」

「おとなしそうだからとかこいつらに関係ないとかも言ったのに」

「まぁ、今回は軽傷で済んで良かったな」

「そうだな。前なんか四本食われてたからな。ありゃ酷かった」

「今回は肘までだしな」

「そうだな」

「……ブクブク…………」


 サラの方をチラッと見たら出そうとしてた手を素早く下げ、俺の後まで後退してきた。……うん。可愛い。


 それにしても飼育員さんの対応が雑すぎるな~。


 肘まで無いとか重症じゃん!! 前回は四本って、それ両手両足じゃん。事故じゃないよそれ、事件だよ!!


「ガクさん……」

「どうしたの?」

「……おとなしい子を買いましょうね」

「激しく同意。そうしましょう」


 店員さんにおとなしい子をどうしても欲しいと言ってるサラの可愛い姿は俺のスマホでバッチリ録画した。……サラには内緒にしておこう。


「これで、予約をして前金も置いて来ましたので明日の早朝には正門前に馬と馬車が待機してあります」

「え? 前金なんているの? ゴメン、知らなくて。いくらだった?」

「あ、大丈夫です。スミスさんにもらったので」

「スミスさん。……後でお金はきちんとお返しするので!!」

「スミスさんならお酒の方が喜ぶと思いますよ?」

「なら、お酒にしよう。そして、お金も返そう」

「フフフ。そうですね」


 さて、この後は俺の防具と剣か。


 サラに見てもらったら簡単に終わった。革の装備だ。


 今の俺は鉄の装備は重いから革の方が良いと言われたのでその通りしました。


 剣は鑑定で少しでも良い奴があるか見たけどサラが見つけた奴が一番性能の良い剣だった。……頑張ろうな<鑑定スキル>よ。


 ウキウキ帰った俺、マスに裏庭に行けと言われて行った先には装備をしたスミスさん。


 ……忘れてた。最後の稽古するんだっけ。


 そうか。俺は今日、死ぬのかな?


「帰ったか。ガク」

「はい」

「武器と装備を装着しろ。稽古を始める。ルールは変わらず、俺は攻撃しない。お前の体力が持つまで俺を攻撃しろ」

「……分かりました」


 俺は買ったばかりの革の防具ではなく、いつも着ていた防具と剣でもなく、木の棒を取り出す。


 この装備でこの人と稽古をする最後だ。俺はまっすぐスミスさんに棒を向け。


「俺がスミスさんに当てたら借りを一つですよね?」

「あぁ。お前じゃ当てられないがな」

「俺も少しは強くなってますよ?」

「口だけなら何でも言えるさ」

「……行きますよ?」

「いつでも来い」


 俺は棒を握り、スミスさんに向かった。

 

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