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同志の証

(11/3)更新しました。

 答えは決まったが、その前にスイさんに聞きたいことが出来た。


「スイさん。その女性の名前を教えてくれませんか?」

「彼女の名前……ですか?」

「はい」

「……工藤 燐火。……それが彼女の名前です」


 ……工藤 燐火さん……か。


 どうして名前を聞きたくなったのかと聞かれたら何となくと答えてしまうが、何で聞いたのかと聞かれたら重要だと思ったからと答えてしまう。


 ……スイさんは嘘を付いていないと思う。多分だが。


 異世界の事をかなり知ってるし、彼女の事を想っているのが伝わった。


 何だろう。負けた感じ。


 俺、何に負けたんだろう?……愛の深さか?


 ヤバイ!! 負けを認めてしまった自分がいる。クッ! 今回はこのくらいで見逃してやる。次回はこんな簡単に負けを認めんぞ!!


 ……ま、うん。


「分かりました。力をお貸しします」

「おぉ!! ありがとうございます!!」


 みんなが俺の顔を見ている。……心配そうな顔をしている人はいない。


 俺が出す答えなんてみんななら分かるだろうし、やっぱりな~ みたいに思ってんだろうな。


「で、俺は何をすれば?」


 俺は立ち上がりスイさんの前に移動した。


「私をパーティーに入れてもらっても良いですか?申し訳ないのですが私とガクさんの二人パーティーでお願いします」

「分かりました」


 一旦PTを解散して新たに編成し、スイさんを加える。


「……ガ!!」

「ガクさん。それは秘密でお願いしますね?」

「わ、分かりました!!」


 PT編成って入った人? の強さが分かるんだけど……うん。俺が『……ガ!!』って言っちゃうぐらいの衝撃でした。……二度見して強さとはって考えちゃったよ。


「では、ガクさん。私に久久能智神の能力のである<成長スキル>を<木属性付与スキル>と<木属性攻撃スキル>と<植木スキル>で強化した状態でくらわせてください」

「……スナーチャさん!! ヘルプ!! 助けて~~~」

「「「「ハァ~~~」」」」


 全員でため息しないでよ!! 仕方ないじゃん分かんないんだもん!!


「え~と。ガクさん。失礼ですが最大限上げたスキルのレベルはいくつですか?」


 スイさんが顔を引きつらせて俺に聞いてきた。ん?レベル?


「え~っと。あ、さっきレベルが上がって二十七になってる! やった!」

「……ちなみに何のスキルですか?」

「え?<地図スキル>ですが?」

「……」


 ……。


 ……。


 あれ?返事がないな?……死んでないよな?


「スイさん。……スイさん! …………スイさーん!!」

「………ハッ!!」


 目を開けたまま気絶してたのかな?……器用だね~。……キャラが被った!!


「ガクさん。申し訳ないのですが……」

「何?」

「今のガクさんでは力が足りません」

「え?マジで?」

「マジです」


 会話が通じる。流石は異世界人と生活してただけの事はあるな。


「どうすれば……」

「こればかりはどうしようもないですね~」


 なんか遠い目をしているなスイさん。大丈夫か?


「お前はやっぱりお前だな」

「スミスさん!!どうしよう!!このままじゃこの町が……」

「どんな時でも考えることを止めるなと言っただろうが」


 プチ混乱中なんですもの~~!! さっきから現実逃避してるのがその証拠です!!


「おい。お前に残された時間はどのくらいある」

「少々待ってもらえますか?詳しく調べますので」

「分かった」


 スイさんが目を閉じた。少し気配が薄くなったような気がしたがモックのように完全に気配が消えることはなかった。


 多分、スイさんは中枢で何かやっているのだろう。


 どうなってんだ?中枢って。


「お待たせしました」


 以外に早かったな。モックの時とはエライ違いだな。


「どうだ?」

「……私が次のサイクルを限界まで伸ばした場合、約一年の延長が出来ます」

「……一年か。で?ガクはどこまで強くなれば良いんだ?」

「少なくともさっき言った三段階強化が出来ない事には」

「……魔法での三段階強化習得は頑張っても約1年かかるとされている」

「強化系スキルの三段階強化はもっとかかるだろうな。実践があれば別だが」

「剣でも変わらんな」


 三段階強化ってのはさっきスイさんが俺に求めてた事だろうな。……ムズくねアレ?


「俺、<地図スキル>を三十までしたらこの町から出て行こうと思ってたんだけど……」

「ん? そうだったのか」


 あれ? 言ってなかった?


「……もうすぐ行くとは思ってたが、そうか……」

「……スミスさん?」

「明後日、出発しろ」

「ハァ?!」


 え? 明後日? マジで言ってんのこの人?


「時間が無いからな。明日、準備をして次の日に出発だ。お前は今からずっと<地図スキル>のレベルを上げろ。三十になるまで帰ってくるなよ?」

「ボス。何から準備しますか?」

「リストは書いて家にある。……一旦家に帰るぞ。サラクはガクに付き添え」

「「「はい」」」


 あ……コレ。俺が何言っても駄目なパターンだ。……諦めるか。


「皆さん。帰るのでしたら祠の後ろに転送の陣がありますのでお使い下さい。……門の周辺は人がいますので少し離れた場所に転送いたします」

「助かる。使わせてもらおう」


 サラを残し、全員が帰ってしまった。……スミスさんって行動早いよな~。俺さっきからなんも喋って無いもん。


「ガクさん。<地図スキル>のレベルを上げる効率の良い方法は目を塞ぐ方法があります。私のダンジョンでレベルをお上げになって下さい。安全ですので」

「分かりました。サラ……明後日出発だけど大丈夫?」

「問題ありませんよ?」

「そうなの? 何か準備する物はとかは?」

「まとめてあります!」


 準備がよろしいようで。……目を隠す物って何かあったかな?


《おう!ガク。お前にこれやるわ!》

「モック。いたんだね」

《ずっとここにいただろうが!!》


 おっと。心の声が漏れた。モックは小さい木だし、端の方にいたから忘れたよ。ごめんね!


《ったく。……これだ。ホラ》

「ん?ありがとう。……綺麗な宝石?」


 渡されたのは指輪だった。透き通った綺麗な指輪だ。……中に何か入ってる。……虫かな?


「おぉ。懐かしいですね~。それは緑の琥珀と言う物です。効果は経験値増加(少)ですね」

「琥珀なの?コレ。……しかも効果が付いてるとか。良いのか?モック。こんな良い物もらっちゃって」

《別に俺が持ってても意味に無い物だからな。餞別だ。》

「ありがとう!! とっても嬉しいよ!!」

「そうですね。私も餞別を上げましょう。私の事でもありますしね。……う~ん。何にしましょうか」


 おぉ。スイさんも何か俺にプレゼントしてくれるのか。……何がもらえるのか少し怖いな。


「あぁ。そういえば……」


 スイさんが袖を探ってる。何が入ってんだよその中に。


「ありました。……これですね」

「……スタンプ?」


 スタンプ。ハンコとも言うな。でもスイさんが持ってるのはスタンプラリーとかやる大きい奴だ。……大丈夫か?


「ガクさん。どっちかの腕を出してもらえますか?」


 俺は右手を出した。……右利きだし。


「では、動かないでくださいね。……よっと!!」


 ペタン。そんな効果音が俺の頭の中に流れた。


「馴染むまでに少しかかりますが、これで大丈夫です。……どうですか?」

「……何がでしょうか……」


 何も変わらない。……からかわれてる?……怒って良いのかな?


「あれ? おかしいですね~。壊れてしまったのでしょうか?」

「俺に聞かれても困るぞ」

「……ガクさん。口調が……」


 おっと。凡ミス。


「別に構いませんよ?」

「そうか。じゃぁこんな感じでいいな?」

「いいとも~~! と言えば良いんですよね?」

「おぉ!! このネタが通じるとは……やるな!!」

「それほどでも」

「……ガクさん」


 ん? サラがちょっと引いてる。何でだろうか。


「……消えてる?」

「馴染みましたかね? ステータスをご覧ください。何かあるはずですよ?」


 スタンプが消えた。黄緑のスタンプがこんなに早く消えるなんて。


 俺は【ステータス確認アプリ】を起動して自分のステータスを見た。


  ステータス

名前  ガク

性別  男


装備

頭  なし

胴  初心者防具

腕  初心者防具

足  初心者防具

靴  初心者防具


付属 琥珀の指輪


スキル

装備

<地図スキル(少)二十七><防御力上昇スキルLV八><速度上昇スキル(少)LV二十三><鑑定スキル(少)LV二十四><素早さ上昇lv二十二>


控え

<連撃スキルLV十><剣スキルLV十二><先読みスキルLV十二><ガードスキルLV十五><魔法スキルLV七>

 

称号

・転生者・親愛の女神の加護・参加賞を無駄にした者(笑)・久久能智神・同志の証

 

 さっき地図のレベルが上がったから二十七になったな。


 称号に同志の証が増えてる。……なんだこれ?


「同志の証が増えましたが何ですか?これ」

「彼女が作った物の一つです。内容はご自身で確認してください。私は知らないのですよ」


 作った?……どういうこと?


称号・同志の証

「・このメッセージを読んでいるってことはそこにスイがいて、そいつにスタンプを押されたんだろう。そして、間違いなくあなたが転生者だということが分かる。私の勘だが男だろう。当たってたらうれしいけどね。


 ありがとう。


 まず、最初にこの言葉を君に送らせてほしい。このスタンプを押すって事はスイが君に感謝をしているということだ。このスタンプは私がスイに持たせた物で、感謝する相手に渡す物が無かったらこのスタンプを押せと言ってある。つまり君は私のスイに感謝される事をしたということだ。感謝の気持ちを送らせてほしい。


 まぁ、この称号の内容は最後に分かるが君が万が一にも既に持っていたらすまないが中々手に入らない物だ。大切に使ってくれ。


 スイによろしく伝えてくれ。」


 ……燐火さん何者なんだろか。まじでスゴイ人なんじゃなかろうか。


「スイさん。同志の証の内容ですが、燐火さんがスイさんによろしくと伝えてくれとありました」

「フフフ。彼女らしい贈り物ですね」


 とても嬉しそうに笑っている。


 で?称号の内容はっと


称号・同志の証

・スキル<錬金術師(極)>


 スゴ!!


 上限は見たことあるけど極みって初めて見た!!


「錬金術師のスキルだ。めっちゃスゴイ」

「錬金術師ですか。彼女が良く使っていたスキルの一つですね。旅の役に立つ物でよかったです」

「ありがとうございます!!」

「私は何もしてませんよ? お礼は彼女にしてあげてください」

「はい」


 燐火さんありがとうございます!! 大事に使わせて頂きます!!


「スイさん。モック。また来ますね」

「はい。お待ちしております」

《達者でな》


 俺とサラは来た道を戻った。レベル上げないと行けないからな。


 よっしゃ!! 頑張ろう~!!

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