第三回Gクラス課外授業:王都夏至祭の警備 最終日・夜 世界に穴が開くとき
夏至祭は軽犯罪や迷子が多発しつつも進んでいき夜へとなろうとしている。
夏至祭の終わりが見えてきてからかイセリアは気が抜けてきていた。
「もうそろそろ、今年の夏至祭は終わりか・・・、なんだかんだでやっと終わるのか。それにしても今日は疲れた。本当に今日はどうかしている。本部に聞けば夏至祭最終日は羽目を外し過ぎていろんなことが起きるというが今日の事件数は異常だっていうじゃないか。はぁ~、早く時間が過ぎて終わってくれないかな・・・」
イセリアは一人愚痴を言いながら今の職務を全うしようとする。
そして、時間がたち貴族たちは王族が指定した舞踏会場へと向かっていく。
それを見ていた王都の人々はもうそろそろ夏至祭が終わろうとしていると気づき、自分たちは自分たちで盛り上がろうとしていた。
学生たちはもうそろそろ夏至祭が終わると思い、気が抜け始めていた。
外は完全に陽が落ちて夜になり学生たちは今日までの警備をたがいに労い完全に気が抜けていた。更に今日は軽犯罪や迷子が多かったことから衛兵の人たちも疲れが見え始めており学生たちに交じって気が抜け始めていた。
その時である。王都のスラムの方角から物凄い爆発音と光が王都を駆け巡った。
光を見た多くの人たちは夜が明けたように感じられた。
夜明けのような光は終息していき静寂が王都を包む。
今までの喧騒がうそのように静まり返り何かが起ころうとしていた。
しばらく静まり返ってから衛兵駐屯地は忙しく動き始めていた。
今の爆音と光の正体を突き止めるべくスラム街に行く準備を開始する。
この時学生は招集されず今いる衛兵だけを集めて見に行くことになった。
学生たちは今の光がなぜスラム街から発生したのか憶測を話し合っている中、ただ一人だけ耳をふさいでる人物がいた。
それはイセリアだった。
イセリアが耳をふさいでいるのに気がついたユーリたちは、なぜイセリアが耳をふさいでいるのか聞く。
ユーリたちだけではなくイセリアが耳をふさいでいることに気がついた学生たちがユーリたちを注目した。
「イセリア、耳をふさいでどうしたの。先輩たちの話が聞くに堪えなかった?」
イセリアは首を振ってこたえる。
それでも顔をゆがめて何か耐えるようにして耳をふさいで姿勢は変わらない。
それからイセリアに何度質問しても彼女はなぜ耳をふさいでいるのか言わなかった。
埒が明かなくなって来てからイセリアが大きく溜息を吐く。
それを周りの人たちが訝しげに見る。
そこでイセリアは皆に一言謝罪する。
「すみませんでした。もう大丈夫です」
衛兵の人がなぜイセリアが顔をゆがめて何か耐えるように耳をふさいでいたのかを聞いた。
「世界が悲鳴を上げたのでそれを耐えていたのです」
「世界が悲鳴?世界って悲鳴を上げるのか?おい、この女以外で悲鳴を聞いたやつはいるのか?」
全員が首を振る。
ここにいる全員はイセリアが何を言ってるのかわからなった。
一番付き合っているユーリ、ジークリンデ、エリナ、シャルロッテも同様で首をかしげている。
「全員、世界の悲鳴なんて聞いてないみたいだな。体調は良さそうだし、何かわかるまでここにいろよ」
衛兵はイセリアだけではなく学生全員に安全が確認されるまでここで大人しくしているように言うが、
「あいにくですが、私は今ここで大人しくしているつもりはありません。今すぐにスラム街へ行き事態を収拾しようと思っていますので」
イセリアはそれを拒否する。
それどころかスラム街で今何かが起きているような言い方をしている。
現在、ここにいる衛兵たちがスラム街へ行く準備をしていて今スラム街で何が起こっているのかわからないのにも関わらず。
「何を言っているんだお前、事態も何も、あそこで何が起こったのか何もわかっていないではないか」
「いえ、一つだけ私にはわかります。世界が悲鳴を上げたということは“世界に穴が開く”ということ」
“世界に穴が開く”それを聞いたユーリ、ジークリンデ、エリナ、シャルロッテは二か月前に現れたゴッド・エンペラーの存在を思い出した。
「世界に穴が開くということはまたゴッド・エンペラーが出てくる可能性があるのか!?」
イセリアは首を縦に振りうなずく。
ゴッド・エンペラーの再出現の可能性・・・、それは強さを知っている4人だから恐れおののく。
「まじかよ。ゴッドエンペラーなんか出てきたら王都が消えてなくなるぞ・・・」
そうエリナが口にしたとき衛兵の一人がギルドに出された消失した森の調査ことを思い出しエリナに聞く。
エリナはその時の詳細を詳しく衛兵に話す。
ゴッド・エンペラーの存在は眉唾物だが森消失したことは衛兵たちも知っているが、詳しい情報は下の方の衛兵たちには知らされていない。
ギルドから送られてきた情報が眉唾物過ぎてとてもじゃないが信用できないと思い上層部の方で止められている可能性がある。
だが、経験者は語る。
森が消えてなくなるのを、その時の戦闘風景を・・・、そして敵の恐ろしさを・・・。
そのためイセリアはすぐにでも出ようとするが衛兵たちが止める。
衛兵たちはまだ何も起きていないし、学生を危険な目に合わせられないとのことでまずは自分たちが身に行くとそれから行動するようにと学生全員に言いつける。
それでもイセリアは衛兵たちよりスラム街へ向かおうとする。
衛兵は何度もイセリアを学生だから行くなと止めようとする。
イセリアはそれを聞かない
そうやって押し問答は繰り返されて再び世界は悲鳴を上げる。
更にここにいる全員が何かが崩壊する音を耳にする。
「こんな押し問答を繰り返しているうちに世界に穴が開いたぞ!もうお前らのメンツなんて気にしていられるか!止めるというなら全員倒してでも行く!容赦などするものか!」
イセリアの威圧に衛兵はたじたじになりつつあり、そこで衛兵の一人が・・・、イセリアに提案を出す。
「なら君が先に行って様子を見てきてくれないか、我々はもう少し準備に時間がかかる。何かあったらすぐに通信機で連絡をくれ。できる限り迅速に向かわせてもらう」
イセリアはそれに了承した。
だが、こうしている間にも穴がいたところからたくさんの気配がスラム街へとなだれ込んでいたのだった。




