表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート皆無の雑用防衛大臣 〜バナナの皮から始まるピタゴラトラップで人類の英雄たちをお仕置きします〜  作者: サメ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/6

第1話⑥

作戦指令室を出た俺は、ゴルゴスに聞いた地下の備品倉庫へと向かった。


重い木製の扉を開けると、ひんやりとした空気と共に、埃と鉄サビの匂いが鼻を突く。

薄暗いランプの光の下で、せっせと古い盾や槍を荷車に積み込んでいる人影――いや、トカゲ影があった。昨日、俺に毛皮を持ってきてくれた、あの緑色の鱗を持つ亜人の兵士だ。


「ええっと……ジーク、だっけ?」


「うおっ!?」


びくっと肩を跳ね上げ、ジークが勢いよく振り返る。

俺の顔を見た瞬間、彼は持っていた古い槍をカランと落とし、慌ててその場に直立不動の姿勢をとった。


「は、はいっ! 雑兵のジークであります、マコト様! 本日はどのようなご用命でしょうか……!?」


トカゲの尻尾をピシッと直立させ、めちゃくちゃに緊張している。昨日までは「おい人間」なんて気さくに呼んでいたのに、ブラッドの一件のせいで、完全に雲の上の存在だと思われてしまっているらしい。


「いや、その『様』っていうの、マジでやめてくれ。背中が痒くなる」


俺は苦笑しながらバケツを置き、近くの木箱に腰掛けた。


「昨日、お前が毛皮をくれただろ。あの時みたいに普通に話してほしいんだ。俺、中身はただの一般人だし、この城で頼れる知り合いもお前くらいしかいないからさ」


「え……? でも、マコト様はあの最強の聖騎士を指一本触れずに生ゴミみたいに処理した、伝説の防衛大臣様で……」


「あれはただの掃除の応用だって。な? だから普通に『マコト』って呼んでくれよ、ジーク」


俺が笑いかけると、ジークは大きな瞬きを何度か繰り返した。やがて、トカゲ特有の縦長の瞳が、少しだけ柔らかく緩む。


「……本当に、普通でいいのか? 悪魔の化け物軍師、とかじゃなくて?」


「誰が悪魔の化け物軍師だ、人聞きが悪いな」


「あはは、すまん。……分かったよ、マコト。じゃあ、お言葉に甘えて昨日までのみたいに話させてもらうわ。へへ、実はちょっと緊張で胃が痛かったんだよな」


ジークはほっとしたように胸をなでおろし、いつもの人懐っこい笑顔を見せた。

やっぱりこいつ、いい奴だ。魔族だの人間だのという垣根を越えて、前世の学校の友人と話しているような安心感がある。


「で、その防衛大臣様が、こんな埃っぽい倉庫に何の用なんだ?」


「お前に、俺の相棒になってもらいたくてさ」


「えっ、相棒!?」


ジークが素っ頓狂な声を上げる。


「ああ。俺はこれから防衛大臣兼、雑用係として城内を回る。でも、俺自身のステータスはさっきも言った通り一般人だ。いや、さらにその半分しかない。重い罠を運んだり、レバーを引いたりするのに、どうしても信頼できるパワータイプの手が必要なんだよ」


俺はジークの目を見つめ、真剣なトーンで続けた。


「昨日、奴らが現れた時に真っ先に前に立ってくれただろ。だから、俺の罠の設置を一番近くで手伝ってくれる相棒は、お前がいい。……手伝ってくれるか?」


ジークはしばらく呆然としていたが、やがてその緑色の拳を強く握りしめ、胸をドンと叩いた。


「応よ! このジーク、腕力と鱗の硬さだけは自信があるんだ。マコトの最高の罠を形にするためなら、どんな重いタライでも三角木馬でも、喜んで運んでやるぜ!」


「ハハ、頼もしいな。じゃあ早速だけど、次の侵入者が来る前に、この倉庫のガラクタの在庫チェックから始めようか」


「おう!」


こうして、俺とジークの即席「凸凹防衛コンビ」が結成された。


しかし、この時の俺たちはまだ知らなかった。

幼児退行して王都へ逃げ帰った聖騎士ブラッドの姿を見て、人間の国が「魔王城に、一切の攻撃が通じない凄まじい怪物(※バナナの皮を置いただけ)が現れた」と大パニックになり、次なる刺客をこちらへ差し向けようとしていることを――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ