〖覚悟〗
病室。
空気が張る。
真奈
「決まったな。」
紫苑
「……。」
真奈
「普通コース。」
海斗
「その言い方やめろ。」
杏奈が戻る。
拘束具。
タオル。
全員止まる。
鷹臣
「マジで使うのか。」
蓮
「怖ぇ。」
真奈
「万が一用。」
真奈
「暴れればズレる。」
胡桃は紫苑の前へ行く。
胡桃
「氷室さん。」
紫苑
「……。」
胡桃
「頑張りましょう。」
ニコッ。
真奈
「配置。」
由美は胡桃横。
真奈前。
杏奈は後方。
静寂。
真奈
「行くぞ。」
紅い光。
紫苑
「……。」
真奈
「今日は骨。」
真奈
「覚悟しろ。」
紫苑
「あぁ。」
両腕。
左右のベッド柵へ固定。
片足。
ベッド柵へ固定。
そして。
ギプスを嵌めた足も固定された。
海斗
「うわ~~~。」
海斗
「処刑される。」
海斗は両手で顔を覆った。
その後ろ。
雄一がギュッと海斗へ抱き付いている。
海斗
〖めちゃ可愛えぇ~~~。〗
隣。
一樹は静かに紫苑を見ていた。
だが。
後ろでは伊織がギュッと一樹へ抱き付いていた。
一樹
〖……軽いな。〗
玲央も紫苑を見る。
その胸元。
和真が抱えられていた。
和真も玲央へしがみ付いている。
玲央
〖……小せぇ。〗
病室静寂。
真奈の両目が赤く淡く光る。
真奈
「……くそ。」
真奈
「えらく入り組んだ入り方してるな。」
病室止まる。
真奈
「氷室。」
紫苑
「……。」
真奈
「悪い。」
真奈
「深く入るぞ。」
静かな声。
真奈
「杏奈。」
真奈
「胡桃。」
真奈
「母さん。」
三人を見る。
真奈
「中入れたら。」
真奈
「直ぐ治癒開始。」
真奈
「出ないと。」
真奈
「氷室がもたん。」
杏奈
「分かったわ。」
由美
「任せなさい。」
胡桃
「分かった。」
真奈は紫苑を見る。
真奈
「氷室。」
真奈
「行くぞ。」
ゆっくり。
紅い光が足の中へ入る。
その瞬間。
胡桃。
由美。
杏奈。
三人同時に治癒開始。
淡い光が紫苑を包んだ。
紫苑
「……ッ。」
真奈
「まだだ。」
真奈
「これからだ。」
真奈はゆっくり霊力を入れる。
骨折した骨。
断片。
その隙間。
更に奥。
残滓を一つ一つ焼いていく。
周囲。
筋肉。
筋。
血管。
全部に絡み付いていた。
真奈
「……くそ。」
真奈
「筋肉奥まで入ってやがる。」
真奈の額から汗が落ちる。
頬を伝う。
息も少し荒い。
だが。
集中は切れない。
真奈は更に奥へ霊力を進めた。
病室静寂。
その度。
紫苑へ激痛が走る。
紫苑
「んーーー!!!」
胡桃
「頑張って!!!」
由美・杏奈
「…………。」
治癒は止まらない。
胡桃の額から汗が落ちる。
だが。
手は止まらない。
集中力。
冠崎家随一。
真奈は更に奥へ進めた。
真奈
「届いた。」
病室止まる。
真奈
「よし。」
真奈
「切るぞ。」
紅い光。
両手が左右へ走る。
――シュッ!!
骨。
筋。
血管。
絡み付いていた残滓が一斉に断ち切られる。
紫苑
「んーーーーー!!!!!!」
静寂。
真奈
「はぁ……。」
真奈
「はぁ……。」
真奈
「はぁ……。」
全員止まる。
真奈
「氷室。」
紫苑
「ふっ……。」
紫苑
「ふっ……。」
真奈
「……終わったぞ。」
真奈はその場へ座り込む。
真奈
「三人とも。」
真奈
「しばらく治癒続けてやってくれ。」
真奈
「はぁ……。」
真奈
「はぁ……。」
杏奈・由美・胡桃
「分かった。」
淡い光。
三人の治癒が重なる。
紫苑を包み込んだ。




